あなたにとって、大事な人、もの、ことはなんでしょう?
こんばんは
神戸メンタルサービスの平です。
彼は51歳。腎臓に病気があり、食事制限をしなくてはなりません。
しかし、飲むことが大好きで、宴会などにも誘われれば嬉々として行ってしまうので、医師のいいつけを守るどころか、生活管理がなっていないといつも指摘されています。
結婚はしておらず、子どももいません。両親も亡くなっているので、「自分なんかどうなってもいい」と自己破壊的なことを言うことがあります。
本来は人なつこく、優しい人柄で、人気者タイプでもあるのですが、淋しさをまぎらわすようにお酒を飲み、飲むと溺れてしまうという悪循環が続いています。
そんな彼なので、かかりつけの病院に行くと、いつも看護師さんからいつも厳しい指導を受けてしまいます。
いや、指導というより叱責といったほうがいいぐらいだったので、彼はこの看護師さんのことを煙たい存在だと思っていました。
が、あるとき、運動不足を感じていた彼が、一念発起してスポーツジムに通いはじめたんですね。
すると、なんとその看護師さんとこのジムで出会ったのです。
スポーツジムで会う看護師さんは、病院にいるときとはまるで別人でした。彼を叱ることはなく、快活に接してくれたのです。
彼女は彼よりだいぶ年下の43歳。独身で、いままで一度も結婚したことはありませんでした。
そして、彼はだんだん、ジムで彼女と会うのが楽しみになってきて、二人の仲は急接近し、おつきあいをすることになったのです。
そうなると、やはり気になるのが彼の健康のことです。
20代後半のときに両親が相次いで亡くなり、天涯孤独だと感じた彼は、淋しさを埋めるためにいろいろなことに挑戦しました。
しかし、淋しさを消してくれるものはなに一つとしてなく、彼はだんだん自暴自棄になっていったのです。
その彼に人生で初めての彼女ができ、突然、生き甲斐ができたわけです。
「この楽しい人生をできるだけ長く味わいたい」、彼は心からそう思いました。
そのためには健康第一であり、長年の不摂生と偏った食生活によってボロボロになった体を改善することが必要でしたが、その点、彼女が看護師というのは願ったり叶ったりの状況でした。
彼女のアドバイスをもらったり、野菜中心の食事を用意してもらったりして、だんだんと健康を取り戻していったのです。
そのころには、やけっぱちな生き方をしてきた彼も、前向きなことを考えるようになり、「彼女と結婚し、子どもも一人ぐらいはもちたい」と思うようになっていました。
私は長年、カウンセリングという心の仕事をしてきましたが、何度となく実感してきたのが、「人は大事な人をもつことで、肉体的な寿命を延ばすことができる」ということです。
たとえば、お子さんをおもちの方なら、「この子が成人するまでは死ねない」などと思ったことはきっとありますよね。
長生きをするためには、生き甲斐をもつことがとても大事なことであるようです。
心理療法の一つに、“アニマル・セラピー”があります。
これは、たとえば、老人ホームなどで犬や猫などのペットを飼い、入居者のお年寄りがペットの世話をするといった方法で使われています。
「このかわいい子たちともっと一緒にいたい」、「私が死んだら、この子たちの世話は誰がしてくれるのだろう」などと思うことで、健康に長生きしたいという意欲を引き出すことを目的にしています。
また、ある病院では、末期ガンの患者さんが「ドラクエ11をクリアするまでは死ねない」といつも担当の看護師さんに言っていたそうです。
そして、このゲームを攻略したのち、「これで本望」と言い、旅立っていかれたと聞きました。
あなたにとって、大事な人、もの、ことはなんでしょう? それらは、あなたの寿命を延ばしてくれることもあるようですよ。
来週の恋愛心理学もお楽しみに!!
(完)