どのシチュエーションでもそうですが、自分の意見を通す必要があるときがあります。
 特に、職場では意見を通す必要があることも多いのではないでしょうか。
 同僚に対してであったり、上司に対してであったり、お客様に対してであったり…。
 けれども、自分の意見が必ず通るとは限りません。
 相手には相手の意見があるので、意見がぶつかったり、そこに葛藤が生じたり、折り合いがつかず、自分の意見が通らないことで悔しい思いをすることも、時にはあると思います。
 どうしたら自分の意見を相手に聞いてもらいやすくなるのでしょうか。今日はそんなテクニックについて取り上げてみたいと思います。
◆聴くこと
自分の意見を通すには、自分の意見を言う必要があります。
 相手に明確に伝わるように伝える必要があります。
 ですので、言い方について工夫をする必要があります。
 けれども実は、「伝える」よりもまず「聴く」ことが大事になります。
 自分の意見を通すのに、聴くこと!?と思われるかもしれません。
 が、「聴く」ことは、自分の意見を聞いてもらうのに大切な土壌を作っていくのです。
会話は、話すことと聴くこと、両方があって成り立っています。
 その半分を占める「聴くこと」は思ったよりも大きな役割を担っています。
相手がこちらの意見を分かろうとしてくれるとき、意見を汲み取ってくれるとき、相手の意見も聞いてみようかな、と思ったりしませんか。
 相手がただただ意見を押し付けてくるとき、こちらの言い分について聞く耳を持たないとき、正しいとしても相手の意見は受け入れづらいし、その人の話や意見は聞きたくないとすら思ってしまうことはないでしょうか。
 人は、他者から理解されたいとか、認められたいという欲求を持っています。
 理解されたと感じるとき、その理解してくれた他者をより信頼したり、今度は逆に理解しようとしてくれるようにもなります。
 より良い関係性のもとでは、より意見を聞いてもらいやすくなるのです。
「聴く」こと、それは大きな力を持っているんです。
そして、「聴く」ことにはまた、他にもメリットがあります。
 相手の話や意見を聴いて、それがちゃんと把握できると、相手が言いたいこと、そしてその意見の裏側にある相手が大事にしていること、逆に相手が譲ってくれそうなところもよく理解できます。
 なので、それをもとに話していけば、より意見がすり合わせられやすく、相手にとっても聞き入れられる部分が大きくなります。
「聴く」こと、それは言い換えると、自分の意見を聞いてもらうための環境作り、と言っても良いかもしれません。
 何でしたくもないそんなことをしないといけないのか、と思うかもしれませんが、意見を聞いてもらうために、その土壌を作る、と考えればやりやすいのではないでしょうか。
◆話すこと(伝えること)
今日は「聴く」ことの大切さをお伝えするのがメインなので、「話す(伝える)」ことについては軽く触れて終わりたいと思います。
冒頭でお伝えしていますが、会話の半分は「話す」ことで成り立っているので、「聴く」ことだけではなく、「話す」ことも大切になってきます。
 相手に、自分の意見が何かを明確に伝えます。
 はっきりと分かりやすく伝えることは、相手に理解してもらうために大切です。
その時に、その意見を採用することで得られるメリットや必要性も併せて伝えられると、その意見が通りやすくなります。
 メリットがないように思えたり、薄く感じれば、人はその意見を採用しようという気持ちにはなかなかならないですよね。
また、ビジネスよりは通常の人間関係でより使える方法になるかもしれませんが、「Iメッセージ」で伝えていくという方法があります。
 私がどう思っているか、自分を主語として伝える「Iメッセージ」と、あなたがどうなのか、相手を主語として伝える「Youメッセージ」。
 「Youメッセージ」を使うと、どこか相手の考えや行動を否定するようなニュアンスが生じ、相手は責められているように感じることがあります。
 「Iメッセージ」は、責められている感じがしないので、相手は話を聞きやすくなるし、結果として動きやすくもなります。
 「Iメッセージ」で、「私が」どう感じていて、どうなるといいと思っているのか、素直に伝えられると良いですよね。
 「Iメッセージ」、「Youメッセージ」については、また別の機会に取り上げられればと思います。
◆最後に
あなたの意見には、あなたが大切にしていることが込められています。
 あなたがどうしてもその意見を通したいとき、通さないといけないと感じているとき、そこには確かにあなたが大切にしているなんらかの強い思いがあります。
 せっかくのそんな意見が相手に伝わらないことは、とてももったいないことだと思うのです。あなたの意見や思いが、少しでも伝えたい誰かに届きますように。