部下を批判的に見てしまうときの対処法

◆部下を批判的に見てしまうことはありませんか?

部下を持つリーダーとして仕事をしていると、ときには部下に大きめの仕事を任せることがあるかもしれません。

たとえば、他部署やお客さんへのプレゼンを部下に任せるとき。
一生懸命に準備している部下を見守りつつも、準備が不足している部分をフォローしたり、ときには、資料の大半をあなたが準備することになったり、なにかとサポートをしたりて。

そうして当日、部下のプレゼンが無事に終わったとします。
準備の甲斐があって、部下が周りの人から「すごくわかりやすかったよ!」「優秀だね」なんて褒められている様子を見て。
あなたは、どんなふうに感じると思いますか?

「ああ、良かったなぁ。今回の仕事を通して、部下の自信を育てることができたんじゃないかな」
そんなふうに、良い気分を感じられたらステキですよね。

でも、中には
「え〜実際は私がほとんど手伝ったのに。自分は働けど働けど評価されないのに、部下はあの程度で評価されている……納得いかん!!」
って感じる方もいるのではないでしょうか。

さらに。
目の前の部下は、あなたから見たらまだまだ半人前なのに。
部下自身はすっかり「自分の力で仕事してます!」っていう気分でいるように見えたとしたら。
もっと納得がいかなくて、毎日モヤモヤしてしまうかもしれませんね。

納得がいかない気持ちや、部下を批判したくなる気持ちを感じると、「自分はなんて器が小さいんだろう」って自分の事を責めたくなることもあるし。
モヤモヤが止まらなくて、部下本人に冷たく当たったり、自分を評価してくれない上司に悪い態度を取ってしまったり。
仕事とは関係ない家族やパートナーに八つ当たりしちゃうことも、あると思うんです。

こんなモヤモヤを感じながら毎日を過ごすとしたら、当然、ちっとも良い気分じゃないし、楽しくもありませんよね。

そんなとき、リーダーであるあなたの心の中では、一体なにが起きているのでしょうか?

今回は、「与える」と「受け取る」という観点から見ていきましょう。

◆「与える」ことと「受け取る」こと、両方が必要

たとえば、部下に仕事を任せるとき、あなたは部下に「信頼」を与えています。
そしてフォローやサポートをしているとき、あなたは部下に「注目」を与え、自分の「時間」や「エネルギー」を与えていますよね。
この「信頼」「注目」「時間」や「エネルギー」を、一言で言い換えると、あなたは部下に対して「愛」を与えている、と言えるかもしれません。

じゃあ。
あなたは部下を愛してあげているとして。
あなたは、誰から愛してもらっているのでしょうか?
つまり、誰かの愛を「受け取る」ことを、しているでしょうか?

与えることは、とっても大切なことですよね。
だって私たちは、所属している会社や団体に自分の労働力を与えることで、対価としてのお給料をもらっているから。

同時に、「受け取る」ということも、すごく大切にしてほしいことなんです。
もちろんお給料も、会社からの「ありがとう=愛」が形になったもの、とも言えそうです。
でも私たちは、一緒に働いている仲間から認められたり、自分の価値を見てもらうことによって、「私はここにいる意味があるし、ここにいて良いんだ」と感じられて、心が満たされるのではないでしょうか。

与えるばっかりだと、いつかあなたのエネルギーは枯渇してしまいます。
ここでいう枯渇とは、
心がカサカサになって燃え尽きることかもしれないし、
イライラが溜まってブチ切れることかもしれないし、
モヤモヤしすぎて全て投げ出したくなることかもしれません。
どれにしても、やっぱり良い気分では毎日を過ごせなそうですね。
それに、燃え尽き・ブチ切れ・投げ出したい気持ちを、もしも行動にうつしてしまったら、あなたの評価が悪くなる可能性も出てきます。これは、困りますよね。

与えた分のエネルギーは、受け取ることによって補給する。
そうしてこそ、需要と供給のバランスが取れて、生き生きと気分良く毎日を送ることにつながります。

◆「受け取る力」は育てていくことができる

だけど、「受け取ることが必要」って言っても、誰も私を評価してくれないんだけど。
誰かが私に与えてくれなかったら、私はそもそも受け取りようがないんじゃないの?
そう感じる方もいるかもしれませんね。

でも、大丈夫。安心してください。
「受け取る」ということを意識することで、あなた自身の「受け取る力」を育てていくことができるんです。

実は、受け取り力を伸ばしていくためのヒントは、あなたの目の前にあります。
それは冒頭の例で言えば、「まだまだ半人前のくせに〜!」と思う、あの部下。
そして、あの部下を見ていて、あなたの心に湧いてくる感情。
これらが、ヒントになってくれるんです。

「人のふり見て我がふり直せ」とは、よく言われる言葉ですが。
もしも部下に「まだまだま半人前のくせに〜!」って思ったとしたら、ぜひ、「若い頃の自分は、どうだったかな?」って振り返ってみてもらいたいんです。

意外と昔の自分も、目の前の部下のように、自分1人の力で仕事をしている気になっていた、かも。
でも、当時のあなたも、上司や周りの先輩からいっぱいサポートされていたかもしれませんね。

だとしたら。
次に思い出してみてほしいのは、かつて、あなたをサポートしてくれていた人たちのこと。
「そういえば、ちょっとクセの強いお客さんのところに、先輩がいつも一緒に付いてきてくれたな」
「私が忙しくて余裕がなかったあのとき、同僚がよくお菓子くれてたな」
「心の調子を崩して遅刻しがちだった一時期、上司が飲みに誘ってくれたっけ(断ったけど)」
そんな小さなアレコレを、思い出してみてください。

さらに。
思い出した人たちから応援されていたこと、サポートされていたことを、「あらためて、受け取ろう」と思ってみてほしいんです。
現実に、応援してくれた相手に対して「15年前のあのときは、ありがとうございました!」なんて言わなくてもかまいません。
ただ、心の中で相手の顔を思い浮かべて、「ありがとう」って声に出して言ってみましょう。

心がポカポカしてくる人もいるだろうし、逆に、なんだか屈辱……って感じる人もいると思います。または「私、みんなからサポートされてたのに、ぜんぜん気がついてなかったんだ」って自分を責めたくなる人もいるかも。
でも、どんな気持ちを感じてもOKです。
ご自分を責める必要はありませんからね。
ただ、今からでも受け取ろうと思ってみる。それだけで、大丈夫。

◆生き生きと気分良く毎日を送るために

「くそ〜アイツばっかりズルい!」「私は評価されてないのに」って思うたびに。
繰り返し「私もあの人の同じくらいの年齢のとき、どうだったかな?」って振り返って、あのときサポートしてくれていた人を思い出して。
そして、今からでも、周りの人がくれていた「愛」を受け取ってみてください。

そんなふうに受け取る力を伸ばしていくことで、周りの人にエネルギーをもらって、またそのエネルギーを部下に与えていくことができたら。
あなたの心が枯渇しないで、「愛」を循環させることができるはずです。

そしてもちろん、今!あなたをサポートしてくれる人、あなたを応援してくれる人も、きっとそばにいますから。
「しんどいとき、誰に頼ろうかな?」って、周りを探してみてくださいね。

みなさんが、周りの人たちからの応援をいっぱい受け取れますように。応援しています!

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この記事を書いたカウンセラー

About Author

職場の人間関係をきっかけにうつ病になった経験を持つ。夫婦関係を見つめ直し心身ともに回復してきたことから「彼との距離が遠い」「人に頼れない」など恋愛・人間関係のご相談を得意とする。なんでも話せる安心感と、深い共感力に定評がある。クライアントの魅力や才能を引き出すことを大切にしている。