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Lecture.158 ギリギリにならないと物事をやらない心理
講師:根本裕幸
ぎりぎりにならないと物事に取り組めない・・・そんな心理の裏に隠れているもの。そして、その解決方法は?
Keywords
怖れ
不安
成功体験
目標設定
余裕

夏休みの宿題は8/30に始まる・・・
試験前夜に勉強を本格化・・・
提出期限ぎりぎりにレポートを作成・・・
会議の30分前に資料が完成・・・
締め切りが迫らないと筆が進まない・・・等々
お尻に火が付かないとなかなか動き出せないことが少なくないのかもしれません。

お尻に火が付くって言うくらいですから、緊急事態です。
今日はそんな心理を詳しく見ていくことにしましょう。

●怖れが原動力になってしまう。

そんなとき、感情的には焦り、不安、怖れを感じています。
焦りという感情は「急がなきゃ」「何とかしなきゃ」というもので、不安や怖れの現れ方の一つです。
だから、不安や怖れと同じものと捉えてもいいでしょう。

宿題しないと先生に怒られるから・・・
勉強しないと単位が足りなくなっちゃうから・・・
レポート出さないと上司にまた嫌味を言われるから・・・
締め切り過ぎたら編集からじゃんじゃん電話がかかってくるから・・・

とすれば、あんまりやりたくないことなんですよね、本当は。

だから、怖れや不安がないと、取りかかりすらできなくなるのかもしれません。
だから、このパターンを持つ方というのは、怖れや不安が自分を動かす原動力になってしまってるのかもしれません。
他にも「〜になったら困るからやっておく」って考え方をよくしませんか?

●幼少時代のトラウマ

でも、これは私達が幼少の頃から多く耳にしてきたことでもあります。
「そんなことしてたら、警察に連れて行かれるよ」とか、
「言うこと聞かなきゃ、怖いおじさんに怒られるよ」とか、
躾の段階で、親からそんな“怖れ”を使ったコントロールをいっぱいされた方も少なくないと思います。

親御さんとしても、子育てに自信がない分、子どもを注意するとき、何かの力(「警察」とか「怖いおじさん」とか)を利用してしまうんですね。
でも、それは躾に限らず、学校でも、社会に出てからも非常に目にするものでもあります。

それが「怖れ」をベースにした行動パターンを作る源になっているのかもしれません。
そうすると、何かしら怖れが無いと自分から行動できなくなってしまうことも少なくないでしょう。

こうした幼少の親子関係が影響している場合には、そこでビクビク震えていてしまう自分や怯えて物事に関われない自分を色んな場面で出会うかもしれません。

それは大人になれば“躾だから”と理解できることでも、子ども心には結構傷ついているんですよね。
だから、そうした心の中の子ども(インナーチャイルド)を癒してあげることも、有効なアプローチになり得ます。

●成功体験が「いつも・・・」というパターンを作る。

ただ、怖れを使ってコントロールするにも、理由があります。
それは、不安や怖れを原動力にすると、とてもパワーが出るんです。
瞬発力といってもいいかもしれません。
(でも、持続力はありません)

だから、案外成功してしまうことも多いんですよ。
徹夜で勉強して及第点を取れたとしたら、きっとそれが成功体験になってその方法を手放せなくなるような感じです。

成功体験があるとなおさら「いつも追い詰められてからじゃないとできないんだよね」とか、「ぎりぎりにならないと全然やる気になれなくて」とか、何かにつけて後回しにしてしまったりするようになります。

もちろん、失敗することもあるし、大人になれば「ヤバイんじゃね?」なんてことに気付くことも多くなるでしょう。
でも、ギリギリにならないとエンジンがかからない癖があると、分かっているのに出来ないことが次々に出てきて、非常に強い自己嫌悪が出てきます。
そうすると自己嫌悪の悪循環にはまってしまって、このパターンから抜け出せなくなってしまうんですね。

それは過去の成功体験がモノを言ってるわけですし、逆に計画的にやってみて失敗した痛い経験があれば、その失敗感が余裕を持って物事を進めることを邪魔してるのかも知れません。

そして何よりの問題は、このパターンを繰り返してしまうと本来楽しいことでも、つまらなくなってしまうことなんです。
自分が動くにはネガティブな理由が必要になってしまうからです。
好きで始めた趣味が長続きしなかったりする背景にも、こうした要因があるのかもしれません。

こうした過去の成功体験が、現在の失敗の秘訣になってしまうことは少なくないので、こういう場合は成功体験をきちんと手放す(それは過去のことで現在は違うということをきちんと区別する)ことが大切です。


●ポジティブな目的意識を持ってみよう

また、そこで有効なのは「いかにポジティブな目的を見つけるか?」ということです。
「計画性を持って」なんて方法も幾度か考えられたと思うんですけど、きっと成功しなかったと思います。
計画を立てただけで満足しちゃったり、一日でもずれ始めるともう諦めてしまったり。

好きなことや必要なことと思っていても、感情的には怖れや不安にまみれて嫌なことになってしまうとギリギリまで取り掛かれなくなるわけですから、ここで“計画”を立てることは逆効果になってしまいます。
そして、失敗や自己嫌悪を助長することになってしまうんです。

もちろん、今、締め切りギリギリの原稿などを抱えてたり、明日が試験だったりしたら、もう、不安と怖れの世界に入ってますから、ちょっと手遅れです。

だから、少し余裕はあるけど、やんなきゃいけないと思っていることをまずは一つ見つけてみましょう。
そして、それをやることによるメリットをできるだけたくさん見つけてみるんです。
それが見つかったら、そのメリットをさらに膨らませてみるんですね。

例えば旅行の準備。
早めにやることでどんなメリットが浮かぶでしょうか?
・忘れ物が少なくなる。
・必要なものを買いにいける余裕が生まれる。
・早めに準備すれば、その分、心は一足早く旅行先に飛べる。等々。

さらにそのメリットを膨らませてみましょう。
ここでは気分的なものに注目することがポイントです。
・忘れ物が少なくなると −−> 安心感が生まれる・・・
・必要なものを買いにいけると −−> 余裕があっていい感じ・・・
・一足先に旅行先に心が飛べば −−> その分長く楽しめる・・・

もっともっと膨らませてみてもいいでしょう。
・安心感がいっぱい。
・余裕がすごくある。
・たくさん楽しめて、ニヤニヤしてしまう。

そうしてポジティブな理由を探そうとするだけで、そのやんなきゃいけないことに向き合えるようになります。

●開き直りということ。

後はいい意味での諦め、開き直りも大切です。
どうせしなきゃいけないことだし・・・ってきちっと向き合えるようになると、そんなに焦らずにやっていけます。

因みに僕も昔はずっとこんなパターンを繰り返していたんですけど、その不安や怖れに駆られるのがとても嫌で、すごく嫌で、できるだけ安心感、余裕を持って物事をやりたい!って思っていました。

この「もう嫌だ!!」と思うことが開き直りを早める簡単な方法になります。

いつも「もうギリギリにならなきゃできないなんて嫌だ」と思う一方で、やっぱり次回もギリギリになってしまうこともあると思います。
でも、そこで、本当に嫌なんだ・・・と、ギリギリになってしまった苦しみをたくさん味わってみることが大切なんです。

終わってホッとしてしまうと苦しかった分だけ、そのことを忘れてしまいがちになります。
そして、次からもまた同じ目に合ってしまいます。
喉もと過ぎれば何とやら・・・ですね。

だから、その嫌な気持ち(不安、怖れ、焦りなど)を徹底的に感じまくってみましょう。
それがきっかけとなって、開き直れることも少なくありません。

●余裕を持って向き合えるようになるために。

先ほど幼少の頃の話を持ち出しましたが、ギリギリにならないと動けないパターンは、とても歴史のあることが少なくないんですよね。
だから、すぐには好転せず、少しずつ変わって行くものでもあります。

僕も、ちょっと苦手なことなら、まずは、そこから手を付けようとすることもありますし、締め切りのある仕事の場合は、設定された締切日よりも2日ほど前を自分なりの締切日に設定してやるようにしています。

で、あとはその成功体験
「早めにやっておいてよかった〜。」
「安心する〜」
「ホッとする〜」
「自分をほめてあげられる〜」
を積み重ねていくことでした。

・・・とはいえ、今でも時々締め切りに追われてアタフタすることもありますから、完璧にやりこなすのは難しいですね。

他にも色んな背景が考えられると思いますが、皆さんの日常に少しでもお役に立てば幸いです。

関連する講座へのリンク集
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lec18. 私たちの成長プロセス 相互依存 成功の秘訣は失敗の秘訣 リーダーシップ編
lec.56. 考えてしまうこと〜思考という逃避〜
lec.58. 心が緊張する時
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