子どもが生まれ、年中無休で奮闘する、子育て中のみなさんへ、本当に、毎日おつかれさまです。池尾千里です。今日も、おつきあいいただけたらと思います。
息子には、つい小言だらけ
息子は、小さい頃から、新しい場所や、人が集まるところを嫌がる傾向がありました。
幼稚園や学校を嫌がったり、運動会や、宿泊研修を嫌がったりと、私から見たら、行くのが当たり前、行くのがふつう、みんな行くもの、というところへ、「行かない」「行きたくない」という息子のことが、なかなか理解できずにいました。
私の中に「行かない」選択肢はないといった固定した考えも、あったんですよね。
だから、息子には、口うるさいおかんだったわけです。
 ま、おかんは、世界レベルで、口うるさいようにも思いますけれど。
でも、口うるさく言って、やっとできたことがあったとしても、次はできるのかと言えば、次もできないわけです。だって、本人やりたくないことだから。
だから、私は何度も、口うるさく小言を言わなければならなかったし、いちいち言われる息子も、うんざりだったと思います。お互いに、ヘトヘトにつかれて、イヤな思いをして、結局、思ったような結果には、辿り着きませんでした。
息子の特性がわかって決めたこと
息子に特性があることがわかった時、私も、息子も、ちっとも驚きませんでした。
「ああ、だから、できなかったんだ」
 「息子のがんばりが、足らなかったわけじゃないのか」
 「私のしつけが、まちがっていたんじゃないのか」
と、とてもほっとしたのを覚えています。
 息子も、同じだったみたいです。
子どものことで悩んでいる親御さん。
 ぜひ、覚えておいてくださいね。
私は、息子のことで、「私が」困っていました。
 でもね、困っていたのは、親よりうんと先に、息子だったはずなんです。
学校に行くのも、勉強するのも、ふつうにやらなければならないことだと、子どもたちは知っています。でも、がんばっても、どうしてもできないのです。おかんからは、わかりきった小言を言われるし、きっとずいぶん困っていただろうなと思います。
私が、困った困ったと言っていた間、そして、小言を言っていた間、子どもたちのその苦しみに気づいてやれませんでした。
 困っていたのは、私じゃなくて、子どもだったことを。
*
子どもたちは、大きくなります。年々成長します。1学年ずつ確実に。
 そうなってきて、私は思いました。
未熟な小さい子どもを、信頼するのはむずかしいけれど、成長してきた子どもは、信頼しやすくなったなぁって。もし今、子どもを信頼するのがむずかしいなあと感じている方も、そんな日が、絶対にきます。
この子にしかない、この子らしさをみつけながら、待っていてください。
 案外、あっというまに大きくなっちゃうものですよ。
研修に行く息子を横目に
1年に1度、5日間のスクーリングが必須の高校に通っている息子。
2年生なので、初めてではないものの、ちっとも荷造りしない息子。スーツケースは空のまま、何日も過ぎ去っていきました。
当日の朝、えらい早く起きてるなと思ったら、私の顔を見るなり、あれを持っていく、これを持っていくと言う、息子の言葉を
「自分でやれや〜」
 「もっと早くやれや〜」
と心の中でツッコミつつ、手伝いましたよ。間に合わないから。笑
そして、行ってきまーす!と出かけた息子の部屋には、「絶対に何か、忘れ物がある」という確信がありました。毎回そうだから。
だけど、しらん!見にいかん!って思っていました。
でも、やっぱりちょっと気になって、部屋をのぞいてみたんです。すると「当日これは持ってきて」とガイダンスで言われていた気がする、要項の書いてある冊子が、置きっぱ。
急に私の頭が忙しくなりました。
駅に走れば間に合う?
 連絡して取りに来させる?
 郵送する?
いや待て、ほんとに要るやつ?
 戻って来たら、集合時間に間に合わないよな。
 離島に送って、間に合うん?
ぐるぐるぐるぐる考えて、そして行き着いたのは、これ。
「もー知らんがな。ちゃんと困ってもらおう」
連絡して、「それ、いらんやつ」って聞いて、安心したいのは、私だよね。
 おかんが、息子の負うべき責任を引き受けてしまうのっていいのか?
必要なものを忘れた責任は、息子自身が負うもので、叱られるかもだし、それがなくて、困ることがあるかもしれない。でも、おかんが登場したら、息子は、ちゃんと困ることができないなって思ったんです。
自分でしでかした失敗で困ると、次は、ほんとに気をつけようって思うものだし、叱られて凹むのも、忘れたんだから、仕方がない。
そこに起こることと、感情を受け止める経験を、大げさだけど、おかんが奪ってはいけないと思ったんです。というか、その辺まで、しっかり思わないと、ついその邪魔をしそうになっちゃう私もいました。
だから、ほんとに自分の手で、自分の小言の口を押さえましたよ。「おだまり」って。
「知らんがな」と言えるのは、信頼の証
息子はスクーリングから、まだ戻らないし、連絡もないので、冊子が忘れ物だったかどうか、実はわかりません。でもね、
「もー知らんがな」
って、言えることは、実は、信頼の証なんじゃないかなって思います。
学校嫌いで行けなかったり
 教室に入れなかったり
 新しい事が苦手だったり
そんな息子には、つい心配する癖が出てしまいます。
 信頼することが、ずっとむずかしかったんです。
でも、ここに来て「知らんがな」と言える私。
 息子も成長したし、私も鍛えられた。
でも、おかんの小言や心配って、ほんと9割要らんのです。
自分のこと思い出したら、わかりますよね。ほんとに、あの時のおかんはウザかったわ~って思いませんか。息子のほうが、小娘だった私より、よほど素直だわ、と思ったりします。苦笑い。
でも度々、こうやって鍛えられる子育て。
 ご一緒にがんばりましょうね。
子どもの失敗を、心配したり、代わりに背負ってしまうより、「知らんがな」って笑えるようになるまで。この子なら、きっと大丈夫って思えるまで、案外、時間はかからないものですよ。
子育てしているみなさんを、いつも応援していますよ。
 それでも、しんどい時もありますよね。
 そんな時は、いつでも頼ってくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
来週金曜日は、小川のりこカウンセラーがお送りします。
 どうぞお楽しみに。