「選ばれたい恋愛」から自由になる
「また返事が来なかった」「もう何日も既読のまま…」 スマホを閉じた瞬間、胸に広がるのは不安や孤独感。
マッチングアプリは便利で楽しい一方、その裏側には「選ばれなきゃ」というプレッシャーが隠れています。その気持ちに心が追い込まれ、やがて「マッチングアプリ疲れ」と呼ばれる状態に陥ってしまうのです。
これはあなただけの問題ではなく、多くの人が同じように悩んでいます。では、どうすれば心を取り戻し、自分らしく恋愛に向き合えるのでしょうか?
◆マッチングアプリと承認欲求
アプリは「いいね」や「マッチング」という形で、数字で承認を示してきます。最初は楽しくても、次第に「もっといいねが欲しい」「返事が来ないと不安」と、承認欲求のループに巻き込まれてしまいます。
これはSNSの「いいね」と同じ仕組みです。通知が来ると嬉しく、来ないと不安になる。そんな心のアップダウンが積み重なり、知らず知らずに心を疲弊させてしまうのです。
でも、ここで忘れてはいけないのは、「数字はあなたの価値を決めない」ということ。どれだけ「いいね」が増えても、それが本当のあなたを映しているとは限らないのです。
◆「選ばれる」から「選び取る」へ
アプリを使うとき、多くの人は「どうすれば相手に好かれるか」を考えがちです。プロフィールを飾り、無理に明るくふるまい、気づけば「選ばれるための自分」を演じてしまう。けれども、本当に大切なのは「選ばれること」ではなく、「選び取ること」です。
あなたが心から安心できる人、自分を大切にしてくれる人を選んでいいのです。「私は誰を選びたいのか」そう視点を変えるだけで、恋愛は競争ではなく、「幸せを分かち合う相手探し」に変わります。
◆心を整えるための3つの工夫
ここからは、私がカウンセリングでよくお伝えしている、マッチングアプリ疲れを和らげるための工夫を紹介します。
・会話のゴールを手放す 「絶対に次のデートにつなげなきゃ」「好きになってもらわなきゃ」と思うほど、やりとりは重くなります。会話の目的を「楽しむこと」だけにすると、自然体でいられます。ゴールを手放すことが心の余裕をつくるのです。
・比べない時間を意識する アプリを開くと、他の人のプロフィールが目に入ります。「あの人の方が魅力的かも」と比較し始めると、自己肯定感は一気に下がります。だからこそ、意識的に「比べない時間」を作ることが大切です。スマホを置いて散歩をする、空を見上げる。そんなシンプルな行動でも心は落ち着いていきます。
・デジタル境界線を決める つい夜中までアプリを見てしまう、通知が気になって仕事や勉強に集中できない…。そんな経験はありませんか? これは心が常に緊張している状態です。
そこで「夜10時以降はアプリを開かない」「通知はオフにする」など、自分だけのルール=境界線をつくりましょう。心理学では境界線(バウンダリー)を引くことは心の安全を守る大切なスキルとされています。アプリに振り回されるのではなく、自分のペースで関わることで、心がぐっと楽になります。
◆ケースから学ぶ「休む勇気」
ある女性のクライアントさんは、毎日何時間もアプリをチェックし続け、返事が来ないたびに落ち込み、自分を責めていました。お話を重ねる中で「本当はしばらく休みたい」という本音が出てきました。
勇気を出してアプリを閉じ、1か月間は趣味や友人との時間を優先することにしました。すると、心が次第に満たされ、以前よりも穏やかに過ごせるようになったのです。再開したときには「前のように焦らなくなった」と笑顔で話してくれました。
休むことは逃げではありません。むしろ、自分を大切にする第一歩です。
◆まとめ あなたはすでに大切な存在
マッチングアプリ疲れは、心が「もう限界だよ」と知らせてくれているサインです。「選ばれない不安」に押しつぶされそうになっても、それはあなたが魅力的でないからではありません。ただタイミングが合わなかっただけなのです。
どうか忘れないでください。あなたはすでに、誰かにとって大切な存在であり、かけがえのない人です。恋愛もその延長線上にあります。
我慢せず、無理をせず、「私は私のままで愛されていい」と信じること。それこそが、心を整え、幸せな恋愛への扉を開く鍵になります。あなたは、もう十分に愛される価値を持っているのです。
(続)