感情に振り回される人が感情を落ち着けるには~感情デトックスとカタルシス効果~

心が軽くなる「自分への思いやり」で始める感情のデトックス

【感情デトックス入門】感情をコントロールしようとして、抑え込んでいませんか?実はそれ、逆効果かもしれません。心理学の「カタルシス効果」で、溜め込んだ感情を安全に解放しませんか?具体的な方法5選を解説します。イライラや不安を消化し、穏やかな心を取り戻すヒントをお伝えします。

「自分の感情に振り回される」「感情の波が激しい」「気持ちがいっぱいいっぱい」など、感情を落ち着ける方法を探していませんか?

「感情をコントロールできるようになりたい」と望まれる方は少なくありません。「不安でしかたない」「怒りにとらわれる」「失恋の喪失感で何も手につかない」「さみしさが埋まらない」など、感情の影響力が大きいことは、どこかで体験したことがあるのではないでしょうか。

感情が邪魔になるからと抑え込むと、一時的には感情をコントロールできたと思えるかもしれません。しかし、ひとたび感情を刺激する出来事があると、抑え込んだ感情が暴れ出してしまうでしょう。感情をコントロールするよりも、安全に解放して消化する方法を身につけてみるのはいかがでしょうか。

今回は、心の中に溜まった感情やストレスを安心して解放する「感情デトックス」の方法をご紹介します。

●感情の存在を認める

私たちの感情は、存在を認めると落ち着く性質があります。「わかってくれない!」と怒ったり、悲しくなったりした経験があるのではないでしょうか。

感情は駄々っ子みたいなもので、「僕がここにいるよ」って気がついてもらえば落ち着きます。しかし、「なかったことにしよう」と抑圧していると、「僕に気づいて」と大暴れします。どんな感情であっても、「ここにある」と存在を認めることが大切なのです。

そして、世界で一番あなたの気持ちをわかっている人は誰でしょうか?

自分自身がご自分の理解者でいてあげていただきたいのです。理解を他人に求める場合もあるでしょうけれど、残念ながら人は人を100%理解することはできません。まずは、自分が自分の気持ちに気づいて、どんな感情の存在も認めていくことをおすすめいたします。

【レッスン】感情に気づく

自分自身の感情に気がつくには、書き出しワークをしてみましょう。誰にも見せない本音を、思うままに紙に書き出してみてください。ひたすら書き出していくうちに、「こんなふうに感じていたんだ」と、核心の感情が見つかるでしょう。

●カタルシス効果

心の中に抑え込んでいた感情を表に出すことで、気持ちがすっきりして楽になる心理的な作用をカタルシス効果といいます。逆に、感情を無理に抑圧すると、ストレスや心の不調の原因となると考えられています。

無意識的にすでに取り入れている方もいらっしゃると思いますが、安全に感情を解放する方法をご紹介します。

1)涙を流す

感動する映画を観たり、悲しい音楽を聴いたりして号泣すると、その後スッキリした気持ちになるでしょう。

2)言葉にする

信頼できる人に、溜め込んでいた愚痴や悩みを話し、聞いてもらうことで、気持ちが軽くなりやすいでしょう。また、今の気持ちをひたすら書き出すことも、感情の解放につながります。

3)声を出す

話すことも声を出す方法の一つですが、直接気持ちを言葉にしなくてもOKです。カラオケで歌う、朗読する、ひとりで車の中で叫ぶなど、声とともに体の外に感情が出ていくようです。

4)創作活動をする

絵を描いたり、文章を書いたり、音楽を演奏したりすることで、言葉にならない感情を表現していくことでも、感情は解放されます。

5)体を動かす

ウォーキングやヨガやストレッチなど、軽く体を動かすことでも、モヤモヤした気持ちが発散されるでしょう。落ち込んだり、気持ちを切り替えたりしたい時には、軽く体を動かしてみてくださいね。

なお、「怒り」の感情については、特に安全な場での解放を心がけていただければと思います。また、「怒り」については、単に攻撃的に発散するだけでは、かえって攻撃性を強めてしまいます。「怒り」は核心の感情ではなく、二次的な感情です。核心の感情を解放するには、「なぜ、こんなに腹が立つんだろう?」と掘り下げていただくことをおすすめいたします。

●感情を消化するために

過去に感情的な人に振り回された経験があったりすると、自分が感じる感情を認めるのに抵抗が出やすいかもしれません。特に、ネガティブな感情を抱える自分を自分で批判したり、責めたりしてしまうようです。

しかし、「こんなふうに感じてはいけない」「こう思う自分はダメ」などと思うと、感情は解放されませんし、消化されません。どんな感情を感じても、「今はそう感じているんだね」と自分にOKを出してみてください。現状を全部肯定することで、感情は扱いやすくなります。

それには、親しい友人を思いやるように、自分自身に優しさと理解をもって接していただければと思います。自分への思いやりを持つ、自分に慈悲を向けてみると、「今はそう感じているんだね」と自分自身の心に寄り添っていけるでしょう。

「どんな感情も感じてOK」から、感情デトックスを始めましょう。

(完)

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この記事を書いたカウンセラー

About Author

自己嫌悪セラピスト。心理学ワークショップ講師(東京・仙台) 「自分が嫌い」「自分はダメ」「私は愛されない」などの自己否定、ネガティブな感情・思考をリニューアルし、自信や才能・希望へと変換していく職人。生きづらい人の心が楽になる気づきや癒しを提供。テレビ・Web記事の取材にも多数協力。