■「いかがでしょうか…?」堂々とクロージングできますか?
営業が苦手。そう感じたことがある方も多いのではないでしょうか。
「いかがでしょうか…?」と、相手の顔色をうかがいながら、語尾がどんどん小さくなる。
そして、そんな自分がまた嫌になって、ますます自信をなくしてしまう──。
商談やプレゼンのたびに、ひとり反省会を開くのがルーティンになっている、なんて方もいるかもしれません。
実際、営業には「結果が出るかどうか」という“外的な評価”がつきまとうもの。
そのせいで、伝えること自体が怖くなってしまう方も多くいます。
けれど、そうした営業の不安や苦手意識は、「あるコツ」を知ることで、ぐっと軽くなるかもしれません。
■“心が折れる目標”を立てていませんか?
営業に苦手意識を持つ方の多くは、目標設定を
「契約を取る」
「次の予約をもらう」
「リピートしてもらう」
といった、“結果が相手次第になってしまうもの”に置いていることがよくあります。
一見、営業として当然のように思えるかもしれません。
でも実はこうした目標は、“自分ではコントロールできない部分”が含まれているため、達成できなかったときに、自分の価値まで否定されたような感覚に陥りやすいのです。
たとえどんなに素晴らしい提案ができたしたとしても、「断られる=失敗」と捉えたり、もっと言えば、それが続くうちに「私という人間そのものが拒絶されたのでは…?」という気持ちになってしまう方もいるかもしれません。
これでは、誰でも心が折れてしまいますよね。
■「自己完結型の目標」に変えてみる
営業が苦手と感じる方におすすめしたいのは、「自己完結型の目標設定」です。
たとえば──
・今日、3人にサービスの提案をする
・資料を渡しながらメリット、デメリットを説明する
・初回の提案で断られても、再アプローチの時期を確認する
このように、自分の意思と行動だけで完結する目標に設定するのです。
「提案できたからOK」「伝えられたから達成」と思えるようになると、毎日、目標を達成できている自分でいられるようになります。
すると、何度でも落ち込まずにチャレンジできるようになり、気持ちの余裕が生まれるぶん、改善点も自然と見えてきます。そして、気がつけば結果も後からついてくる。
そんな好循環が生まれるかもしれません。
「目標を変える」──たったそれだけで、心の消耗がグッと減っていくのです。
■気持ちを動かせなかった自分にがっかりする前に
営業で「契約されなかった」「リピートにつながらなかった」──
そんなとき、まるで「伝えたいことがあったのに、届かなかった」
「相手の気持ちを変えるほどの力が、自分にはなかったのかも…」
そんな風に、“気持ちを動かせなかった自分”に、がっかりすることがあるかもしれません。
でも、本来、相手の気持ちは“相手のもの”。
どれだけ誠実に提案しても、タイミングや状況によって、結果が変わることもあります。
“コントロールできない部分”を目標にしていると、そのたびに振り回されて、疲れてしまいます。
だからこそ、「提案できたらOK」「丁寧に伝えられたら達成」といった、自分の行動だけで完結する“自己完結型の目標”を持っていると、結果への執着が少しずつゆるみ、心の余裕が生まれてきます。
すると自然と、
「今日はお話を聞いてくださり、ありがとうございました」
そんな一言を、心から穏やかに伝えることができるようになります。
むしろ、その温度感こそが、相手に「また連絡してみようかな」と思わせるきっかけになることもあるのです。
“気持ちよく終われる”ことが、“次に繋がる信頼の種”になるのです。
■自分とタッグを組む、という感覚
営業の場面で大切なのはもちろん「お客様との信頼関係」ですが、まずは「自分との関係性」を見直すことも欠かせません。
思うような結果が出なかったとき、
「悔しいのは、結果を出したかったからだよね」
「それだけ役に立ちたかったんだよね」
「でも、伝えるべきことを伝えられたよ。おつかれさま!」
と、自分に声をかけられるかどうか。
※これは心理学でいう「セルフ・コンパッション(自己への思いやり)」の力です。
自分を励まし、支え、安心させることで、私たちは「またやってみよう」と思えるようになります。
営業が怖いときほど、自分とタッグを組む。
そんな感覚を持てると、どこに行くのも、何を話すのも、“ひとりじゃない”という心強さが育っていきます。
同じ実力なら、ダメ出しばかりの仲の悪いチームより、励まし合い・認め合い・応援し合えるチームのほうが勝率は上がるものです。
まるでそんな仲間と一緒に仕事をしているように、心の中に味方を増やす。
その積み重ねが、営業をもっと楽しく、そして「好き」に変えていくかもしれません。
■おわりに
営業は「説得」ではなく、誠実に届けること、そして届け続けることだと私は思います。
その誠実さは、まず自分自身に向けられるべきなのかもしれません。
「営業が苦手だから…」と不安に押しつぶされそうなときは、“目標設定”と“自分との信頼関係”を思い返してみてください。
あなたの挑戦を、私も心から応援していますね。