パートナーシップのすれ違いを解消する大切な視点~違いは否定ではないという視点を持とう~

自分との違いを受け入れ、似ているところに気がつく視点を持ってみる

価値観が違う、性格が合わない等、パートナーとのすれ違いを感じて悩んでいる時。それを超えていくための大切な視点は、違いがあることが自分を否定しているわけではないということです。
これを土台に、違いを認め、お互いの似ているところに意識を向けることで、心はつながりへと向かいやすくなります。

夫婦関係のご相談の中で伺うことの多いテーマの一つが「すれ違い」。

「価値観のずれ」や「性格が合わない」等から起こるコミュニケーションがうまくいかないというような問題です。

相手の何気ない一言にイラッとしたり、こちらの気持ちを理解してもらえないと感じたり。
そんな時、心の奥では「私は大切にされていない」「わかってもらえない」という小さな痛みが生まれています。

こうした積み重ねが大ケンカにつながったり、相手の愛情が感じられなくなったり、という夫婦関係が悪くなる原因になることもあります。

しかし、価値観や性格・タイプの違いだけが、こうした問題を作り出すとは限りません。

そこにある大切な視点は

「違いがあることで、自分が否定されているわけではない」

ということ。

この視点を持つことが、お互いの違いを受け入れ、すれ違いをなくし、つながりを感じられるようになる大切になってきます。

◇価値観のずれの背景に「育ってきた家庭文化の違い」があるとしたら

こうした、ずれを理解するために役に立つの視点の一つは

背景に「育ってきた家庭文化の違い」がある

ということを知っておくこと、です。

例えば、生まれ育った家が

・話し合いよりも、我慢や空気を読むことで平和を保つ家庭

・感情を言葉で表現し、率直に話すことを大切にする家庭

こんな風に違っていたとしたら。

どちらが正しいということではなく、単に「家庭の文化」が違うだけ、なんですね。

けれど、この違いを知らずにいると、相手の言動を「否定」と受け取ってしまいやすくなります

「私の考えを否定された」
「大切にされていない」

と感じた時、心は防衛に入ります。

そして、相手に心を閉ざしてしまう。これが、すれ違いの始まりになる場合が多いのです。

自己否定されたと感じる時は、実は、相手をきっかけにして自己攻撃をしてしまうことが大きな苦しみになります。

自分を否定されたわけではない、と感じることは、自分を責めることを減らせるので、心に余裕を作り、違いを受け入れやすくなります。

そうすることで、相手との話し合いや、妥協点を探すこと等がやりやすくなります。

夫婦関係を良くしていく最初の一歩は、相手を変えようとすることではなく、

・「考え方の違いはお互いの育った家の文化の違いかもしれない」と受け止めること

・自分が否定されたと感じないように意識すること。

この視点が持てるだけで、すれ違っていると感じた心の苦しみは減らすことができます。

◇違いを尊重することが良好な関係の土台になる

夫婦関係を築く上で大切なのは、「相手と自分は違う存在である」という前提を受け入れることです。

性格、価値観、感情表現の仕方、ストレスの対処法など、どれをとっても、まったく同じ人はいません。

ここを押さえておくことがとても大切なんですね。

「私ならこうするのに、どうしてあなたはそうしないの?」

という思いは、相手を変えようとする意識につながります。

でも、相手を変えようとするたび、関係性は硬直していくもの。

逆に「あなたはそう考えるんだね」と受け止められる時、安心感と信頼が芽生えます。

なぜなら、こう感じている時は、相手が自分を否定したと感じていないからです。

心理的に、こうした相手と自分との違いを受け入れるということを、

「自己と他者の境界を尊重する」

と表現したりします。

自分の感じ方を大切にしながら、相手の感じ方も尊重する。

このバランスが取れると、関係は安定し、対話がしやすくなります。

そして不思議なことに、相手を尊重できるようになると、相手の方もこちらを尊重し始めます。

尊重のエネルギーは、鏡のようにお互いに反射し合うもの。

こんな風に感じながら、パートナーとの会話や雰囲気をよく見て、聞いて、感じてみてください。

この視点を取り入れることができると、相手の考えを受け入れ、尊重しやすくなり、それが、夫婦関係の「良い循環」を生むヒントになることもあるのです。

◇「似ている部分」を見つけることで再びつながる

価値観の違いにばかり目を向けていると、「私たちは合わないのでは?」と感じてしまいがちです。

それは無理もないことなのですが、違いにばかり目を奪われていると、同じところ、似ているところに目がいかなくなってしまうことも、よくあることなのです。

そこで、ちょっと思い出してみていただきたいことがあります。

あなたはその人をどうして選んだのでしょうか。

自分と違っているところが魅力だったのかもしれません。

でも、違っているところだけでなく、同じところ、似たところもあったのではないでしょうか。

例えば、口数が少ない彼、感情表現が上手な私。

そんな違いにお互い惹かれあって一緒になった二人だとして、

そこには共通点もあったはず。

例えば、

・純粋で真っ直ぐ
・誠実で責任感がある

など、

表現方法が違うだけで、そこは同じだとしたら、この部分に目を向けていくと、相手のことを受け入れるだけでなく、理解して、共感もできたりします。

実は似ているところがあるから選んだ人ではないか、という視点で相手のことも自分のことも見て、感じてあげることが、二人の関係性を良くしていくことに役立っていきます。

(完)

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この記事を書いたカウンセラー

About Author

名古屋を軸に東京・大阪・福岡でカウンセリング・講座講師を担当。男女関係の修復を中心に、仕事、自己価値UP等幅広いジャンルを扱う。 「親しみやすさ・安心感」と「心理分析の鋭さ・問題解決の提案力」を兼ね備えると評され、年間300件以上、10年以上で5千件超のカウンセリング実績持つ実践派。