おかんのひと言は9割要らん~心配より、信頼~

子どもが生まれ、年中無休で奮闘する、子育て中のみなさんへ、本当に、毎日おつかれさまです。池尾千里です。今日も、おつきあいいただけたらと思います。

息子には、つい小言だらけ

息子は、小さい頃から、新しい場所や、人が集まるところを嫌がる傾向がありました。

幼稚園や学校を嫌がったり、運動会や、宿泊研修を嫌がったりと、私から見たら、行くのが当たり前、行くのがふつう、みんな行くもの、というところへ、「行かない」「行きたくない」という息子のことが、なかなか理解できずにいました。

私の中に「行かない」選択肢はないといった固定した考えも、あったんですよね。

だから、息子には、口うるさいおかんだったわけです。
ま、おかんは、世界レベルで、口うるさいようにも思いますけれど。

でも、口うるさく言って、やっとできたことがあったとしても、次はできるのかと言えば、次もできないわけです。だって、本人やりたくないことだから。

だから、私は何度も、口うるさく小言を言わなければならなかったし、いちいち言われる息子も、うんざりだったと思います。お互いに、ヘトヘトにつかれて、イヤな思いをして、結局、思ったような結果には、辿り着きませんでした。

 

息子の特性がわかって決めたこと

息子に特性があることがわかった時、私も、息子も、ちっとも驚きませんでした。

「ああ、だから、できなかったんだ」
「息子のがんばりが、足らなかったわけじゃないのか」
「私のしつけが、まちがっていたんじゃないのか」

と、とてもほっとしたのを覚えています。
息子も、同じだったみたいです。

子どものことで悩んでいる親御さん。
ぜひ、覚えておいてくださいね。

私は、息子のことで、「私が」困っていました。
でもね、困っていたのは、親よりうんと先に、息子だったはずなんです。

学校に行くのも、勉強するのも、ふつうにやらなければならないことだと、子どもたちは知っています。でも、がんばっても、どうしてもできないのです。おかんからは、わかりきった小言を言われるし、きっとずいぶん困っていただろうなと思います。

私が、困った困ったと言っていた間、そして、小言を言っていた間、子どもたちのその苦しみに気づいてやれませんでした。
困っていたのは、私じゃなくて、子どもだったことを。

子どもたちは、大きくなります。年々成長します。1学年ずつ確実に。
そうなってきて、私は思いました。

未熟な小さい子どもを、信頼するのはむずかしいけれど、成長してきた子どもは、信頼しやすくなったなぁって。もし今、子どもを信頼するのがむずかしいなあと感じている方も、そんな日が、絶対にきます。

この子にしかない、この子らしさをみつけながら、待っていてください。
案外、あっというまに大きくなっちゃうものですよ。

 

研修に行く息子を横目に

1年に1度、5日間のスクーリングが必須の高校に通っている息子。

2年生なので、初めてではないものの、ちっとも荷造りしない息子。スーツケースは空のまま、何日も過ぎ去っていきました。

当日の朝、えらい早く起きてるなと思ったら、私の顔を見るなり、あれを持っていく、これを持っていくと言う、息子の言葉を

「自分でやれや〜」
「もっと早くやれや〜」

と心の中でツッコミつつ、手伝いましたよ。間に合わないから。笑

そして、行ってきまーす!と出かけた息子の部屋には、「絶対に何か、忘れ物がある」という確信がありました。毎回そうだから。

だけど、しらん!見にいかん!って思っていました。

でも、やっぱりちょっと気になって、部屋をのぞいてみたんです。すると「当日これは持ってきて」とガイダンスで言われていた気がする、要項の書いてある冊子が、置きっぱ。

急に私の頭が忙しくなりました。

駅に走れば間に合う?
連絡して取りに来させる?
郵送する?

いや待て、ほんとに要るやつ?
戻って来たら、集合時間に間に合わないよな。
離島に送って、間に合うん?

ぐるぐるぐるぐる考えて、そして行き着いたのは、これ。

「もー知らんがな。ちゃんと困ってもらおう」

連絡して、「それ、いらんやつ」って聞いて、安心したいのは、私だよね。
おかんが、息子の負うべき責任を引き受けてしまうのっていいのか?

必要なものを忘れた責任は、息子自身が負うもので、叱られるかもだし、それがなくて、困ることがあるかもしれない。でも、おかんが登場したら、息子は、ちゃんと困ることができないなって思ったんです。

自分でしでかした失敗で困ると、次は、ほんとに気をつけようって思うものだし、叱られて凹むのも、忘れたんだから、仕方がない。

そこに起こることと、感情を受け止める経験を、大げさだけど、おかんが奪ってはいけないと思ったんです。というか、その辺まで、しっかり思わないと、ついその邪魔をしそうになっちゃう私もいました。

だから、ほんとに自分の手で、自分の小言の口を押さえましたよ。「おだまり」って。

 

「知らんがな」と言えるのは、信頼の証

息子はスクーリングから、まだ戻らないし、連絡もないので、冊子が忘れ物だったかどうか、実はわかりません。でもね、

「もー知らんがな」

って、言えることは、実は、信頼の証なんじゃないかなって思います。

学校嫌いで行けなかったり
教室に入れなかったり
新しい事が苦手だったり

そんな息子には、つい心配する癖が出てしまいます。
信頼することが、ずっとむずかしかったんです。

でも、ここに来て「知らんがな」と言える私。
息子も成長したし、私も鍛えられた。

でも、おかんの小言や心配って、ほんと9割要らんのです。

自分のこと思い出したら、わかりますよね。ほんとに、あの時のおかんはウザかったわ~って思いませんか。息子のほうが、小娘だった私より、よほど素直だわ、と思ったりします。苦笑い。

でも度々、こうやって鍛えられる子育て。
ご一緒にがんばりましょうね。

子どもの失敗を、心配したり、代わりに背負ってしまうより、「知らんがな」って笑えるようになるまで。この子なら、きっと大丈夫って思えるまで、案外、時間はかからないものですよ。

子育てしているみなさんを、いつも応援していますよ。
それでも、しんどい時もありますよね。
そんな時は、いつでも頼ってくださいね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

来週金曜日は、小川のりこカウンセラーがお送りします。
どうぞお楽しみに。

 

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「自分らしく自分の人生を生きることに、もっとこだわってもいい。好きなことをもっとたくさんして、もっと幸せになっていい。」 そんな想いから恋愛・夫婦関係などのパートナーシッップを始め、職場、ママ友などの人間関係、子育てに関する問題など、経験に基づいたカウンセリングを提供している。