人との境界線が曖昧になると心が疲れていく理由。
そこには、心の境界線が曖昧になっている心理が影響していると言われます。
境界線を整え、自分のペースを保ちながら関わるための視点を解説します。
今回担当させていただく大門昌代です。
どうぞよろしくお願いいたします。
人と関わる中で、こんな感覚が続くことはありませんか。
相手の表情が少し険しいだけで「何かしたかな」と胸がざわつく。
誘いを断っただけなのに申し訳なさが残る。
「いいよ」と答えたのに、心の中ではため息が出る。
帰り道にどっと疲れたり、ひとりの時間でも相手の言葉が浮かぶ。
こうした違和感は、心の境界線が曖昧になっているサインでもあります。
境界線とは、“自分の気持ち・時間・責任” と “相手のもの” を区別する心のラインのこと。
このラインがぼやけると、相手の気分が自分のことのように感じられたり、期待を背負ってしまうことがあります。
たとえば、頼まれごとで予定が押し出されたり、家族を優先していたら自分の時間がなくなったり、返信に焦ったり、話を聞いただけで心が重くなるとき。
当たり前のこととして見過ごしがちですが、境界線が重なっているのかもしれません。
ここからは、境界線が曖昧になりやすい3つのパターンをお話ししていきますね。
① 相手の気分に引っ張られてしまうとき
同僚の様子が不機嫌そうだと「私のせい?」と不安になったり、家族の声のトーンに必要以上に気を遣ったり、返信がこないだけで落ち着かなくなることがあります。
背景には、雰囲気を悪くしたくない、トラブルを避けたい、相手を傷つけたくないという“人間関係を大切にしたい気持ち”があります。
ただ、相手の機嫌は、疲れや体調、別の出来事など“相手の事情”によることも多いもの。
だからこそ最初のステップは、自分の気持ちと相手の状態を混ぜないこと。
心の中だけでいいので、“相手の気分は相手の領域”と区別してみることが助けになります。
② 頼まれごとと自分の余力が混ざってしまうとき
日常には、断るか迷う場面がいくつもあります。
友人やママ友からの急な依頼、PTAや地域の役割、実家の“ついでにお願い”、職場の“少しだけ手伝って”の積み重ね。
予定が詰まっているのに引き受けてしまい、後で自分の時間が押し出されていることに気づく。
とはいえ、いつでも断れるわけではありません。関係や状況を考えることもあります。
だからこそ大切なのは、“引き受ける/断る”の二択にしないこと。
今日は難しいけれど明日ならできる。
全部は無理だけれど一部分ならできる。
長くは無理だけれど短時間なら関われる。
いまは返事ができないのであとで返す。
こうした“少しの調整”が、余力と関係をどちらも守る境界線になります。
③ 尽くすことが関係維持になってしまうとき
友人の相談に長くつき合ったり、家族に合わせるのが当然になっていたり、職場で調整役を担ってしまうことがあります。
優しさが根底にありますが、続くと気力がすり減り、自由な時間がなくなり、「この人はやってくれる」と期待され続けてしまいます。
関係を保つために必要なのは、尽くし続けることではなく、自分がすり減らない距離感。
すぐに返事をしなくてもいいと許可を出したり、会う頻度を少し減らしたり、自分の予定を先に確保してから調整したり。
たったそれだけでも境界線は整い始めます。
境界線が整うと、相手の気分に振り回されにくくなり、自分のペースが守られ、無理をしない余裕が生まれます。
その結果、関係は穏やかで長く続きやすくなります。
いきなり大きく線を引く必要はありません。
小さな工夫からで大丈夫です。
たとえば、頼まれたその場で即答せず「少し考えてから返事しますね」と伝えてみる。
相手だけでなく、自分の予定や体調も判断材料に入れてみる。
境界線とは、自分をすり減らさない関わり方を選べるようにする工夫なのです。
境界線が曖昧になると、
・相手の感情を背負う
・頼まれごとでいっぱいになる
・尽くしすぎて疲れる
といった日常のしんどさが生まれます。
境界線を整えるとは、冷たさでも距離を置くことでもなく、“ちょうどいい距離で関わる選択肢を持つこと”。
ときどき自分に問いかけてみてください。
「これは相手の領域?それとも自分の領域?」
参考になりましたら幸いです。
(完)