上司の影響力が職場を変える

職場での上司の態度や部下にかける言葉は、職場の雰囲気や部下の行動に大きく影響します。
あなたの態度や言葉がけで、部下の成長を促したり、働きやすい職場を作ることができたりするのです。

●上司の影響力はなぜ大きい?

私たちは、親や育ててくれた大人の影響を受けて育ちます。
子供は成長する中で、親の行動や考え方を無意識に取り入れ真似します。
また、子供にとって親は「自分を一番愛してほしい存在」でもあるため、親の顔色をうかがったり、機嫌を取ったりすることもあります。

子供にとって親は「自分よりも年齢や立場が上の人」ですので、大人になってからも、「自分よりも年齢や立場が上」である上司に自分の親を投影しやすくなります。

つまり、子供の頃に親の影響を大きく受けるのと同じように、部下は上司から大きな影響を受けるのです。

●上司の言葉がけが部下を成長させる

部下は上司の影響を大きく受けるため、上司が部下にかける言葉や態度は、部下の仕事への意欲や人間としての成長にも大きく影響します。

例えば、仕事でミスをした部下に「お前は仕事ができない」と言えば、部下は無意識にその言葉に影響されて、「仕事ができない人」という自己認識を持ったり、仕事へのモチベーションが下がったりします。
逆に、「いつも仕事を頑張っているね。ただ、今回のミスは改善してほしい」と言えば、部下は「仕事を頑張る人」という自己認識を持ち、仕事へのモチベーションも上がるのです。

上司が部下の良いところを認め、その良い部分を伸ばそうという意識で接すれば、部下は良い方向へ成長していくのです。

●職場全体への影響

また、上司の言葉がけや態度は、職場全体の雰囲気にも影響します。
上司がピリピリしていると、職場全体に恐れや不安が広がります。
部下が萎縮してしまい、自分の意見が言えなくなったり、職場全体の土気が下がったりします。
逆に上司の落ち着いた態度や、部下の意見を聞こうとする姿勢は、職場全体に安心感を与えます。

安心感とは「やさしさ」や「ホッとする」といったほんわかとしたイメージのものばかりではありません。
前向きに仕事に取り組む姿勢や、トラブル時のリカバリーする力、部下や周りの人への真摯な態度なども、部下に安心感を与えます。

心理学では、人が能力を発揮するためには、まず「安心感」が必要だと言われています。
安心感があると、人はのびのびと自分の才能を発揮出来たり、新しいことにもチャレンジしようといった意欲が出てきたりするのです。

上司が安心感を与えることで、部下は「自分の意見を言っても大丈夫」「新しい仕事にもチャレンジしよう」といった気持ちを持てるようになるのです。

●自分自身にも安心感を

とはいえ、上司も一人の人間ですので、落ち着いた態度で対応できないこともあると思います。

部下に安心感を与えるには、まずは上司自身が、安心感を持つことが大切です。
今までの自分のキャリアや取り組んでいる仕事に誇りを持ち、部下を信頼し、周りとの繋がりを感じながら仕事を進めていくことで、自分自身が安心感を持つことができるでしょう。

そして、その上司の安心感が部下に伝わり、職場全体をより良い方向に導くことが出来るのです。

この記事は「使えるビジネス心理学」としてメルマガでも配信しています
メルマガ詳細
この記事を書いたカウンセラー

About Author

孤独感、自己否定からのうつ病を克服した経験、大手企業に勤続30年以上の経験から、自分自身との関わりや生き方、親子・友人・職場などの人間関係全般などを扱う。 気持ちに寄り添う高い共感力と地に足の着いた安心感を兼ね備える。「話をして安心できた」「気持ちが明るくなった」と好評である。