「直さなきゃ」が逆効果な時|自己否定の抜け方

自己否定が苦しいから「直さなきゃ」と頑張る。なのに、直るまで「今の私はダメ」を更新し続けて、ますます息が詰まる。
そんな悪循環に心当たりはありませんか?
受け入れを土台に、努力を楽にする新しい順番を提案します。

■自己否定がやめられないと苦しい

「こんな自分が嫌になる」
「このままの私じゃダメ」

そんなふうに自分を否定する言葉が続くと、心はずっと緊張したままになります。

頑張っているのに休めない。安心できない。息が詰まる。

だからこそ私たちは、「自己否定をなくしたい」と思うのだと思います。

■自己否定を「直さなきゃ」と思いやすい

自己否定が苦しいとき、その部分を直そうという発想をすることがあります。

•「気がきかない自分ってダメ」→「気がきく人にならなければ」
•「人に合わせすぎる私は弱い」→「ハッキリ言える自分にならなければ」
•「いつも不安になる私は未熟」→「不安にならない自分にならなければ」

直せば楽になる。変われれば解放される。
そう考えるのは自然ですし、前に進もうとする力でもあります。

■自己否定をなくそうとして逆に苦しくなる

しかし、直そうとしたことが逆に自己否定の苦しみの落とし穴にはまってしまうケースがあります。

「直そう」と決めた瞬間、心の前提がこうなりやすいのです。

• 今の私はダメ(良くない)
• 直るまで、このままの私では不合格

つまり「自己否定をなくすために努力している期間」が、皮肉にも、この自己否定を意識し続けながら生きる期間になってしまうことがあります。

例えば、「気がきかない自分ってダメ」という自己否定があり、そのせいで自信を持てず、苦しんでいるとします。

その自信のなさの苦しみから解放されるべく「気がきかない自分ってダメだ。気がきく人にならなければ」と自分を直そうとしたとします。

気がきく人になっていくまで3年かかったとします。

その3年間は、「気がきかない今の自分ってダメだ」と思い、自分を否定し続ける3年間になるわけです。

仮に3年で自分が思う目標地点の自分に変われればまだ良いのですが、そうじゃなかった場合は何年も、何十年も、そのことを感じ続けなければいけないことになってしまうこともあります。

■例でわかる:自己否定→改善→「まだダメ」が続く仕組み

たとえば「気がきかない自分ってダメ」がある人の場合。

(1)自己否定の出発点
「私って気がきかない。ダメな人間だ」

(2)直そうと決める
「気がきく人にならなきゃ」

(3)直るまで“今の自分はダメ”が続く
•「今日も気がきかなかった。やっぱり私はダメ」
•「気がきく人なら、こんな言い方しない」
•「また空気が読めなかった。ほんと最悪」
•「早く直さないと、私は価値がないまま」

この流れだと、成長のための努力をしているのに、毎日「今の自分はダメだ」を更新してしまいます。

自己否定の苦しみから抜けるために頑張っているのに、頑張るほど自己否定が増えることが起きるのです。

このようなパターンに陥ってしまうと苦しいですね。

■自己否定を「直す」のではなく「受け入れる」

直そうとしたことが悪いことではありません。
自分を良くしようとしたあなたの意欲であり、素晴らしさです。

しかし、そのやり方で良くなるというよりも、自己否定が強くなったり、苦しみが増えていく形になっているようであればやり方を変える必要があるのかもしれません。

ここで提案したいやり方は、自己否定を“改善対象”として追いかけるのではなく、自己否定の部分を「受け入れる対象」として扱ってみるのです。

・「完璧で無くてもいいんだ。こういうところがあってもいい」
・「完璧な人はいない、できないことがあってもいいんだ」

などのように、受け入れてみることにチャレンジしてみるのです。

「今の私じゃダメ」と思いながら頑張ると、努力するたびに「まだダメ」を確認することになります。

でも受け入れて「今の私でもOK」を土台にすると、努力は「より良くする工夫」になりやすいのです。

■自己受容を土台にすると、努力が楽になる理由

同じ「気がきかない」がテーマでも、受け入れるほうに舵を切ってみます。

(1)まず“今の私”を否定しない
「私は“気がきく人”として常に動けるわけじゃない。
疲れている日や余裕がない日は、気が回らないこともある。人は完璧ではないから、それでいいんだ」

(2)“ダメの修正”ではなく、“できることの幅を増やす”にする
「このままでも大丈夫。
その上で、できる範囲で“気がきく場面”が少し増えたら、私も人間関係も楽になりそう。
だから、ちょっとずつでいい、できない日があってもいい、できる範囲で増やしていこう」

(3)小さな工夫を1つだけ決める(=次の一歩を具体化する)
•工夫例:工夫例:自分のために動いてくれた人がいたら、ひとこと添えてみよう。
『教えてくれてありがとう』
『言ってくれて助かった』
『私の為に時間を使ってくれてありがとう』

こうすると、やっている努力は同じでも、土台が変わります。
「直るまでダメ」ではなく、「今もOK。その上で、できることを1つでも増やせたらすばらしい」になっていきます。

そして、この土台だと、増やせた分だけ「できた自分」を確認しやすくなります。
結果として、進歩感や自信が育ちやすくなる方も多いのです。

■自己否定が無くなるだけじゃなく自己肯定感があがる

自己否定が苦しいとき、私たちは「直していこう」と考えやすいものです。
その考えもすばらしいです。
(『直そうという考えの自分がダメなんだ』という新たな自己否定に陥らないように、これはこれですばらしいと思ってくださいね)

ただ「直そう」とするほど、土台に「今の私はダメ」が残り続けて、自己否定を更新してしまう形に陥ってしまう時は、やり方を変えてみましょう。

その時は努力の方向性を直すから受け入れるに変えていきましょう。
それが第1段階です。

第1段階として「今の自分でもOK」を思えると、自己否定の苦しさは和らぎやすくなります。

余裕があれば第2段階に進んでみましょう。
第2段階は「この自分でもいい」を土台にした上で、「こうなれたらもっと素敵」を選び直していきましょう。

自己否定をベースに「こうならなくては」ではなく、
「この自分でもいい」を土台にした上で、「こうなれたらもっと素敵」を選び、
そうなれたら、自己肯定感が上がり、自分をより好きになっていることかと思います。

今日から少しずつ、「私はダメ」を減らして、「この自分もOK」を増やしていけるといいですね。

(完)

心理学講座4回シリーズ/同シリーズ記事はこちら
    1. 自己否定が止まらないあなたへ:自分を傷つけない成長の方法
    2. 自己否定が続くのは「実感」がないから:自己否定を減らそう
    3. 否定の傷が自己否定に変わる理由|過去の悪影響から抜け出す方法
    4. 「直さなきゃ」が逆効果な時|自己否定の抜け方

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この記事を書いたカウンセラー

About Author

若年層から熟年層まで、幅広い層に支持されている、人気カウンセラー。 家族関係、恋愛、結婚、離婚、職場関係の問題などの対人関係の分野に高い支持を得る。 東京・名古屋・大阪の各地でカウンセリングや心理学ワークショップを開催。また、カウンセラー育成のトレーナーもしている。