赤ちゃんとの毎日は、気づけば一日中お世話に追われて、「終わりがないな」と感じることも多いのではないでしょうか。
授乳におむつに夜泣き、家族のご飯の支度に洗濯や掃除などの家事もある。
目の前の赤ちゃんや家族を大切にしたいと思えば思うほど、「もっと頑張らなきゃ」と思い、心はどんどんすり減っていってしまうこともあるかもしれません。
私自身も、娘が赤ちゃんの頃はまさにそんな日々でした。
気づけば一日があっという間に過ぎていく。そんな毎日の中で、人との出会いや言葉に救われて、「全部をひとりで抱え込まなくてもいいんだ」と気づけた出来事がありました。
今日はその実体験から得た、“ひとりで抱え込まない子育て”のヒントをお伝えできたらと思います。
どうか、読んでくださっている方の心が少しでも軽くなりますように。
子育ての始まり
私が娘を授かったのは、41歳のとき。ようやく出会えた小さな命に胸がいっぱいになる一方で、「ちゃんと子育てしていけるかな…」という不安もありました。
その頃、私は仕事を辞めて主人の住む土地に引っ越したばかり。
親戚も友人も近くにいない中で、夫は協力的ではあったけれど、仕事で家を空けることも多く、気づけば「ワンオペ育児」の毎日だったのです。
ふと鏡に映る自分を見て、「私は社会から取り残されてしまったのかな…」と大きな孤独感を感じてしまうこともありました。
そんなときに出会ったのが、出産した産院に来ていた保健師さんでした。
人との出会いで世界の見え方が変わった
産後2週間検診のとき、産院の助産師さんに状況を打ち明けると「この人に話してみるといいわよ」とある保健師さんを紹介していただきました。
その方は、明るくてとても親しみやすく、どんな話にも真剣に耳を傾けてくださる方。
初めて会ったのに、不思議と安心できたのを覚えています。
「全部ひとりで抱えなくていいよ。育児はチーム戦だからね」
「お母さんが倒れちゃったら、もっと大変になっちゃうから」
その言葉に、私は気づかないうちに「全部ひとりで背負い込んでいたんだ」とハッとして、ふっと肩の力が抜けたのを覚えています。
心のことを学ぶ中で、「人との出会いが人生を変える」とよく聞くのですが、私にとってこの出会いは、自分の見ている世界をガラッと変えてくれました。
小さなリフレッシュで笑顔が戻る
その保健師さんは、たまに一時預かりを使ってみるといいよと、提案してくれました。
一時預かりというものがあるとは知っていましたが、使ってみようという発想がなぜかなかったんですね。
提案されるままに、思い切って試してみると、ほんの1時間、カフェでコーヒーを飲んだだけなのに、驚くほど心と体がゆるんだんです。
たった1時間でも「こんなにほっとできるんだ」。
そのときに感じた安心感は忘れられない出来事になりました。
そして、家に帰ると疲れ果てた顔でなくて、自然な笑顔で子どもに向き合っている自分がいたんです。
母親の笑顔は、子どもにとって「ここは安全だよ」というサインと言われています。
子どもは、お母さんの表情や雰囲気から「ここは安全かどうが、大丈夫かどうか」を敏感に感じ取っているんですね。
だからこそ、母親の笑顔は子どもにとって何よりの安心感になる。
そう思ったら、母親が笑顔になることが何よりも一番大切なことなんだと、心から実感したんです。
受け取るということ
私が娘につきっきりだったとき、夫は買い物や夜のミルクを担当してくれたり、家庭を優先して動いてくれたりと、たくさん支えてくれました。
思えば、最初に「産院に相談してみたら」と勧めてくれたのも夫でした。
振り返ると、その頃の私がいちばん必要だったものは、身近な支えを素直に受け取ることだったのだと感じています。
それはパートナーかもしれないし、保健師さんや友人、ご近所の方かもしれません。
小さな支えを受け取るたびに、「あぁ、私はひとりじゃない」と思えるようになってきました。
心に余裕がないとき、私たちは無意識に「これ以上しんどくならないように」と、ひとりになりたくなるようなのです。
私自身もそうでした。人と関わることは会話や気配りなど、思っている以上に大きなエネルギーを使います。
だから「ひとりで全部やってしまったほうが楽」と思ってしまうものも自然なことなんだと思います。
けれど、心がしんどいな…と感じたときに、誰かの手をそっと握ってみると、「守るだけ」だった心が少しずつ「誰かに守られている」という安心を取り戻していきます。
そして「ひとりで抱え込まなくてもいいんだ」と感じられたとき、見えている世界がやわらかく変わっていくのを感じられるようになるのだと思うのです。
小さなヒント
私たちはつい自分を労わることを忘れてしまいます。
でも、母親である私たち自身が元気で笑顔でいることが、子どもの成長にとってもいちばん大事なことのひとつなんです。
・ほんの短い時間でも、自分のためにひと息つくこと。
・信頼できる誰かに話を聞いてもらうこと。
・身近な人にちょっと頼ってみること。
それだけでも、心はふっと緩んでいくことができます。
子育ては、嬉しさと同じくらい大変さもあるもの。
だからこそ、どうかひとりで抱え込まずに、誰かの支えをそっと受け取ってみてくださいね。
それが周りめぐって、あなたの大切な家族や子どもを守ることにもつながっていることを、ぜひ忘れずにいて欲しいなと思います。
みなさんの笑顔をそして子育てを心から応援しています。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。
来週金曜日は、池尾千里カウンセラーがお送りします。
どうぞお楽しみに。