一歩踏み出す力と挫けない心 〜自己効力感〜

自己効力感という言葉を聞いたことはありますか?
自分には、目標を達成する能力を持っている。と感じることが出来る感覚の事を自己効力感と言います。
わかりやすく言えば「出来そう感」「やれそう感」「イケそうな気がする」感覚の事です。

よく似た言葉に自己肯定感というものがありますが、自己肯定感とは、無条件に自分の存在を肯定できる感覚の事で、「誰が何と言おうと私は私で良い」と感じる事ができる感覚の事です。

自己肯定感は、自分自身を肯定的に受け止める感覚。
自己効力感は、「自分なら出来そう」と思える感覚の事です。

何か新しいことにチャレンジする。
環境が変わり1から始めなければならない。
以前から興味のあった事に挑戦してみたい。
仕事、転職、プライベートなど、「自分なら出来そう」という感覚を持てるほど、何かを始めるための精神的な敷居は低くなります。

「自分なら出来そう」「とりあえずやってみよう」そんなふうに心のフットワーク軽く、チャレンジしやすい気持ち。自己効力感を高める方法を紹介します。

1.達成体験を積む
アルバートバンデューラという心理学者が行った実験があります。
1日6ページの計算ドリルを行うAグループ
1週間に42ページの計算ドリルを行うBグループ
目標を立てずに計算ドリルを行うCグループ
それぞれに分けて自己効力感を観察したところ、BとCのグループに大きな変化が見られなかったものの、Aのグループには明らかな自己効力感の向上が見られたそうです。

このことから、長期的な目標より短期的な目標を定め、適度に達成しやすい目標を達成して達成体験を積み重ねることが大切だと分かります。
つまり、例えるなら1週間で腕立て伏せを100回行うという目標を定めるより、1日10回腕立て伏せを行うという目標をコツコツ積み重ねることで自己効力感を高めることが出来るということです。
特殊な器具を要しない筋トレなら、手軽に始める事ができますし適度に頑張って達成する目標という意味では、かなりお勧めできます。

2.人の成功を観察する
人の成功体験をよく観察する事でも自己効力感を高めることができます。
人は、自分と似たような人の成功体験を見ることで「自分にも出来るのではないか?」と錯覚する傾向があります。
YouTubeなどで解説動画ややり方動画を見る事で、「なんだか自分にも出来るのではないか?」と思えるという事です。

私が小中学生の頃、テレビで映画の酔拳が放送された翌日に、学校で酔拳の達人が急増するという現象がありましたが、酔拳を習得する成功体験を見た結果「自分にも出来そう」という自己効力感が高まった結果なのかも知れません。

3.言語的説得
言語的説得とは、言葉にして励ましや肯定的な言葉をかける事です。
「君なら出来る!」「いいぞ!すごい!」「がんばれ!」と、励まされたり肯定的な言葉をかけられる事で「とりあえずやってみよう」と思えるようになります。
出来る出来ないではなく、「やってみよう」「頑張ろう」と一歩を踏み出す力、前に進む力になります。
他者からの励ましや肯定的な言葉は、自己効力感を高めることになります。
自分自身にかける励ましや肯定的な言葉も、踏み出す力、前に進む力になりますので、言葉にするようにしてください。

さいごに
私自身、レザークラフトで革の財布を作った事があるのですが、取り組むまでは「自分にできるわけがない」と自己効力感は、とても低い状態でした。
しかし、革財布を作る動画をたくさん見て自己効力感が高まり、周りからの言語的説得に「とりあえずやってみよう」と動き出し、実際に作り上げる事ができました。
自己効力感が高いと、失敗をしても挫けません。失敗から学び新たな一歩を踏み出し、前に進もうとするので、結果として目標を達成する確率が高まるのです。

この記事が、一歩踏み出す力、挫けない心である自己効力感を高め、目標達成のヒントや成功の後押しになりましたら幸いです。

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この記事を書いたカウンセラー

About Author

我慢や犠牲的な生き方、依存的な恋愛、生きづらさを乗り越え、独立開業やカウンセラーになる夢を叶える。ユーモアに富んだ表現で心理学をわかりやすく伝え、クライアントの魅力や可能性を見続けて、クライアントと一緒に「その人らしく」「楽になる方法」を考えるスタイルに好評を得ている。