「終わらない焦り」の心理〜脳のメモリを解放する〜

「やらなきゃ」と焦るのに「やる気が出ない」のは、心が悲鳴をあげているサインかも。
区切りのタイミングでの焦燥感について、脳のメモリが未完了の課題でいっぱいになっている「ゼイガルニク効果」で解説します。
脳のメモリを解放して、心の余裕を取り戻すための3ステップを具体的に紹介します。

脳の疲れをスッキリ解消!年度末の焦りを消す3つの心理ステップ

年末や年度末など、区切りのタイミングで感じやすいのが「終わらない」という焦りです。

「〇〇が終わっていない」
「これも〇〇までにしなきゃ」
そんな焦りに、押しつぶされそうになっていませんか。

「夜、布団に入っても仕事のことが頭を離れない」
「休日なのに、心が休まらない」と、疲れ切っていないでしょうか。

今回は、区切りのタイミングで感じやすい「焦燥感」についてのお話しです。心を軽くするための心理学的アプローチをお伝えしていきます。

●「やり残し」が苦しい

区切りのタイミングで心に湧きあがるのは「やり残し感」です。これには、心理学では「ゼイガルニク効果」という名前がついています。

私たちには「完了したこと」よりも「未完了のこと」を強く覚えているという性質があります。例えば、終わった課題は、すぐに忘れてしまうでしょう。でも、残っている課題のことは、ずっと気になるのではないでしょうか。

私たちの脳をスマートフォンに例えると、「未完了のタスク」は、開いたままのアプリです。ひとつひとつは小さくても、数が増えると動作が重くなります。「メールの返信がまだだ」「あの数字を確認しなきゃ」「日程調整しておかないと」といった、小さな「未完了」が、脳のメモリを占領していきます。そうすると、新しいことを考える余裕がなくなってしまうのです。そして、焦りと疲れが蓄積していくのです。

●「燃え尽きそう」のサイン

この焦りと疲れを放置すると、心は限界を迎えて燃え尽きてしまうこともあります。

まずは、睡眠の質が変わる人も多いようです。夜中に目が覚め、仕事の段取りを考えてしまうとか、朝起きた時から憂鬱な気分になるとか。これは脳が常に「戦闘モード」になっている証拠です。

また、感情のコントロールが難しくなりがちです。小さなミスにひどく落ち込むとか、周囲の人の言動にイライラしやすいとか、ふいに泣き出してしまうとか。抱え込んで、心の余裕が失くなっている状態ではないでしょうか。

「やらなきゃ」という焦りと、「やる気が出ない」という無気力を交互に感じるとしたら。アクセルとブレーキが一緒に作動して、エンジンが燃え尽きそうな状況で、心が悲鳴をあげているサインです。

●脳のメモリを解放するには

では、心に余裕を取り戻すのには、どうすればいいのでしょうか。焦りと疲れでパンパンになった脳のメモリを解放するための、心理学的アプローチの3ステップをご紹介します。

1)脳のゴミ捨て(ブレイン・ダンプ)

はじめに、頭の中にあるものをすべて書き出す、「ブレイン・ダンプ」という方法を紹介します。紙とペンを用意して、頭に浮かぶ「やらなきゃいけないこと」をすべて書き出してください。

「〇〇さんにメール」
「〇〇の資料のデータ整理」
「スケジュールを調整」
些細なことも、すべて書き出すのがポイントです。

書き出すことで、脳は「覚えておかなくて大丈夫」と安心します。使っていないアプリを閉じると、スマホが軽やかに動くように、「未完了のこと」を書き出すことで、脳のメモリに空きができるのです。

2)「やらないこと」を決める

次に、書き出したリストの優先わけをしましょう。
A 今月中に必ずやること
B 来月以降に回すこと
C やめてもいいこと
の3つに分類してください。

大切なのは「来月以降に回す」「やめてもいい」と認めることです。「今はやらない」と保留を決める、あるいは「やらない」と手放すことで、未完了の焦燥感から解き放たれるでしょう。

3)小さな「完了」を積み重ねる

次に、「今月中に必ずやること」として残った課題を、できるだけ小さな作業に分けましょう。例えば「資料作成」ではなく、「〇〇のデータを集める」「資料の表紙を作る」「送付メールの下書きを作る」などに分けます。5分くらいで終わる作業にまで小さく分けるのがコツです。

人は「完了した!」と感じる瞬間に、ドーパミンという快楽物質が出ます。これが焦燥感を打ち消してくれるのです。「メールを1通送れた」「下書きができた」など、小さな成功体験を積み重ねていきましょう。

また、ひとつひとつ積み重ねている自分自身に、「がんばっているね」「よくやっていると思うよ」「あなたは素晴らしい」と、肯定的な言葉を向けていきましょう。肯定的な気持ちを感じてホッとすると、心に余裕を持ちやすくなるでしょう。

●「ここまででOK」と完了

区切りのタイミングで「終わらない」という焦りに支配されているときは、あなたの脳でいろいろなアプリが開いて、脳のメモリがいっぱいになっているようです。ご紹介した3ステップで、脳のメモリを解放し、心に余裕を取り戻していただければと思います。

そして、毎夜「今日はここまででOK」「今日もよくがんばりました」と自分に伝えてあげましょう。完了と認めることで、休んでOKとも思えるでしょう。

(完)

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この記事を書いたカウンセラー

About Author

自己嫌悪セラピスト。心理学ワークショップ講師(東京・仙台) 「自分が嫌い」「自分はダメ」「私は愛されない」などの自己否定、ネガティブな感情・思考をリニューアルし、自信や才能・希望へと変換していく職人。生きづらい人の心が楽になる気づきや癒しを提供。テレビ・Web記事の取材にも多数協力。