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Lecture.591

新しい生き方をさがすとき〜自分を受け容れるしなやかさが欲しい〜

講師:みずがきひろみ
仕事など、一生懸命に情熱を注いだことで挫折を経験すると、自分に失望してしまい、自分は性格的または能力的適性がなかったのではないかと必要以上に自分に対して厳しい判断を下しがちです。しかし、そこで本当に求められているのはより「その人らしく」生きることではないでしょうか。多くの場合、「その人らしさ」は社会適応する努力の過程で「ダメ」な自分として封印してきた部分にこそ眠っています。基本的な社会性を身に付けたからこそ、「ダメ」だと思い込んでいた自分を許し、解放し、大人として表現することに挑戦できるのです。少しずつ「ダメ」だと思っていた自分を生活の中で表現することで、働き方ばかりか生き方まで変えることができます。他の誰でもない唯一無二の「自分」を生きるために「ダメ」だと思った「自分」を抱きしめてみませんか。
Keywords
仕事、許し、自己受容、自己承認、個性化

◎リクエストを頂きました◎
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私は子供の頃から仕事への意識が強く、多少の犠牲があっても仕事で成功したいと思っていましたが、挫折を経験し、自分の性格は仕事向きではないのかもしれないと思うようになりました。私は真面目で従順ですが、応用が利かず、主体性もないように思います。真面目なのは非難が怖いからで、本来の性格はいい加減でもっと自由なのだと思います。自分の能力を受け容れ、それでもあきらめずに働くことを愛するにはどうしたらいいでしょうか。
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リクエストをありがとうございます。働くことを楽しみ続けるための考え方ということですが、多くの方が仕事以外の場面でも似たような葛藤をお持ちなのではないかと思うので、自分を受け容れて新しい生き方を探すための心の整理術ということで考えてみます。

●コップの水は半分しか入っていないか、半分も入っているか

事実は、コップ半分の水が入っていることで、そこに「良い」とか「悪い」の判断はありません。ところが、私たち人間はこの事実を事実としてそのまま受け容れること自体がチャレンジなのでしょう。特に、自分のこととなると、つい「しか」とか「も」を想わずにはいられないようです。物事が思い通りにいかなければ、自分の能力について「(コップ半分)しか」ない、とがっかりしますし、運が向いているときには「(コップ半分)も」あるぞ、と思い易いのではないでしょうか。

挫折を経験すると、その痛みのなかで私たちはつい「できるのではないか」と思ってしまった自分を叩きたくなります。修正すべき点を反省するにとどまらず、「これまでの自分」の全否定に走ることも少なくありません。能力そのものを疑いたくなるのです。でも、多く場合、これは真実ではありません。ご相談のケースにある「真面目さ」「従順さ」は、おそらく「素直さ」や「誠意」だし、「非難が怖い」のも人との関わりを大事にしたい気持ちが強い方は一様に感じるものではないでしょうか。こうした資質は、社会適応する上で大切な要素ですし、「真面目に」「人の話を聞く」ことのできる人だからこその成功もあったはずです。人生の前半においては、それでよかったのだと思います。

●「ダメ」だと思った「自分」の中にこそ「宝」がある

ところが、あるタイミングでそれまでの「真面目ないい子」路線が成功につながりにくくなります。ご相談の中では「主体性」という言葉で表現されていますが、より「その人らしさ」が求められるようになるのだと私は理解しています。これを「個性化」と言います。
「素」のままの自分では「ダメ」だと思ったからこそ「真面目」に「従順」に頑張ってきたのに、その路線が「ダメ」だとしたら自分は何もできないのではないかと思いがちですが、実はその時こそ、ずっと昔に「ダメ」だと烙印を押した「自分」を取り戻すことが求められるのです。なぜなら、そこに「あなたらしさ」のエッセンスがあるからです。

ご相談の例で言えば、「いい加減」で「自由」な「自分」の発想が、「生き方」や「働き方」を変えると思うと怖いようではありますが、「いい加減」なあなたは実は自分にとって一番大事なことをよく知っているあなたではないでしょうか?大事ではないものに頓着しない自分こそ、あなたが本当に大切にすべきものをご存知なのではありませんか?「自由」なあなたは「主体性」でいっぱいのあなたです。「私がやりたい」「私はこうありたい」と感じられる「あなた」です。そんな自分を大人として適切に表現できれば、もっと「自由」に働き、生きることができるのではないでしょうか。

大人として「自由」な自分を取り戻そうとするとき私がよくお勧めするのは、一日1時間、あるいは週に一日という時間限定で「いい加減」で「自由」になってみることです。それくらいでは生活は破壊されません。でも、「いい加減」で「自由」になる感覚を味わうことで、それを生活の中にどう取り入れていったらいいかヒントが見つかることが多いのです。そんな少しの時間の積み重ねが、働き方、生き方の大きな変化を導いてくれるのを目の当たりにするたびに、私は人の可能性の大きさに感動せずにはいられません。

社会適応する力を身につける過程で、「ダメ」だと思い抑えこんだ「自分」の中にこそ、その人の「その人らしさ」があり、これを今度は「大人」として表現する「個性化」は一生のプロセスだと言います。「ダメ」の山の中に一番の「宝」が隠れていると思えば、それを許し、受け容れる勇気も見つけられそうです。

 

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