この別れが自分の価値とつながりに気づくチャンスをくれたとしたら

この悲しい別れが本当の自分の価値や人とのつながりに気づくチャンスをくれたとしたら

忘れられない恋から新しい一歩が踏み出せない。その思いの後ろには「もう誰にも優しくしてもらえない」という思い込みがあるのかもしれません。
でも、その別れが、本当は周りに優しくしてくれた、応援してくれた人がずっといたこと、そして自己価値に気づくためのチャンスをくれたとしたらどうでしょう。

◇「忘れられない恋」の裏にある、本当のブレーキとは?

「もう何年も前の恋なのに、どうしても忘れられない」
「その人以上の相手に出会える気がしない」

そんな風に、過去の恋に縛られて苦しんでいる方は少なくありません。

特に「元の恋人がとても優しくしてくれた」という思いが強いと、その存在が心の中でとても特別なものになり、新しい恋や関係に心を開けなくなってしまうこともあります。

けれど本当に、別れた彼だけがあなたを優しくしてくれる唯一の存在だったのでしょうか?

実は、その「忘れられない恋」の後ろには、別の気持ちが隠れているのかもしれません。

◇問題の後ろにはギフトがあるとしたら?

私がカウンセリングでよくお伝えするのは、

「問題の後ろにはギフトがある」

という考え方です。

失恋の苦しみはとてもとても大きいものなので、この考え方を受け入れていくには準備が必要です。

失恋の痛みが大きい時期は、まずその苦しみや悲しみのケアをしてあげることが最優先。

次の段階に進めそうな時、例えば、ご相談者さんが次の恋愛に向かって進む意欲を持っておられるような場合には、この考え方についてお話しさせていただいています。

準備ができていれば、過去の失恋が辛いことだけではなく、この出来事が何の学びや成長や新しい気づきのチャンスになっているのだろう、どんなギフト(贈り物)があるのだろう、という視点を持つこともできます。

過去の恋愛の意味を考えていくとは、例えば、彼はとても優しくしてくれたけれど、自分がそれに甘えて依存的になりすぎて振られてしまった、みたいな失恋だったとします。

とても辛い体験ですが、もう同じことは繰り返したくないと感じたとしたら、この別れを経験したことで、「人に頼りすぎず、自分も相手を優しくしてあげられる、つまり、お互いのことを思いやれる恋愛がしたい」という思いが出てきたとしたら、これは次の恋愛がうまくいく力になります。

そして、さらに深くこのギフトを見ていくと、こんな学びになっている場合もあります。

「当時、自分のことを優しくしてくれる人は彼一人と思い込んでいたけれど、
もしかしたら、他にも優しくしてくれていた人がいたのに、気づけなかっただけかもしれない」

◇「優しくされない」という思い込みが心を閉ざしていたとしたら

私たちは、自分の内側で「どうせ優しくしてもらえない」と思っていると、相手がどれだけ歩み寄ってくれても、それに気づけません。
無意識に心の扉を閉めてしまっている場合があるからです。

「彼だけが優しかった」と思い込んでいたその背景には、
「私は誰にも優しくされない」という信念とも言える思い込みが潜んでいることが多いのです。

でも、その信念は、本当に正しいのでしょうか?

例えば、ちょっと思い出していただきたいのです。

あなたの話をじっと聞いてくれた友人
不器用でも、あなたを見守ってくれていた両親
何かと気にかけてくれた職場の先輩

こんな風に、あなたの周りには

「優しくしてくれた、あるいは、してくれようとしてくれていた人たち」

が、実はいてくれたのではないでしょうか。

◇別れが教えてくれる「つながりの可能性」

彼との別れがあなたにとって大切な学びがあるとしたら、もしかするとそれは、

「あなたは一人じゃないよ。優しくしてくれる人は、他にもちゃんといるよ」

というメッセージなのかもしれません。

失恋という出来事は本当に辛い体験ですが、彼を失った、優しくしてくれる人を失った、ということではなく「優しい人はすでに周りにいる」ことに気づくチャンスなのだとしたら。

この気づきは、ここから、さらに踏み込んで考えていくことができます。

それは、

「周りに優しい人がいるのは、優しくされる価値が自分にあるからかもしれない」

ということです。

あなたが優しい人だから、あなたを優しくしたいと思う人が周りにいるのだとしたら。

この学びは、

「彼以外の人と優しい関係性を気づく準備が整ってきた」

ことを教えてくれます。

これは「人と自分とのつながりの存在」を教えてくれるとても大きなギフトなのかもしれないのです。

◇小さな会話から「つながりの再発見」を始めよう

では、どうやって新しいつながりに目を向けていけばいいのでしょう?

まずは「この人は私に優しくしてくれているかもしれない」と思える人との、日常の小さな会話から始めてみてください。

たとえば、

少し本音を話してみる
相手の反応をよく見てみる
受け止めてもらえたときの安心感を味わってみる
そんな積み重ねの中で、「あれ?私ってちゃんと受け止められてる」と気づく瞬間がやってきます。

この積み重ねが、先に述べました

「周りに優しい人がいるのは、優しくされる価値が自分にあるからかもしれない」

という自分の価値に気づくところにつながっていきます。

◇問題が起こった時にはギフトに目を向けてみよう

恋愛、仕事、人間関係。
どんな分野でも、私たちはしばしば「痛み」や「問題」を抱えるものです。

でも、それはあなたが「何かを学び、前に進む準備が整った」というサイン。

今回の記事のように、

「この出来事には、どんな意味があるんだろう?」
「何を気づかせてくれているんだろう?」
そんな視点を持つことで、あなたの中に眠っていた答えやギフトが、少しずつ見えてくるようになります。

そしてそれは、自分を理解し、ありのままの自分を承認する力にもつながっていきます。

あなたのまわりには、あなたを応援しようとしてくれている人が、きっとすでにいます。

失ったと思っていたものの中に、本当は「受け取りきれていなかった愛」が隠れているのかもしれません。

どうか、そのギフトを受け取る準備を、あなたのペースで始めてみてください。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

名古屋を軸に東京・大阪・福岡でカウンセリング・講座講師を担当。男女関係の修復を中心に、仕事、自己価値UP等幅広いジャンルを扱う。 「親しみやすさ・安心感」と「心理分析の鋭さ・問題解決の提案力」を兼ね備えると評され、年間300件以上、10年以上で5千件超のカウンセリング実績持つ実践派。