「なぜ私ばかり損をしているの?」と感じることはありませんか。
今回、担当させていただく大門昌代です。
どうぞ、よろしくお願いします。
「なぜ私ばかり損をしているのだろう」と感じる場面は、職場や恋愛・夫婦関係など、さまざまな人間関係の中で見られます。たとえば、職場では誰も引き受けない仕事を頼まれたり、期限が迫った業務を任されたりすることがあります。
自分だけが残業していると、「他の人は余裕があるのに、なぜ自分だけ」と感じることがあるかもしれません。
恋愛や夫婦関係でも、相手の予定に合わせたり、家事や気遣いを多く担ったりすることで、「自分ばかりが与えている」と不公平感を抱くことがあります。
このように「損をしている」という感覚の裏には、いくつかの心理パターンが影響していると言われます。
ここでは代表的な3つのパターンを取り上げ、その背景と扱い方を考えていきます。
◆「頼られる=自分の価値」と感じやすい
子どもの頃から「しっかりしている」「面倒見がいい」と評価されてきた人は、役に立つことが自分の存在意義につながりやすいと言われます。
そのため、頼まれると断りにくく、「自分がやった方が早い」と考えて行動することがあります。
このパターンには、信頼される・安心感を得られるといったメリットもありますが、同時に負担が偏りやすいという側面もあります。
この場合、価値を“役に立つことだけ”に限定しないことが重要になってきます。
たとえば、「一緒にいるだけで安心感を与えている」「視点を提供している」といった形でも価値は存在します。
役割を固定せず、価値の幅を広げて見ることで、必要以上に抱え込まなくてもよいと考えやすくなります。
◆「期待していないつもり」で、実は期待している
「別に感謝してほしいわけではない」と思っていても、心の奥では「少しは気づいてほしい」「ありがとうと言ってほしい」という期待が生まれることがあります。
この“ささやかな期待”が満たされないと、不公平感や寂しさにつながりやすくなります。
この背景には「暗黙の契約」が存在する可能性があります。
自分は相手に配慮しているので、相手も同じようにしてくれるはず、という無意識の前提です。
しかし、相手がその前提に気づいていない場合、期待はすれ違い、結果的に「損をしている」と感じることになります。
このパターンに対処するには、まず自分が何を期待しているのかに気づくことが大切です。
必要であれば、言葉で共有することや、期待の基準を調整することも考えてもいいのかもしれません。
◆「察してほしいが、言えない」
「手伝ってほしい」「今は難しい」と伝えたいのに、遠慮して言えないことがあります。
「迷惑をかけたくない」「関係が悪くなるかもしれない」と感じ、我慢する選択をする人も多いようです。
しかし、その結果、周囲からは“余裕がある人”と見られ、さらに頼られることが増える場合があります。
このパターンを扱うためには、いきなり「はっきり主張する」必要はありません。
まず、自分がどの場面で負担を感じやすいかを理解することが重要です。
そのうえで、「今回は難しいので、○○だけお願いできますか?」といったちょっとした依頼から始めると、状況を調整しやすくなります。
◆それでも押し付けてくる人がいる場合
ここまでの心理パターンは、自分の内面を理解するために役立ちます。
しかし、現実には、相手側が意図的に責任を押し付けてくる場合もあります。
そのようなときまで「自分の心理パターンの問題」と捉える必要はありません。
むしろ、故意に負担を与えてくる相手に対しては、「NO」と伝えることが適切な対応となります。
NOを伝えることは攻撃ではなく、健全な境界線を保つ行動と言えます。
状況によっては第三者のサポートを借りることも選択肢になります。
◆まとめ
「私ばかり損をしている」と感じる背景には、頼られることを価値と結びつける思考、見返りを期待していないつもりで期待してしまう心理、察してほしいのに言えない葛藤など、さまざまな心理パターンが影響していると考えられます。
自分を責めるよりも、なぜそのような感覚が生まれるのかを理解することで、状況をより客観的に捉えやすくなります。
また、必要に応じて境界線を引くことも大切です。
状況に合わせて自分の立ち位置を見直すことで、負担の偏りを防ぐことにつながります。
参考になりましたら幸いです。
(完)