その正体は「基本的帰属の誤り」という心理バイアスです。
この脳のクセを知るだけで、無駄なイライラが減り、人間関係が劇的にスムーズになります。
信頼される人が無意識にやっている「見方の転換」のコツをお伝えします。
なぜ他人に厳しくなる?「性格のせい」にする脳のクセと対策
人と接する時に「なんであの人はああなんだろう?」と思うことはありませんか?そして、その理由を「あの人は〜な人だから」と納得していないでしょうか。
人の行動の原因を考える時に、その人の性格のせいにしやすく、状況の影響を軽視してしまうことがあります。これを、心理学的には、基本的帰属の誤りといいます。
これは誰にでも起こりやすい現象です。大切なのは、「人はみんなそういう判断をしやすい」ということを知って、「性格のせいではなく、環境や状況のせいかも?」と発想を広げていくことです。
環境や状況に目を向けると、「あの人はだらしない」「あの人は冷たい」とは少し違った判断ができて、人間関係がなめらかになるかもしれません。
●他人の行動と自分の行動
例えば、会社に遅刻した人がいたとします。
あなたはどう思うでしょうか?
「いい加減な人だ」「時間にだらしない人だ」とか、無意識に遅刻の理由を「その人のせい」にしていないでしょうか。
でももし、自分が遅刻したとしたら、どうでしょう。
「電車が遅れた」「急な電話に対応していた」「目覚まし時計がならなかった」など、具体的な状況を遅刻の理由に考えませんか。
自分にだけ、言い訳しているわけではないでしょう。自分には甘く、他人には厳しいという話でもないでしょう。そもそも人間にはそう考えやすい脳の働きがあるんです。
●基本的帰属の誤り
心理学でいう「基本的帰属の誤り」とは、他者の行動の原因を、その人の性格や能力といった内面的な要因と理由づけ、状況や環境などの外的な要因を軽視してしまう認知バイアス(気づかないうちに起こる考えの偏り)です。
他人の行動は目につきますが、その行動の背景にある状況は把握しにくいものです。私たちの脳は大量の情報を処理する必要があり、理由をつけて納得しようと働きます。そのため、手っ取り早く「その人の性格のせい」にして処理する傾向があります。だから、誰しも、他人の行動の理由を他人の性格のせいにする誤りに陥りやすいのです。
そして、「あの人は自己中心的だ」「あの人は優柔不断だ」「あの人はいい加減だ」「あの人は怒りっぽい」などといった判断をし、相手との関係に溝を作ってしまったりします。
●行動の背景にある理由
人とかかわる時に「人が行動するには何か理由がある」と考えられると、相手への理解の幅が広がります。
例えば、こんな場面を想像してみてくださいね。
あなたと電話をしていて、ずっと黙っているお客様がいたとします。こちらが話しかけているのに、沈黙しているとしたら、相手に対してどう思うでしょうか?
この時に、「基本的帰属の誤り」を起こしていると、「暗い性格なのかな」「話すのが苦手な人なのかな」などと思うかもしれません。あるいは、人によっては「失礼な人だな」などとイライラするかもしれません。私たちはつい、相手の性格に理由を探してしまいがちなんですね。
こんな時こそ、「性格のせいにするんじゃなくて、相手の状況を考えてみよう」と立ち止まっていただきたいのです。もしかしたら、緊張して固まっているのかもしれない、何を話そうか考えているのかもしれない、こちらの声が聞こえていないのかもしれない、周りに人がいて話せないのかもしれない、いろんな状況が想像できるかと思います。
状況が想像できると、相手にかける言葉が変わってくるでしょう。例えば、「こちらのお声は聞こえていますか?」「もしかして、お声が出しにくい状況ですか?」など。
相手の性格や能力のせいにするのではなく、状況や環境の事情も含めて理解しようとしたら、相手も心を開きやすくなるでしょう。
●信頼のある関係には
立場を逆にして考えてみましょう。もし、あなたが相手にとって何か失礼な行動を取らざるをえない状況だったとしましょう。
次のどちらの人を信頼したいでしょうか。
Aさん「またダメだったのか。あなたって人は…」
Bさん「あなたはこんなことをする人じゃないのに、今回はどうしたの?」
Bさんに「心からの謝罪がしたい」し、Bさんを「大切にしたい」と思うのではないでしょうか。信頼って、こういったところからも生まれるものです。
●私たちにできること
誰にでも「理由がある」のに聞いてもらえなかった悲しい思い、気持ちや考えを「わかってもらえない」切ない思い、そんな経験があるはずです。だからこそ、私たちは、理由を聞いてくれる人、理解してくれる人を求めています。
この記事を読んで、私たちの脳はちょっぴりせっかちで、つい相手の性格のせいにしがちなことを知っておいていただければと思います。そして、相手の行動の原因を考える時に、相手が置かれた状況や環境にも目を向けてみましょう。あなたが相手の本当の姿を理解してかかわると、信頼のある関係が手に入るでしょう。
(完)