その怒りの奥には、無価値感と寂しさが隠れているかもしれません。
二人の関係を変える処方箋をお届けします。
■「これだけしているのに…」と怒るパートナーの心理とは?
「私としては感謝もしてるし、愛してるんですけど、相手は感謝がないとか、冷たいとか、愛していないと言って切れる
んですよね」というご相談をいただくことがあります。
「パートナーさん的にはどんなふうに怒るんですか?」とお聞きすると…
・「僕はこれだけしているのに君は冷たい」
・「これだけしてあげているのに君は僕のことを大切に思ってない」
・「俺はこれだけ尽くしているのに、君は俺に関心がない」
という具合に、「これだけしているのに」と怒っているとのこと。
※パートナーが女性の場合は、「俺・僕」→「私」、「君」→「あなた」に置き換えると、よりご自身の現状に
当てはめやすいかもしれません。
■「愛されるには〇〇しなきゃ」の思い込みが苦しさを生む
このタイプの方のその言葉の裏には、「何かをしなければ愛されない」という心理を持っていがちです。
そのままの自分では愛されるとは思えず、何かをしないと愛を得られないと思っています。
たとえば:
・愛されるためには稼がなければ
・愛されるために犠牲を払わなければ
・愛されるためには我慢しなければ
・愛されるためには相手を優先しなければ ・愛されるためには役に立たなければ
などのように、「愛されるためには何かをしなければならない」とどこかで思い込んでいます。
そのため、「これだけしているのに愛が得られていない」という怒り方になりがちなのです。
■“無価値感”があると、愛を感じにくくなる理由
さらにその心理の奥には、「何かをしなければ愛されない」と思うくらい、自分の価値に自信を持てていないと
いう無価値感の心理があります。
それくらい自分の価値に自信がないので、愛を感じるためには大きな刺激が必要になります。
たとえば、帰りが遅くなって家に帰ったときに、パートナーが起きて待っていてくれたとしましょう。そんなと
きに「愛されてるなぁ」と感じる人もいるでしょう。
しかし、無価値感が強い人は、そうは感じられず、「遅くまで起きてるんだなぁ」くらいにしか思えなかったり
します。自分のために待っていてくれていたとは感じられないのですね。
無価値感が強いと、愛を感じるにはもっと強い刺激が必要になります。「好きだよ」というような直接的な言葉
や、スキンシップなど、心に強い刺激があったときに「私は愛されている」と感じます。
そのため、パートナーとの関係で強い刺激の表現が少ないと、愛情を感じられず、愛情不足に陥りがちになりま
す。(※パートナーが実際に愛していないのではなく、「愛を感じにくい」心になっているため、愛情不足にな
るということです)
その結果、孤独や寂しさを抱えがちです。
「これだけしているのに愛が得られていない」というのは、パートナーが愛していないからではなく、無価値感
が愛を感じにくくさせているのです。
■寂しさが怒りに変わるとき、心の中で起きていること
その寂しさが募ると、やがて怒りに変わっていきます。
・「僕はこれだけしているのに君は冷たい」
・「これだけしてあげているのに君は僕のことを大切に思ってない」
・「俺はこれだけ尽くしているのに、君は俺に関心がない」
などなど、孤独や寂しさが怒りに変わって、攻撃的な言葉として出てきてしまいます。
これは、孤独や寂しさによる苦しみがあり、その苦しみに「気づいてほしい」というSOS的な叫びと捉えるこ
とができます。
■「怒り」はSOSのサイン。だけど、受け止めるのは難しい
とはいえ、「これは愛を感じられなくて、孤独や寂しさからの叫びなんだろうなぁ」と見抜ける人は、読者の皆
さんのように心のことに興味を持つ方でないと、なかなかいないかもしれません。
そして、深層心理的には孤独や寂しさからの叫びなのですが、表面的には攻撃的な表現で伝わるため、言われた
側は怖かったり、嫌な気持ちになったりします。
そうするとどうなるかというと、言われた側は、攻撃的な態度に対して気持ちが冷めたり、距離を置きたくなっ
たりしてしまいがちです。
そうなると…
・「好きだよ」というような直接的な言葉も減り、
・スキンシップも減っていき、
ますます愛を感じにくくなる悪循環に入り、さらに孤独や寂しさが募る……
という流れになりがちです。
そしてさらに攻撃的になり、言われるほうはますます気持ちが冷めていく、距離を取りたくなる。
お互いにとっての「うんざりの悪循環」が生まれてしまうのです。
■関係の“負のループ”を断ち切る。無価値感を超えて届く、愛の言葉。
この悪循環を止めるには、「孤独や寂しさ」という苦しみがあることを理解し、その苦しみを癒してあげること
が必要です。
孤独や寂しさが癒されていくと、攻撃的な表現も徐々に落ち着いていきます。
そして、その孤独や寂しさを癒すには、「無価値感があるために、愛を感じるには強い刺激が必要」という心の構造
を理解することも大切なポイントです。
あなたが愛する努力を怠っているから孤独や寂しさに陥っているのではなく、無価値感の影響で、文脈・雰囲気・態度などから愛を察したり、感じ取ることが難しいのです。
ですので、強い刺激で愛を感じさせてあげることが必要です。
たとえば、
・「愛してるよ」
・「好きだよ」
・「大切に思っている」
・「感謝してるよ」
といった、わかりやすい言葉で伝えることが、功を奏することが多いようです。
愛されていると感じられると徐々に孤独と寂しさから怒りが消えていくでしょう。
彼を、孤独と寂しさの闇から救い出してあげられるといいですね。
そして、その結果として、あなたにとっても心地よいパートナーシップが築けていくと素敵ですね。
良い循環になっていくことを祈っていますね。
(続)