子どものわがままがゆるせないと感じる時、起こっていること

子どもが小さい頃は、自由すぎる子どものふるまいに、ほとほと疲れ果てた、なんていうご経験おありではないでしょうか。今現在、まさに、その真っ最中という方も、いらっしゃることと思います。
今日は、子どもと向き合う中で、「わがままがゆるせない」そんな思いが、いったいどこから来ているのか、考えてみたいと思います。

子どものわがままに、ついていけない

3歳の息子に振り回されてしまう日々。

買い物に行けば「欲しい!」「まだ遊びたい!」と泣き叫び、公園に行けば、大声を上げながら駆け回る。その姿を前に「もう少し落ち着いてくれたらいいのに」と願わずにはいられない。

そんな気持ちに、深く共感するお母さんは多いのではないでしょうか。

子育てをしていると、子どもの欲求にどう向き合うかという問題に、日々直面します。自由にさせてあげたいと思う一方で、しつけや教育をしなければという思いも強く、心の中でせめぎ合うんですよね。

「わがままばかりで困る」

「ちゃんと我慢できる子に育てなければ」

そう感じる背景には、「親として正しく導かなければならない」という、強い責任感がありますよね。特に真面目に、いっしょうけんめいに、子育てに取り組んでいるお母さんほど、その思いは強くなります。

一方で、夫が「子どもらしくていいじゃないか」とのんびり構えていると、余計に、孤独感や、苛立ちを覚えることもあるかもしれませんね。
自分ばかりが必死になっているように感じて、気持ちの負担が大きくなってしまいます。

けれども、子どもの「わがまま」は必ずしも悪いことではありません。むしろ、子どもが安心できる家庭で、育っている証として現れるものでもあるのです。

 

言い聞かせても、理解しない子どもに辟易

「私の子どもの頃は、ひとこと言われれば察していた。
親の顔色を見て空気を読んでいた!」

そういう記憶をお持ちのお母さんは、少なくないと思います。
だからこそ、

「どうしてこの子は何度言っても聞かないの?」
「まだ3歳だからではなく、もう3歳なのに!」

と思わず感じてしまうのです。

でも、その思いの背景には、ご自身の子ども時代の「痛み」が隠れていることがあります。小さな頃に、親の期待に応えようと、懸命に我慢してきた。言いたいことを飲み込み、親の都合に合わせて行動してきた。その経験が「自分はできたのだから、我が子もできるはず」という厳しさへ、つながることがあるのです。

しかし、3歳という年齢は、大人の言葉を論理的に理解はできません。まだまだ感情で動く存在です。大人が「聞き分けがない」と思うことも、子どもにとっては自然な表現のひとつ。そう頭ではわかっていても、自分の幼少期との比較が、どうしても感情を揺さぶってしまうのですね。

「このまま大人になったら大変なことになるのでは」と不安になるお気持ち、よくわかります。けれども、今のわがままが、そのまま将来の姿に、直結するわけではないと思います。子どもは成長とともに、少しずつ自分を抑えたり、人との関わりの中でルールを学んでいったりする力を育んでいきますから、焦らなくても大丈夫。

 

子どもを通して見ているもの、そして、気づくこと

「子どもがわがままを言うと、
どうしてこんなにゆるせない気持ちになるのだろう」

その答えは、ご自身の子ども時代に隠れていることが多いのです。

小さい頃、親にすぐ怒られるから、必死で空気を読む。
言いたいことを言わず、求められる態度をとる。

それが日常だった人にとって、今、目の前で自由に感情を表すわが子の姿は、自分ができなかったことを突きつけられるように感じられるのです。

「どうして私は我慢してきたのに、この子は何の努力もしないの?」

「甘えたりわがままを言ったりするなんて、なんだかゆるせない」

つい、そう感じてしまう。なぜなら、あなたの中に「当時の我慢してきた自分」が、まだ心の奥に存在しているから。わが子の姿が、その自分の痛みを呼び起こしているのです。

けれども、考えてみてください。子どもがわがままを言えるのは、

「お母さんになら甘えられる」
「受け止めてもらえる」

という信頼があるからです。
子どもにとっては、それが愛情の証なのです。

つまり、あなたが今「うまくできていない」と思っている育児は、子どもにとっては「安心して甘えられる最高の環境」のようですよ。

そして、あなた自身の子ども時代にも目を向けてみてください。

あの頃、言えなかった気持ち、我慢してきた感情。それを「よくがんばったね」と労い、認めてあげることが、今の子育てにもつながっていきます。

もし一人でふり返るのがむずしければ、信頼できる人や、カウンセラーの手を借りてもかまいません。子どもを通じて呼び起こされる感情は、あなた自身を癒やす大切な入り口でもあるのです。

子どもは、わがままを通して、受け入れてもらいながら、成長します。
親は、その姿を通して、自分自身の心を見直し、癒やすことができます。わが子の「手のかかる姿」は、実は、あなたがすでに良い母親である証拠なのです。

この記事を読んでくださっているあなたは、もう十分にがんばっていますよ。子どもが自由に甘えられるのは、あなたが安心できるお母さんだからこそ!

どうかそのことに気づいて、自分自身を責めるのではなく、うんと労ってあげてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
みなさんの子育て、応援しております。

来週金曜日は、小川のりこカウンセラーがお送りします。
どうぞお楽しみに。

 

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この記事を書いたカウンセラー

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「自分らしく自分の人生を生きることに、もっとこだわってもいい。好きなことをもっとたくさんして、もっと幸せになっていい。」 そんな想いから恋愛・夫婦関係などのパートナーシッップを始め、職場、ママ友などの人間関係、子育てに関する問題など、経験に基づいたカウンセリングを提供している。