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Lecture.512

弱点を補うより価値をみよう〜行動動機と目的の心理学〜

講師:浅野寿和
今回のキーワードは「補償行為」という言葉。補償行為とは、なにかを補おうとする、埋め合わそうとする行為。どんな行動でもその動機が補償行為からのなのか、愛情からなのかで、あなたに手に入るものが全然違ってくるのです。
補償行為を続けると自分の目的が持てないばかりか、心が疲れて何事にも情熱が持てなくなったり、あなたに悪意が無くとも周囲に「あなたが自分のことだけに躍起になっている」という心理的なメッセージを送ってしまうことあるのです。
この状態を変えていくには補償行為や自分への疑いをやめて、自分を評価し報酬を受け取ることが大切。これにより未来に対してポジティブになれますし、あなたの意識や心のエネルギーは自分の外側に向かい始めます。すると、たとえあなたの行動は同じでも、周囲の受ける心理的な印象が「あなたに与えてもらっている」という風に変化するわけです。
Keywords
補償行為 行動動機 自己否定 報酬 自己承認

◎リクエストを頂きました◎
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最近、友人と恋愛について意見が分かれ、友人から「何事も目的を持って行動しないと」といった指摘を受けました。

相手の意見はよく理解できるのですが、わたしは何でも経験が大切。トライ&エラーで進むのが最善という考え方でやってきました。自分の性格的には元々は極度の奥手なので、体験先行にでもしないと何もはじまらないと思い直した最近のやり方でした。

しかし最近、恋愛でも仕事でも周囲から「それを選択した情熱が感じられない」というニュアンスを指摘されることが多くなってきています。

私は元々「目的意識を強く持ってから行動する」ことにすごく抵抗があるのですが、これは一体どういう心理からくるものなのでしょうか?

(一部編集させていただきました)
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■今回いただいたリクエストは「補償行為」という言葉がキーワードになりそうです。

心理学でいう補償行為とは、なにかを補おうとする、埋め合わそうとする行為です。どんな行動でも、その動機が補償行為からのなのか、愛情からなのかで、あなたに手に入るものが全然違ってくるんですね。

いただいたリクエストで言えば「性格的に極度の奥手だからこそ体験先行にでもしないと」という部分が補償すべきそれに当たります。もちろん自分の弱点を補おうとする発想が悪いわけではありませんが、行動の動機が自分の弱点を埋め合わせるというものになりつづけていると、いろいろな問題を引き起こす可能性があるんですね。

例えば、極度の奥手である人が頑張って行動的に振舞うこと。これは決して悪いことではありませんし、むしろ奥手を克服する一つの手法としては間違っていない部分もあります。

ただ、どれだけ頑張ったとしても、いつまでも自分が「極度の奥手である」という意識を持ち続けていれば、いつまでも「自分の弱点が克服された」という感覚を感じることがないのかもしれません。どこか自分の感覚が変わらない限り、補償行為を続けることになるかもしれません。

■そして、その補償行為の結果、恋愛でも仕事でも「それを選択した情熱が感じられない」というような指摘が周囲からやってきている可能性があります。

私達が補償行為に躍起になっているとき、自分に悪意が無くとも周囲の人々に「あなたが自分のことだけに躍起になっている」という心理的なメッセージを送ってしまう、ということが考えられます。

この典型例がいわゆる「いい人」なんです。

「いい人」って悪い人じゃありません。むしろ素晴らしい人なんです。周囲にも迷惑をかけないし、謙虚で真面目で頑張りや。周囲にもしっかり貢献しているように見える。

ただ、あなたが補償行為として「いい人であろう」を強く意識して行動すると、あなたの意識や心のエネルギーはどこか自分のためだけに使われてしまいます。

これは心理的に見て「周囲に自分のエネルギーを与えていない」ような状況を作り出してしまう、と考えられるのです。

つまり私達は、いい人はもちろん、自己批判や自己否定を目的にして行動をし続けると、どうしても周囲に「内向的」な印象を与えることが多くなります。自分がどれだけ素晴らしい事しても、周囲の受ける印象が「情熱的ではない」「自分のためだけに行動している」といったものに変わってしまうわけです。これはとてももったいないことだと思います。

■また、人が何かに取り組むとき、その「報酬」を認識し、受け取ることがどうしても必要になります。自分が投資したエネルギーに対する「報酬」を受け取らないと不満感や燃え尽き感が伴ってくるからです。

ただ、この「報酬を受け取ること」が苦手であると、目的意識を持つことが苦手になります。心理的に「自分は報酬を受け取るに値する価値のある人ではないのかもしれない」という自分への疑いが強く存在していると、「何かを望んだり欲しがること」に強い抵抗感を感じるんですね。シンプルに言えば遠慮のようなものです。自分に対して大きな評価や報酬がやってくると、どうにも自分にはふさわしくないと感じてしまい、素直に受け入れられなくなるのです。

このような心理を強く抱えたままですと、なかなか自己評価も変わりませんし、欲しいものも明確になりませんから、更に報酬を受け取れないというループが待っているんですね。

■ではこの状態を変えていくにはどうすればいいのでしょうか。

まず、補償行為や自分への疑いをやめ、自分を評価し対価や報酬を受け取ることが大切です。

つまり「自分の考え方や、努力の手法が今の自分にふさわしいのか?」と再検討する必要があるのかもしれません。それは、自分の体にフィットした服を着ないと違和感があったり苦しくなることと似ているかもしれません。

そして、自分に対しての評価を変えるには、自分への疑いやそこに眠る様々な感情、ここでは自分には価値が無いといった無価値感を癒すことも大切です。そのために「自分を承認すること」とても大切なんですね。自分自身を自分で褒めることがポイントなんです。

この自己評価ができたとき、自分の未来に対してもポジティヴに捉えることができるようになりますから、目的意識も持ちやすくなります。また、自分に対してふさわしい報酬を受け取る準備もできるのですね。心の中で自己評価と与えられる報酬の感覚が一致するとき、あなたの心は抵抗無く受け入れることができるようになるのです。

そして、補償行為をやめられた度合いだけ、あなたの意識や心のエネルギーは自分を隠すものから自分の外側に向かい始めます。すると、たとえあなたの行動は同じでも、周囲の受ける心理的な印象が「あなたに与えてもらっている」という風に変わってくるのです。

そういう意味では、私達の周囲の人たちの指摘は、時として「ちゃんと自分を認めましょう」「今の自分にあったやり方があるよ」といったメッセージであるとも考えられるのですね。

以上、皆さんの参考になれば幸いです。

関連する講座へのリンク集
13.埋め合せで手に入れられるもの〜補償行為の心理学〜
124.自信をつけよう〜自信が無い時には、自己否定がいっぱい!!!〜
174.目標設定に必要なこと〜より良い目標を得るために〜
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