「短気は損気」という言葉があるように、短気を起こして結果的に自分にとって不利益となってしまう事があります。
ついカッとなってしまい、人間関係に亀裂が生じてしまった。
取り返しのつかないトラブルに発展してしまった。
大きな損失に繋がり落ち込んでしまう。など、短気が原因の悩み事も多いのではないでしょうか。
怒りを我慢しようとしても、瞬間的に沸き起こる感情に我を忘れてしまい、気付いた時には自己嫌悪や罪悪感を感じてしまうという話はよく耳にします。
自己嫌悪や罪悪感が無くとも、怒りを感じて気分が良いというものでもありません。
できれば怒りたくないと思っている人がほとんどのようです。
短気は損気と分かっていても、なかなか上手くコントロールできないものですが、ついカッとなってしまう仕組みを理解すれば対策もしやすくなります。
ついカッとなってしまう気持ちを理解して穏やかな気持ちで過ごせるよう考えてみたいと思います。
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先日、道幅の狭い歩道を歩いている人がいました。
行く先には電柱があり、さらに道幅が狭くなっている所に差し掛かろうとしていました。
向こうからは、自転車が来ておりお互い譲る気配はありません。
両者すれ違いざまに睨み合い、あわや一触即発。
歩行者の意見としましては、「歩道を歩いている私が正しい」「自転車が歩道を走るなんて間違っている」
自転車の意見としましては、「道幅が狭くなっている場所で立ち塞がる方がどうかしている」「意図的に進路妨害する方が間違っている」
といった感覚でしょうか?
両者ともお互いの言い分、正義があるようです。
どちらが正しいとか間違っているとか判断する立場にありませんし分かりかねますが、両者ともに譲る気持ちが無かったのは確かなようです。
正しさを主張しようとすると、自分と違う意見が許せなくなり、ついカッとなって感情的になりやすくなります。
自分の正しさと相手の非を主張する時、「私は正しい、相手が間違っている」「私の方が優れている」「私は悪くない、相手が悪い」と相手を罰するような攻撃的な気持ちになります。
その結果、罪の押し付け合いをする状態になってしまいがちです。
正しさの証明ではなく、幸せの選択をしようとすると、どちらかが罪を引き受けなければならない状況になると言えるでしょう。
罪を引き受けたくないものですから、「私が悪かった。ごめんね」が言えず、なかなか罪を押し付け合う争いが終わることはありません。
しかし、それを引き受けたとしても、罪を背負う必要はありません。
引き受けた罪は、降ろせば良いし、許せば良いのです。
引き受けるのは罪ではなく、許しです。
許しを引き受けることができるのは、正しい人だけです。
間違った人には引き受けることができません。
正義感が強く、正しい人が引き受けてあげて下さい。
そして許してあげて下さい。
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ついカッとなってしまう人には、「相手から攻撃されているのではないか」と捉える癖がある人もあります。
道を譲る譲らない話を例にみても、「相手は、わざと嫌がらせをしている」「私に対して意地悪をしている」と自分に対して敵意や悪意を向けていると判断してしまうのです。
果たしてそうなのでしょうか?
もし敵意や悪意を向けられているとすれば、どれだけの事をしたのでしょう?
もしかすると、あなたの魅力に惹かれて判断が遅れただけかも知れませんし、好意を抱いて近づこうとしたのかも知れません。
「それは違う」と思われるでしょう。
僕も違うと思います。
それと同様に敵意や悪意を向けられているというのも違うと思います。
相手の気持ちは、相手にしか分かりませんし、直接聞いてみないことには分かり得ません。
ただ自分の気持ちは、自分が一番わかりますから、敵意や悪意を向けているのは自分自身ということになります。
「相手は、敵意や悪意を持っている」と、『自分が嫌な気持ちになる判断をする』という攻撃を自分にしているということです。
この場合、意識して自分に都合の良い考え方をしてみるのも良いかも知れません。
相手の気持ちは、聞いてみない事には分かりません。
もし仮に相手が敵意や悪意を持っていたとしても、自分に都合の良いように考える事ができれば腹も立ちません。
相手の悪意や敵意に応える必要はありません。
もし相手の気持ちに応えて同じように感じているのだとすると、相手の気持ちに共感しているとも言えます。
それはつまり、相手の気持ちに寄り添って同じ気持ちを感じてあげられる優しい人という事なのかもしれませんね。
腹が立つような考え方は、習慣化して身に付いているかもしれませんが、腹が立たないような考え方も練習して習慣化することで身に付けることが出来ますので、是非とも挑戦してみて下さいね。
仮に事実、相手から敵意や悪意を向けられているのであれば、自分だけでも自身に愛情を向けてあげるようにしなければいけません。
相手を責めるよりも、自身を守ることを第一に考えて下さい。
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どれだけ心が広く穏やかな人であったとしても、心に余裕が無くなれば溢れますし、爆発することもあるでしょう。
感情とウンコは、出した方が良いと言われます。
しかし、お腹が痛くなったからといって交差点の真ん中でパンツを下ろしてしゃがみ込んではいけません。
感情も腹が立ったからといって相手にぶつけてしまっては、トラブルになってしまうので避けた方がいいですよね。
気持ちをぶつけるのではなく適切かつ安全な場所で出すことで、溜め込まないようにして下さい。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
何かのヒントになれれば幸いです。