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「信頼」という言葉はとてもよく使われるものなのですが、心理学的に見、それを実践するのはとても困難を伴います。そもそもその定義もまた幅広いので理解しづらい、分かったつもりになっている、ということも多いかもしれません。
例えば、信頼は「愛」「許し」などと同じレベルのものなのですが、時に「期待」と履き違えられてしまいます。「〜してくれるはずだ」と言った期待の表現は依存から生まれてくるものなので、いずれはまた裏切られて、そこで傷ついてしまうのです。
しかし、愛が傷つくものではないように、信頼がある関係性では、仮に裏切られたとしても傷つくことはありません。すなわち、傷ついたということは、まだ信頼が不十分であったということなのです。
また、あらゆる問題では「被害者」と「加害者」が存在します。しかし、この関係性の下ではお互い安らぎや平和ではなく、常に争いを繰り返さなければいけません。そこで、そのお互いの信頼関係のために「無害者」を選択する必要が出てきます。
そんな風に「信頼」には、とても成熟した大人のマインドが要求されます。それゆえに、信頼をテーマに掲げること自体が、あなたの成熟性を高め、大人のマインドを培ってくれる、自己成長の舞台でもあるのです。
そして、その結果、あなたは真実の強さを手に入れることができ、更には起こることすべて(プロセス)を信頼することにより、とても楽で、自然体な人生を作ることができるのです。

Keywords;信頼 期待 加害者と被害者 自信 プロセス

Lecture.555-1

信頼の心理学(1)〜信頼とは?〜

講師:根本裕幸
信頼とは人間関係の中では“血”のようなものであり、建物に例えれば“土台”となる、とても重要なものなんです。
しかし、私たちは日常のさまざまな問題の中で、誰かを信頼すること、あるいは、自分を信頼することから遠ざかり、一人で生きようとしてしまうのです。
それは心の痛みが作り出す“自立”なのですが、それを超えて、相互依存の世界へと足を踏み入れるとき、そのキーワードになるのが、今回のテーマである「信頼」なのです。
Keywords
信頼 恐れ 自立 相互依存 つながり

今回は人間関係や人生において、愛や許しと並ぶ中枢のテーマであり、とても難解とも言える“信頼”を取り上げてみました。
実はずーっと以前から温めていたものなのですが、なかなか言葉にまとめることが難しく、こんなに時間が経ってしまいました。
できるだけ分かり易くお届けしたいと思うのですが、分かりにくい箇所もあるかもしれません。繰り返しお読みいただいて理解を深め、皆さんの毎日に生かしていただけましたら幸いです。

さて、例えば、あなたのパートナーが浮気をしたとしましょう。
それは本当の“浮気”で、あなたと別れるつもりなどなかったのですが、当然、あなたは酷く傷ついてしまいました。
そして、パートナーを信じられなくなり、また浮気されるのではないか?今も知らぬ間に他の異性と関係を持っているのではないか?と疑心暗鬼になってしまいます。

でも、やり直したいんです。二人で生きたい気持ちも強いんです。
一方で、浮気された痛みや不信感も募っています。
どうしたら、もう一度、彼を信頼できるのでしょう?

パートナーシップに限らず、信頼を裏切られたと感じてしまうと、再び相手を信頼することには強い抵抗が芽生えますよね。
時にはその相手だけでなく、人間不信になって誰のことも信じられず疑いの目でばかり見るようになってしまうこともあるでしょう。
また、そこで「自分が悪かった」と自責の念を持てば、今度は自己不信となって何をするにも恐ればかりを感じるようになるかもしれません。

ところが、信頼がない関係性というのは、空虚で寂しく、無機質で味気ないものですよね。
だから、とても苦しくなります。
形だけの夫婦。形だけの雇用関係。形だけの親子。
そこに人として通うものがないと、私達の心は冷え切っていきます。

その、人間関係に通う“血”のようなものが「信頼」なんですね。
「信頼」は心と心を通わせる、大切なパイプであり、バイパスであるのです。

だから、それが切れてしまった瞬間から、私達は無感情で、何ら感動のない孤独な日々を過ごさなくてはいけなくなるのです。

そこで今回も長文になりますが、信頼について、じっくり考えて行きます。
どうぞ、お付き合いください。

さて、「信頼」て言うのは簡単ですが、実践するのは難しいです。
それは人として、大人として成熟することがある程度求められるからなんです。

信頼を学ぶと、自分の利益でも、相手の利益でもなく、お互いの利益を優先することができるようになっていきます。
つまり、相互依存の世界です。

「自分」という小さい世界を飛び出して、外の世界に身を委ね、イキイキと自由に振舞うことが可能になっていきます。

「信頼」は建物に例えれば、土台、基礎のようなものです。
だから、信頼がしっかりあればあるほど、立派な建物(人生)を構築することができるのです。

「信頼」とは「信じて頼る」と書きます。

信じることと、頼ることを同時にするわけです。

でも、これ、言葉の意味はなんとなく分かりますが難しく感じませんか?

そもそも自立的な人にとっては、「信じることなんてわけがわからんし、頼るなんて情けなくて、負けたような気がして絶対できない」と思ってしまうかもしれません。

自立は、そんな風に誰にも頼らず「一人で生きる」ことを選択していきます。それは、誰かに頼ってもどうしようもなかった痛みが原因なのですが、ところが、やがては自分ひとりの力では問題を乗り越えられいときが訪れます。
そのときこそ、周りの人の助けが必要になり、「信じて頼る」ことが求められるようになります。

そして、一人で生きることを手放して、周りの力を借りて問題を乗り越えたとき、大きなステップアップを成し遂げることができ、多くの恩恵を受け取ることができるのです。

そのための一番の基礎が「信頼」なのです。

一人で生きる世界から、誰かと共に生きる世界に移行するわけですから、すごく勇気が要りますよね。

ただ、私のカウンセリングやセラピーを通じての経験なのですが、私達は本能的に誰かとの“つながり”を求めます。
そうすると、つながりを作るのは“信頼”ですから、私達は本当は誰かを(何かを)信頼したいという欲求を基本的に持っているようなのです。

怖いのも、恥ずかしいのも、プライドも、過去に信頼関係だと思っていた関係性において、傷ついてきた経験が原因です。

だから、今、誰のことも信じられなかったり、特定の誰か(たとえばパートナー)を信じられない方も、心のうちには信じたい欲求がまだあることを知っていただきたいのです。
信じることを邪魔する痛みこそあれ、人を信じることを本当に諦めているとは言えないのです。
(これは、どんな酷い状況にあっても心の中にある“愛”はなくならない、という話と同じですね。)

なお「信頼」というのは、自立のプロセスにおいて必要となるものです。
依存の状態にある場合は、まずは自立することが目的になるんですね。

例えば、浮気されたり、リストラされたりすると、立場上「依存」に落としこめられます。その段階では「信頼」というのはずっと先の課題となります。

そこから自立するにはある程度の“頑張り”が必要になります。
そうした依存状態から自立していくプロセスはとても大変なイメージがあるのですが、現実的には、どんな方にも大人な部分(自立している部分)も必ずありますから大丈夫なんです。
自分を取り戻していくと、自然と「自立」のマインドに到達することはできます。
その上で「信頼」をしていくことになります。

実は、依存状態だと、信頼ではなく、「期待」になってしまうんですね。
信頼と期待、似てますが、ぜんぜん違うもの。
「信頼」しているつもりで「期待」してしまっていること、私達の日常には数多く溢れています。
そのことについて次回触れていくことにしましょう。

>>>『信頼の心理学(2)〜信頼と期待、加害者と被害者〜』につづく


関連する講座へのリンク集

7.私達の成長のプロセス〜Part 2 『自立』〜
18.私たちの成長プロセス『相互依存』〜成功の秘訣は失敗の秘訣 リーダーシップ編〜
418.信頼関係の築き方〜信頼の橋を架けよう〜
458.ひととのつながり方〜つながりをもたらすもの〜
534.相談されると心配で眠れない 〜心配よりも信頼する〜

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