婚活の比較から自由になる
「友達はみんな結婚しているのに、私はまだ…」
「アプリで見る人はみんなキラキラしているのに、私なんて」
こんなふうに、つい他の人と自分を比べてしまうことはありませんか?
恋愛において「比較」と「劣等感」は、多くの人が苦しむテーマです。比較は一瞬で心を締めつけ、劣等感は「私には価値がない」という思い込みにつながります。そしてそれが積み重なると、本来の自分らしさを押し殺し、恋愛そのものを楽しめなくなってしまうのです。
今回は「比較と劣等感」に光を当て、そこから自由になる方法を一緒に考えていきましょう。
◆ 比較はなぜやめられないのか
心理学では、人は誰でも「社会的比較」をしてしまうと言われています。自分がどの位置にいるかを知るために、他人との違いを測るのです。
問題は、それが「幸せ」の物差しになってしまうことです。「結婚しているから幸せ」「いいねが多いから価値がある」など。そうやって他人を基準にしてしまうと、心は常に不足感にとらわれます。
さらにSNSやマッチングアプリは比較を強める道具になります。笑顔の写真、充実して見える生活、魅力的に見えるプロフィール。私たちは「見せたい部分」だけを見ているにもかかわらず、それを「現実」と思い込み、自分と比べて落ち込んでしまうのです。
◆劣等感の正体
劣等感は「私は他の人より劣っている」という感覚です。でも、その多くは事実ではなく「思い込み」にすぎません。
たとえば「私はかわいくないから愛されない」と思っていても、実際に大切にされている人は外見の完璧さではなく、安心感や誠実さを持っています。恋愛に必要なのは「他人と比べて優れていること」ではなく、「一人の人と心を通わせられること」です。
劣等感は「私は足りない」という気持ちから生まれます。でも、本当は「足りない」のではなく、「自分を正しく見ていないだけ」なのです。
◆ 比較と劣等感から自由になる3つの工夫
では、比較の罠から抜け出し、劣等感に振り回されないために、どんな工夫ができるでしょうか。
・比較ではなく、昨日の自分を見る
他人と比べる代わりに、「昨日の自分」と比べてみましょう。昨日より笑えた、昨日より一歩踏み出せた。小さな進歩を見つけることができれば、他人との比較は必要なくなります。
・劣等感を言葉にして書き出す
「私は〇〇だからダメだ」と思ったとき、その言葉を紙に書き出してみましょう。すると「本当にそうだろうか?」と冷静に見られるようになります。劣等感を心の中だけで抱えていると肥大化しますが、言葉にすると現実的な大きさに戻ります。
・自分の物語を肯定する
他人と比べると「遅れている」と感じるかもしれません。でも、人生の速度や順番は人それぞれです。「私は私のペースで歩いている」と認めることは、自己受容の大切なステップです。過去の経験や今までの歩みを否定するのではなく、それも含めて自分の物語だと肯定することで、心は自由になっていきます。
◆ケースから学ぶ「比較の罠」
ある30代の女性のクライアントさんは、同年代の友人たちが次々と結婚していく中で、「私だけ取り残されている」と強い劣等感を抱いていました。彼女はSNSで友人の幸せそうな投稿を見るたびに、自分を責め、焦りと不安に押しつぶされていたのです。
カウンセリングで取り組んだのは「昨日の自分」との比較でした。「今日は勇気を出して初めての人に話しかけられた」「先週よりも不安が少なく過ごせた」と、自分の小さな成長に注目していきました。
さらに「私は私のペースでいい」という言葉を毎晩ノートに書き、繰り返し自分に伝えました。数か月後、彼女は「人と比べる時間が減って、自分の歩みに安心できるようになった」と話してくれました。
比較に振り回されるのではなく、自分の物語を大切にすることが、劣等感から自由になる第一歩なのです。
◆まとめ 婚活は自分基準でするもの
恋愛における比較と劣等感は、誰もが抱きやすい心のテーマです。けれども、その感情に縛られてしまうと、自分の価値を見失い、幸せな恋愛から遠ざかってしまいます。
大切なのは、他人を基準にするのではなく、自分自身を基準に生きること。昨日の自分と比べて少しでも進んでいることを見つけること。劣等感を言葉にして現実的に見つめること。そして「私は私のペースでいい」と、自分の物語を肯定すること。
どうか忘れないでください。あなたは、他人より優れているから価値があるのではありません。比べなくても、あなたはすでに十分に価値のある存在です。そのままのあなたで、愛される資格を持っているのです。
比べる恋愛から抜け出したとき、あなたは初めて「私らしい恋愛」に出会えるでしょう。
(続)