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Lecture.16 タブーの心理学〜禁じられた欲求〜
講師:根本裕幸
あなたの中にある○○しちゃいけない!に注目してみましょう。
Keywords
タブー
禁止
罪悪感
自由
選択肢

●タブーとは?
もし僕が今黒い布をかぶせた箱を持ってあなたの目の前に置いたと思ってくださいね。
そして、僕がこう言ったと思ってください。
「ちょっとの間、これを預かって欲しいんだけど、絶対中を見たらあかんよ。絶対にね!」
そして、念を押しつつ僕が部屋を出ていったと思ってください。

あなたはどんな気持ちになるでしょうか?
恐らくほとんどの方がその布をめくりたい衝動に駆られるんじゃないでしょうか。
この感覚が禁じられた欲求『タブー』と呼ばれるものです。

タブーといえば、一般的には「しちゃいけないこと、触れてはいけないもの」ですね。
禁句とか禁忌とかいう表現もします。

でも、「しちゃいけない」と言われたら、したくなるのが人間の心なのかもしれません。
特に思春期の頃には、そんなしちゃいけないことばっかりやった人だっているでしょう。
僕も多少は経験あります。

タブーを犯しているときって、すごくスリルがあります。刺激的です。快楽に酔うことだってあります。
「見つかったら怒られるかも」とか、「ばれたらクビになる」とか、そんな恐れがちょうどいい刺激になるわけです。実は『恐れ』と『わくわく、どきどき』の感覚って表裏ですから、タブーを犯してるときには「わくわく、どきどき」するわけです。
特に思春期は「ちょっとワルい」のがカッコ良かったりして、大人になって思い返せば「なんであんなことしたかなあ?」というようなことをやったりもします。

●タブーの持つ弊害
ただ、タブーの「わくわく、どきどき」は決まって弊害が付き物です。
特に、漏れなく罪悪感が付いてきたりもします。
冒頭の話でも、布をぴらっとめくってしまったとしたら、きっと「悪いことしちゃった」って感じるかもしれません。

でも、罪悪感なんて誰も感じたくないですから、多くはその感情を抑圧します。
そして、抑圧すれば今までと同じ刺激では満足できなくなるので、より強い刺激が必要になるのも特徴です。
いわゆる「麻痺」しちゃうわけですね。
この麻痺の感覚が中毒のような状況を作るようになります。
アルコール、ギャンブル、麻薬、セックス等々、中毒性の裏にはタブーと罪悪感が同居しているようです。

恋愛では不倫(浮気)もタブーの一つですね。
刺激が強い分、情熱的にのめり込んでしまうケースがほとんどです。
「いけないと思っているのに止められない」という気持ちになったり、それが超過(麻痺)すると今度は「何が悪いねん」と開きなおってしまうこともあります。

●あなたの心の中のタブー
そういった社会的なタブーもありますが、実は個人のレベルでもタブーはたくさんあります。
あなたが意識的にせよ、無意識的にせよ、禁止してしまったものはすべてタブーになるわけですから、けっこうたくさんあると思いませんか?

ダイエット中のあなたにとってケーキはタブーですね。
だから、目の前で友人がケーキをおいしそうにぱくついていたらむかつくでしょう。

また、サラリーマンやOLの方にとっては仕事をサボることはタブーですね。
だから、ちょっと仕事をサボって喫茶店でお茶したりしたときには、わくわくするんじゃないでしょうか。
逆に、仕事をサボってる人を見かけたら、心なしかむかついてしまうかもしれません。

遊びたいのに「今は勉強しなきゃ」と思ってしまうのもタブーになります。
でも、勉強しなきゃ、と思えば思うほど、身は入りませんよね。

大好きな彼がいて「彼と別れたら死んじゃう」ってあなたが感じているのであれば、彼との別れは最大のタブーになってしまいますね。
その気持ちが強ければ強いほど、あなたは彼を愛するよりも、彼に嫌われないようにする方にエネルギーを使ってしまうかもしれません。

●タブーを手放すには?
タブーの何が問題か?というと「選択」がないということです。
二つの道があって、その一つを塞いでしまうような感じです。
「別れない」「勉強する」「仕事をさぼらない」「ケーキを食べない」しか選択が無いですね。
「勉強してもいいし、遊びたくなったら遊んでもいい」という余裕がありません。
「仕事に疲れたら、サボってリフレッシュするのもいいこと」って思いが無い分だけ、サボることに魅力を感じてしまいます。
「浮気はダメ」って強く思えば思うほど、浮気のことが気にかかって仕方がなくなります。

僕たちのカウンセリングでは、恋愛でも常に「別れる事」を選択肢の中に入れておくことをお勧めします。
もちろん、別れを望んでいるわけではありません。
でも、「別れちゃダメ」とか「別れられない」と思えば思うほど、上に書いたように「彼に嫌われない事」が一番の関心ごとになり、強い不安と恐れがあなたを襲います。
そして、その不安が強くなればなるほど、彼に優しくしてあげることは忘れてしまいます。
やがてはそれが彼の心離れを呼んでしまったり、不安に耐え切れなくなって大好きな彼を自分から振ってしまったりするかもしれません。

「別れ」を選択肢に入れておいて、それを選ばないようにすればいいわけです。
このことは実は自分の心に余裕(スペース)を作ってくれます。
でも、「あかんかったら別れたらいいや」ってのは選択肢ではありません。
「彼のことは大好きだけど、もし、どうしても合わなければ別れることも大切な事」という気持ちでいることです。それができたら、きっとその人は別れを選ぶよりも、どうしたらもっといい関係を築けるかを考えるでしょう。

「やってもいいし、やらなくてもいい」
あらゆる場面でこの態度でいられたときに、あなたは本当の心の自由を感じられるようになります。

まずは、あなたが禁止していることを心の中に探してみてください。
「やってはいけない」「できない」と思っていることを探してみてください。
そして、それが見つかったら一つずつ取り出して、許しを与えてみましょう。
その上で心からの選択、自分が本当にしたいことを選びなおしてみましょう。

その一歩一歩があなたの心を解放し、自由を感じさせてくれると思います。
あなたの幸せのために、心の中からタブーを手放してみるのはいかがでしょうか。

 

関連する講座へのリンク集
lec.4.罪と罰の心理学〜罪悪感の心理学〜
lec.19.人の持っている最大の力〜選択するということ〜

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