自分を嫌わないだけで、職場の人間関係が良くなる理由

●人間である限り、完璧な人はいない

部下をもつ「上司」の立場だったり、新人さんが入社してきて自分が「先輩」という立場になったりすると、
「自分の方が、相手よりも『上』でいなければ」
「なんでも知っているベテランにならなければ」
なんていうプレッシャーを感じる方も少なくないと思います。

その思いの中には、「できない上司だなって舐められたくない!」という気持ちや、自分の上司からガッカリされたくないという気持ちもあるでしょうし。
「部下や後輩を導いてあげられる自分でいなくては」という意欲的な気持ちもあるかもしれません。

いつも朗らかで、めちゃくちゃ仕事ができて、同僚や部下にもフレンドリーで、誰からも好かれる上司。
そんな神様のように完璧な、理想の上司であれたらステキだけど。

私たちは、神様ではなくて人間なんですよね。
そして人間である限り、どこかしら不完全なところがあって当たり前。
国連の事務総長でも、国民的アイドルでも、大企業の社長でも!
残念ながら、完璧な人というのは存在しないようなんです。

●私たちが、自分の不完全な部分を嫌うワケ

だけど私たちはどうしても、自分の中にある「弱い部分」「不完全さ」や「悪いところ」を嫌ってしまいがち。
なぜなら、小さい頃から家では「どうしてこんなこともできないの?」って叱られたり。
学校でも通知表で「この教科が苦手だね」なんて突き付けられたり。
とにかく評価されることが多かった私たちは、そんな周りからのジャッジにいっぱい傷つきながら生きてきたところがあるからです。
そして、「できることが良いことで、できないのは悪いこと」という価値観を、普通のこととして受け入れている方も多いのではないでしょうか。

なんでも親に頼っていた「依存」の状態、つまり子どもの時代というのは、私たちの幸せは親次第で、自分に決定権がない、と言われています。
だから親や周りからのジャッジに一喜一憂して、振り回されたりもしたかもしれません。

その「依存」の状態から、私たちはなんでも1人でできるように、人に頼らず1人で生きていけるように、もう振り回されなくても良いように、心理的に「自立」を目指していくんですね。
この「自立」のステージでは、「いかに傷つかないか」ということが私たちの行動のモチベーションになる、と言われています。

そして、もう傷つかないためには、自分の中の「弱い部分」「不完全さ」や「悪いところ」を嫌って、なんとか「治そう」「正そう」とがんばるわけです。

でも。
自分自身が「弱い」「不完全」「悪い」って思っている部分って、周りの人から見ると、そんなにダメなところだと思われない! ということも、実はよくあったりします。

●自分が嫌っている自分は、実は周りの人からは嫌われていない!?

たとえば、あなたの同僚に、ものすごい方向音痴の人がいたとしましょう。
そして本人は、自分の方向音痴ぶりを決定的にダメだと思っているとします。
もしもその同僚が、あなたに決死の覚悟で、自分の欠点を打ち明けてくれたら。

「私ね……あのね、私ね……。
私、実は、どうしようもない方向音痴なの!!」

こんなふうに告白されたら、あなたはどう感じそうでしょうか?

「えええ〜ドン引き!もう友だち付き合いできないわ」
って思いそうですか?
それとも、
「えええ〜?それって……そんな深刻になるほどのこと??」
って思いそうでしょうか?
もしくは、
「えええ〜(笑)そうなんだ。じゃあ、私が一緒にいるときはナビするね〜」
って思いますか?

もう1つ。
たとえば、計算が大の苦手で、エクセルの数式で計算処理をしてすら、なぜかミスが多発する経営者がいたとします。
そしてやっぱり、本人はそのことをダメだと思って、恥じている様子。

そんな経営者の下で働いていたら、あなたはどう感じそうですか?

「経営者のクセに計算もできないなんて、人として終わってる」
って思いますか?
それとも、
「本人は隠してるつもりでも、とっくにバレてるんだよなぁ。別に隠さなくて良いのに」
って思いそうでしょうか?
それとも、
「言ってくれればいつでも代わりにやってあげるのに!」
って思いそうですか?

実際には三択じゃなくて、もっと色んなことを思うかもしれないけど。
敢えて選ぶとしたら、どうでしょう?

だいたいの人は、その相手が嫌いな人物でなければ、「へぇーそうなんだ」とか「じゃあ、困ったときは言ってね!」という程度の反応になると思うんです。
そもそも、私たちはビジネス上で関わる人に対して、そこまで思い入れを抱くことって、あまりありませんよね(笑)
他人が、なにが得意な人でなにが苦手な人なのか? くらいは知っていても、そのことでドン引いたり嫌ったりすることは、そんなにないのかもしれません。

だとしたら。逆も同じなんです。
あなたが、どれだけ自分のことを「ダメだな〜」って嫌っていたとしても。
その要素があるからといって、周りの人もあなたを嫌うということは、意外とないんですよね。

●自分を嫌わないでオープンにしていくと、人間関係が良くなる理由

ところで、私たちはどうして自分の中にある「弱い部分」「不完全さ」や「悪いところ」を嫌いになるのでしたっけ?

先にも書いたように、心理的に「自立」の状態を目指す過程で、「もう傷つかないぞ!」と堅く決意するからでしたよね。
だから自分のダメなところを嫌って、人から攻撃されないように隠したり「正そう」としたりする、とお話してきました。

だけど、もしも自分が「ダメだな〜」って思う要素を持っていても、別に人から嫌われたり怒られたりしないのであれば。
自分にダメ出しして、嫌う必要って、あるのでしょうか?

いや、ない! ですよね。

自分自身のダメなところを嫌わないで、むしろオープンにしていく。
「私って、とんでもない方向音痴なんだよね」
「僕、実は計算が壊滅的に苦手なんだよ」
そんなことを誰かに打ち明けるご自分のことを想像したら、怖すぎてとても考えられないかもしれません。

でも、もし誰かがあなたに、自分のダメなところを打ち明けてくれたら、どうでしょう。
なんだか信頼されているように感じて、心がポカポカするかもしれません。
「お役に立てるなら、喜んでフォローするよ!」って、相手を応援したくなるかも。
つまり、打ち明け話をされるのって、ちょっと嬉しいんですよね。

あなたが、自分のダメなところを嫌わないでいられると。
さらに、そのダメなところを相手にオープンにしていけると。
相手はあなたを嫌うどころか、親密感を感じて、応援したくなったりするんです。

そうすると、ダメなところを隠すストレスを感じない分だけ、いつも朗らかで。
もしかしたら、仕事は「めちゃくちゃ」はできないかもしれないけど。
同僚や部下と支え合えているなと感じられるから、フレンドリーでいられて。
結果的に、誰からも好かれる上司でいられる確率が高まるかもしれません。

私たちはみんな、不完全な人間だから。
「できないこと」や「苦手なこと」があるのは、悪いことじゃなくて、むしろそれが普通なんですよね。
それは、みんなでフォローし合うところ、つまり、自分と相手の絆を深めてくれるきっかけにできるようですよ。

みなさんが、ステキな人間関係に囲まれて生き生きと働けることを、心から応援しています。

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この記事を書いたカウンセラー

About Author

職場の人間関係をきっかけにうつ病になった経験を持つ。夫婦関係を見つめ直し心身ともに回復してきたことから「彼との距離が遠い」「人に頼れない」など恋愛・人間関係のご相談を得意とする。なんでも話せる安心感と、深い共感力に定評がある。クライアントの魅力や才能を引き出すことを大切にしている。