やりたいことを掘り起こしてみよう!

「これ、面白そうだな。」
「やってみたいな。」
そう思いながらも、なかなか手を付けずにいるものって、いったいどれくらいあるのでしょうね。

普段まったく意識していませんが、数えだしたらキリがないような気がします。
なぜ、興味があるのにやらないかと言うと、やはりやることの優先順位が低いからだと思います。

仕事の期限や人との約束事などは、相手のあることですから後回しには出来ません。
信用にも関わりますからね。

一方、自分との約束となると、誰に迷惑をかけるわけでもないので「そのうち」「いつか」と思っている間に、どんどん日が経ってしまうものです。
そう言われれば、誰しも多少なりとも経験があるかもしれませんね。
私もそんな人間の一人です。

ところが、先日50年来の旧友に会って非常に興味深い話を聞きました。
それは、長年興味がありながらやらなかったことを、ようやく始めたという報告でした。

そのキッカケになった出来事が、とても素敵だったんです。
本人の了解を得ていますので、お披露目したいと思います。

友人Kちゃんは、学生時代の同級生です。
私と同級生と言うことは、すでに60代後半。
孫が二人いるばぁばです。

東京で暮らしている娘さんが出産されたので、月に何日か神戸から通ってお手伝いに行っているとのことでした。
孫のためならエンヤコラ!
その気持ち、わかりますね。

ある時、東京に向かうために乗った新幹線が、悪天候のため数時間停車したことがありました。
いつ動き出すともわからない車内に缶詰状態。

普段、座席が隣の見も知らない人と話すことはほとんどありませんが、この時はさすがに「いつ動くんでしょうね。」というような会話になったようです。

Kちゃんは3席並びの端に座っていて、隣には親子連れが乗っていました。
お母さんと就学前とおぼしき女の子です。

まずはお母さんとポツポツ話していましたが、女の子は人見知りしないタイプらしく時々会話に加わって来ました。

年齢は5歳。
すごくはきはきした聡明そうな子です。

自分の好きなこと、やりたいこと、興味のあることを一所懸命に身振り手振りを加えて話してくれたと言います。

5歳と68歳ですが、どこかで引き合うものがあったのでしょうか?
目を輝かして自分の夢を語る女の子の姿に感動したそうです。

すっかり意気投合してお互いの呼び名を「こう読んで欲しい。」と決めてLINEの交換(その子のお母さんと)までしたんです。

もちろん、Kちゃんは5歳の子に「Kちゃんと呼んでね。」と言いましたよ。

和やかな雰囲気に包まれた時、その子が言いました。
「Kちゃんのやりたいことは何?」って。

その質問に対して、Kちゃんには一瞬思い浮かんだものがありました。
それは、クラシックバレエ。

毎日のように車で通っている道にバレエ教室があって、「いいなぁ、やってみたいなぁ。」とは思っていたそうです。
けれど、彼女自身がお茶の先生でお稽古があったりお茶会を主催したりする身だし、加えて東京の娘の世話、普段の生活の雑用等々を入れると「無理だわ。」になっていたのでした。

けれど、5歳の子にそう聞かれてパッと思い浮かんだということはGOサインですよね。
新幹線はようやく動き出し、東京に着いて母娘とはそこでお別れしましたが、神戸に戻って来てから「バレエをする時間」を本気になって考えたそうです。

まずシニアクラスの見学に行って、練習日の確認をしたところ水曜日の午前中なら何とかなることを発見しました。
自分と歳のあまり違わないであろう先生の姿勢の美しさにも感動したと言います。
人間、感情が動くと大きな行動力につながりますね。

まず、形から入るのも大事。
レオタードやトゥシューズを揃えて、鏡の前に立って「アン、ドゥ、トロワ」とやってみました。
鏡に映る自分の姿に愕然としたようですが、現状は素直に受け入れるしかありません。

それからはバレエの稽古に行って教室に入る時にはポーズを作って「ごきげんよう」とバレリーナになり切ってやっているとのこと。

自宅でも朝起きてきた夫に挨拶するのに、ポーズを取って「ごきげんよう」とやって呆れられたと言います。
そこでついたあだ名が【ババリーナ】
座布団3枚くらいあげて欲しいくらいのネーミングですね。

一方の5歳の女の子。
お母さんのその後の報告によると、Kちゃんがお茶の先生だったということに刺激されたのかお茶を習い始めたのだそうです。
人との出会いは、思いもよらないものをもたらしてくれますね。

今私は、こうしてKちゃんのことを書きながら自然と口元がほころんでいます。
彼女との付き合いが50年も続いてきたのは、私が彼女のこういうところを好きでたまらないからなんだとつくづく思います。

ともかく、Kちゃんのこの話は、普段記憶の底にしまい込んでいる「やりたいこと」を掘り起こし、実際の行動に移すことが大切だと教えてくれました。
この積み重ねが、人生の充実につながっていくに違いありません。
親愛なるKちゃんに、拍手を贈ります。

そして、次はこの記事を読んでくださっているあなたがやりたいことを掘り起こす番ですよ。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

1957年生まれのシニア世代。 自身の豊富な人生経験を生かした、自分らしく生きていくためのサポートが好評を得る。 得意ジャンルは、対人関係・自己啓発・恋愛。 “何かを始めるのに遅すぎることはない”の言葉通り、いくつになっても新しい人生を切り開いていけることを、身をもって実践している。