人はなぜ、ペットを飼うのか

ペットを飼うことで、自分の心の中にある愛ややさしさにふれられることができる

神戸メンタルサービスの平です。

こんなご質問を受けたことがあります。

「なぜ、犬や猫を飼おうと思う人がいるのか理解できません」

質問者はペットの魅力がわからないという人ではありません。むしろ、そこに猫がいれば猫かわいがりしてしまうというタイプの人です。

で、彼女はこう言うわけです。

「ワンちゃん、ネコちゃんを飼っちゃうと、旅行にも行けなくなるでしょ。だって、留守番なんてさせられないし、ペットホテルだって、ペットにしてみれば心細いですよね」

「あと、彼ができても、ペットを置いて彼のおうちにお泊まりするなんてできないと思うし。彼に来てもらってもいいけど、もしも、私の大事なペットが彼に嫌われてしまったりしたら、もう、どうすればいいかわからなくなっちゃうじゃないですか‥‥」

同じような感覚は、子どもをもつということに関してもっている人も多いかもしれません。

「子どもができると、自分のことは横に置いて、24時間面倒を見なくてはいけない」、などと。

それが負担なのかというと、たしかに多大な負担かもしれません。ペットも世話が焼けますし、それなりのお金もかかるでしょう。

ただし、多くの人はその負担以上に、ペットを飼うことで、自分の心の中にある愛ややさしさにふれられることができることに気がつきます。

一方、怒りという感情に支配された状況にいるときは、大きなストレスがたまります。なぜなら、人間は自分の中にある愛ややさしさを表現したい思っているようなのですが、怒りはそれを止めてしまうからです。

以前、ある会社の営業部長の職にある人が心身症を発症し、私どものカウンセリングを受けにおいでになりました。

その症状が出はじめたのは、彼がかわいがっていたインコが亡くなくなって以降ということでした。

彼は会社では“鬼の営業部長”と言われるほど、厳しく、厳しく、部下を育てるタイプでした。

しかし、根は優しい性格で、そのままの自分では部下になめられ、営業部長としての職をまっとうできないだろうと思い、職場では厳しい自分という仮面をかぶっていたのです。

そんな彼が、本来のやさしい自分に出会えるのが、家に帰ってペットのインコとふれあう時間だったわけです。

ところが、インコが亡くなってしまったため、彼はやさしい自分とふれあう時間を失くしてしまったんですね。

その結果、人に厳しい自分への自己嫌悪が募り、心身に不調をきたすこととなったのです。

多くの場合、ペットは飼い主であるあなたを信頼し、愛してくれますから、あなたのほうからも愛しやすい状況にあります。

そして、人はペットに愛ややさしさを惜しみなく注ぐことで、自分の中にある慈愛にふれることができます。

ペットはあなたの心のバランスを保つお手伝いをしてくれる存在ともいえるわけですね。

来週の恋愛心理学もお楽しみに!!

(完)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。