約束が守れない人の中には、最初から適当に言っているのではなく、断れない気持ちや場の空気を丸く収めたい気持ちが強くて、その場で引き受けてしまう人がいます。
この回では、なぜ引き受けてしまうのか、なぜ約束を守れなくなるのかを解説していきます。
「今度の土曜、手伝ってくれない?」
「この件、今日中に返事もらえる?」
「次のデート先、決めてくれる?」
こう聞かれた瞬間、反射的にこう言ってしまう。
「いいよ」
「大丈夫」
「任せて」
言ったときは、本気なんです。
相手を助けたい気持ちもあるし、角を立てたくない気持ちもある。
「ここで断ったら、空気が微妙になるかも」。そんな感じがして、とりあえず引き受ける。
ところが、あとから苦しくなる。
時間が経つほど気が重くなる。
そして結果的に、約束を守れない。
約束が守れない理由は他にもたくさんありますが、今回は「その場でOKしてしまう」タイプに絞ってお話ししますね。
1)「断る」より先に、気まずさを避けたくなる
断れない人は、断る気がまったくないわけではありません。
ただ、その場でまず浮かぶのが、こういう心配です。
・断ったら、相手が困るかも
・断ったら、感じ悪いと思われるかも
・断ったら、関係がぎくしゃくするかも
こういう心配が出てくると、「できるかどうか」を落ち着いて考える前に、場を丸く収める方に気持ちが動きやすくなります。
そして、反射的に「いいよ」と言ってしまうことが起こります。
2)一人になったときに「本当は…」が出てくる
その場では頑張れそうに思える。
相手の顔を見ていると「何とかなる」と感じる。
でも、帰って落ち着いたり、翌日になったりすると、こう思う。
「疲れてるな」
「正直、気が進まないな」
「思ったより重い話だったな」
「ほんとはやりたくなかったかも」
これは性格が悪いとか冷たいとかではなく、人としてよくあることです。
ここで起きやすいのが、その場でOKした時点では、こういう気持ちをちゃんと見ないまま約束してしまうこと。
その結果、心の中がこうなります。
「引き受けたのは自分」
「でも、今の自分にはしんどい」
こうやって相反する二つの気持ちが出てくると、葛藤が生まれます。
葛藤が生まれると、どっちにも決めきれなくて、動けなくなってしまうことがあります。
やらなきゃと思うほど気が重い。
気が重いほど、後回しになる。
これが先延ばしの始まりです。
3)先延ばしが始まると、ますます言いづらくなる
「やっぱり無理そう」と気づいた時点で言えたらいい。
でも、このタイプの人は、なかなか言えません。
・今さら断ったら悪いよね
・期待させたままになってる
・「最初から言ってよ」と思われそう
・ここで断ったら、嫌われるかも
だから「もう少し頑張ればいけるかも」と粘ります。
でも粘るほど時間がなくなる。
時間がなくなるほど焦る。
焦るほど頭が回らない。
そして最後に、約束を守れない。
(守れなかったことより、“言えないまま時間が過ぎる”方がつらくなることもあります。)
ここでしんどいのは、約束を守れなかったことに加えて、“言えなかった自分”も責めてしまうことです。
「またこうなった」
「どうして私は…」
そうやって自己嫌悪が強くなると、次もまた、その場で「いいよ」と言いやすくなります。
4)「いいよ」と言うことで、自分の立場を保ちたくなることもある
断れない人が大事にしているのは、相手だけではないことがあります。
たとえば、こんな気持ち。
・役に立つ人でいたい
・いい人だと思われたい
・頼られたら応えたい
・断って嫌な感じに思われたくない
この気持ちが強いと、その場では「いいよ」と引き受けやすくなります。
でも、後から自分が苦しくなる。
つまり、「約束を守れない」は、段取りの話だけではなく、
“自分がどう見られたいか”が絡んでいることがあるんです。
5)約束する前に一回止まる
この話は、約束の入口の話です。
その場でOKしやすい人は、約束する瞬間がポイントになります。
約束する前に、ほんの一瞬でいいので自分に聞く。
「今の私、本当にできる?」
「やりたい?やりたくない?」
「断るのが怖いのは、何が起きそうだから?」
この確認を一回しておくだけで、
“その場の空気でOKしてしまう”が減っていきます。
そして、迷うときは即答しなくてもいい。
「ちょっと予定見てから返していい?」
「一回確認してから返事するね」
こう言えるだけで、守れない約束が減っていきます。
その場で「いいよ」と言ってしまうのは、人との関係を大事にしたい、場を丸く収めたい、そういう気持ちが強いだけかもしれません。
ただ、その気持ちが強いほど、自分の本音が置いていかれて、あとで苦しくなることがあります。
約束を守れないときは、自分を責める前に“なぜその場でOKしたくなるのか”を見てあげる。
そこから、約束の仕方は変えていけます。
参考になりましたら幸いです。
(続)