相手の態度がよくなければ、腹が立つのは当然ですが、その時、自分の中の「愛されてない」思いが刺激されて怒りが大きくなっているのかもしれません。
思いの違いが「自分は愛されてない」という気持ちを刺激しているとしたら
パートナーシップの問題のひとつは、一緒に過ごす時間が増えるほど、すれ違いを感じることが増える、というものです。
つきあった当初はあんなに近かったのに、いつの間にか心の距離を感じてしまう。
「どうしてわかってくれないの?」「私ばかり我慢している気がする」
そんな思いが胸を締めつけ、相手との関係に不安を感じてしまうことは少なくありません。
すれ違いや不安にはきちんとした理由があります。その理由を知っておくこと、必要な対策をしていくことが、二人のパートナーシップをより良くしていきます。
また、こうした不安は悪いこととは限りません。
二人がより深い関係へ進もうとする時に現れる通過点、という視点を持てた時に、いろいろな問題は意味を与えてくれるヒントになります。
◇二人の違いが「愛されない」という思いを刺激する
夫婦も恋人同士も、別々の家庭で育ち、価値観も感覚も異なる二人です。
意見が違うこと、感性が違うこと、それはごく自然なことです。
大切なのは、この「違い」をどう意味づけるか、ということにあります。
例えば、こんなケースを見ていきましょう。
話し合いをする時に、なかなか相手が自分の話をしてくれない、無口になってしまう、みたいなことが起こる時。
そんな風にされたら、
「向き合う気がない」「逃げている」
と感じてしまうことってありますよね。
この態度に嫌だなと感じることは誰にもあるはずで、それは無理もない話なのですが、
こう感じる理由って、もしかしたら、相手の態度に対して、
自分を愛してくれていると感じられないから、それが不安だから、腹が立ったりイライラする、のかもしれません。
ここで持っていただきたい視点があるのです。
それは、相手はあなたを愛していないのではなく、むしろ、愛しているからこそ
「言い合いをして傷つけたくない」とか、
「落ち着く時間が欲しい」とか、
こんな風に思っているというケースもある、ということなのです。
相手が黙っていては誤解されても仕方ないわけですが、
私たちは、相手の態度から、自分が愛されてないと誤解して、相手を敵のように感じてしまうことが、結構あります。
この時、相手の気持ちを確認できたら、その場で誤解は解けるのですが、この確認をしないまま、あるいは、確認ができないままになってしまうと、相手のことを敵対して、それが二人の関係を悪くしてしまうことになったりもするのです。
◇自分を守るために心を閉ざすということ
人は傷つくことから身を守るために、無意識に心を守ろうとします。
例えば、
① 怒って相手を責める
② 気持ちを閉ざす
③ 何でもないふりをする
④ 我慢しすぎて心を麻痺させる
みたいな感じです。
ところが、これは本心からやっているのではありません。
本当は、
「もっと愛してほしい」「わかってほしい」
だけなのに、素直に言えないために、別の言動で隠していることも多いのです。
二人がすれ違っている時は、お互いにこうしたことをしあったり、時には、相手はそんなつもりはないのに、自分の方が、こうした形を取ってしまうことがあるのですね。
大切なのは、こうした言動を取っている時、自分を守るためにやっていることだと気づくこと。
気づくだけでも、ここから出ていく方向に心は動きやすくなります。
◇違いは愛の否定ではないという視点
そして、次にこんな視点も持ってみましょう。
二人の意見が食い違っている時。価値観の違いが出てきた時。
ここで大切なのは、
意見の違い=愛されていない
と感じてしまっていることに気づくことです。
そして、違いは、ただの違いであり、価値の否定とは限らない、という視点を持っておくことがとても大切なのですね。
パートナーが違う意見を持っているとき、
「私と違う」ではなく、
「この人には私とは違う世界がある」
と受け止める視点を持つことができたら。
なかなか難しい視点ですが、こうした見方をしてみたいと思うことが、愛されていない誤解を解く力になります。
価値観の違いや、すれ違いは、パートナーシップの問題として言われますが、問題は、そのことそのものではない場合も沢山あります。
それを愛されないという誤解として受け取ってしまうことが問題を作り出すのです。
この誤解に気づき、心の奥にある本当の不安を理解し、整理や癒しにつなげていけた時、愛されないという誤解を起こしにくくしていけます。
(続)