部下のミスに途中で気づいた時、信頼を損ねない上司の対応

部下から引き継いだ業務を進めている最中に、ふと「何かが気になる」という違和感を覚え、よく確認してみたところ部下のミスに気づいた。
内心焦りや怒りを感じてしまいどのように振舞えばいいのかわからない。
そんな経験はないでしょうか?

こうした場面では、普段冷静に対応ができる上司でも思わず焦りや残念な気持ちを抱くことがあるかもしれません。
このような時は、上司としての関わり方が大切になります。
どのように向き合うかによって、組織内の信頼や部下の成長が違ってくるのです。

今回は、部下から引き継いだ業務を進める中で部下のミスに気づいたとき、上司としてどのような姿勢や態度、対応が望ましいのかについてお伝えします。

■ミスに気づきにくくなる要因

どんなときにミスが起こりやすいのか。
・内容が複雑
・書類やデータの不備
・引き継ぎ内容の抜けや洩れ
・伝達ミスや口頭のみで記録に残っていない
・業務量の多さから余裕がなくなっているなど
オフィス業務では、一見問題なさそうに見えていたけれど、後からミスが見つかることも。
さらに、引き継ぎを頼む相手と引き継ぐ側の理解が十分でないことも、ささいな行き違いが思わぬミスにつながることがあります。

■思い込みがミスを見落としてしまう

私たちには、先入観や思考のクセ・偏りがあり、自分は大丈夫だろう、と思い込むことがあります。
部下のミスに気づけなかったのは、正常性バイアスが影響していたのかもしれません。
人は、問題があるかもしれない状況でも「いつも通りだろう」「大丈夫だろう」と思い込む傾向があるのです。

例えば、相手を信頼していたから、「ミスをしないだろう」「きっとミスをしないはず」と無意識に思いこんでしまっていた。

日頃から、任せたことは責任をもって取り組んでいる、真面目に仕事と向き合う姿を見ていたから。
また、部下から業務を引き継いだ別の同僚も、何も問題がなくスムーズに進められていたこともあり、「いつも通りにうまくいくだろう」、「間違えないだろう」と思い込んでしまったのかもしれません。

その安心感が、いつもはしている注意をはらう、確認しようとする意識が薄れてしまうことがあります。
ミスをするはずがないと思っているわけですから、確認作業が抜けやすくなるようなのです。

■自分の感情を整理する

ミスは誰にでも起こりえるものですし、特に引き継ぎの場面では見落としが生じやすいものです。
とはいえ、いざ自分の身に起こると「まさかこんなことが起きるなんて」というような、予期せぬ事態に不安や戸惑いを感じることも自然な反応なのかもしれません。

自分のミスであれば、責任を負う覚悟は持てるもの、人から引き継いだ業務でミスが発覚すると、どこか割り切れない思いが残りモヤモヤするのです。

こうした感情は、「ミスに気づかず書類を提出していたら、自分の責任になっていたかもしれない」、
「ミスに気づけない上司という評価になっていたかもしれない」そんな不安が頭をよぎるのかもしれません。

また、ミスを見落としてしまった自分自身へのふがいなさや失望を感じているのかもしれません。
そうした気持ちが、ミスをした部下への苛立ちや失望に変わり、「なんでこんなことしたんだ」とつい責めるというような対応になってしまうことがあります。

ただ、上司であっても焦りや戸惑い不安な気持ちを抱くのは自然なこと。
感情的な指摘は、部下や周りとの信頼関係を損ねるリスクがあります。
さらに上司の一言が部下の今後の成長意欲に影響を与える可能性もあるので、その時の感情に流されないことが大切です。

相手を責めることは、実は自分を責めていることにもなりますので、ここでは自分も相手も悪くないという視点に立つことをおすすめします。
自分がなぜこんな気持ちになっているのか?
自分の感情を知り受け止めることで落ち着くことがあります。状況を整理することで前向きな対応ができるのではないでしょうか。

■ミスを責めない上司の対応

感情のままに言葉を発すると、こちらの意図がうまく伝わらないことがありますし、相手を責めるような言い方になってしまいがちです。
怒られていると感じてしまった相手は不快な気分になり、黙りこんだり反論してくることも考えられます。
そうなると、ミスをどのように解決するかという建設的な話し合いができなくなってしまいます。

まずは、自分の感情を整理し深呼吸して、落ち着くことです。
そのうえで、「部下と前向きな対話をする」ことを意識する。

どんなに優秀な人でも、信頼が厚い人でも、ミスをする可能性はゼロではないと思います。
だからこそ、疑ってみるのではなく、念のために確認をすることが大切になります。

どこにミスがあったのか、そのミスがどのように作用するのか、原因の把握と事実を冷静に確認する。
自分が見落としたことも受け止め、責任を追及するのではなく責めない表現で伝える。
自分が修正できるような小さなミスなら、修正しそのことを伝える。
再発防止を一緒に、またはチーム全体で考える。
ミスは自分にも部下にとっても学びや成長の機会と捉えること。

こうした上司の落ち着いた姿勢が、部下からの信頼を損ねずに良い関係が築けるのではないでしょうか。
ミスに気づき冷静に対処することで、上司としての評価や信頼、チーム全体にも良い影響を与えるかもしれません。

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この記事を書いたカウンセラー

About Author

様々な困難を自分の中に受け容れ、乗り越えた経験に基づく懐の深さは、ジャンルを問わず幅広い世代から支持を得ている。感性と直観を活かし、「言葉で表せない気持ちを言語化してくれる」と定評がある。「しなやかに生きる」をモットーに、自己価値の見直し、自己実現に向けたカウンセリングを提供している。