一歩踏み出す勇気が出ない時の心の整理法

「やりたい」と「怖い」が共存してしまうこと、ありませんか?

「やりたいことがあるのに、一歩、踏み出せない」「何か新しいことを始めたいけれど、うまくいかなかったらどうしようという不安に押し潰されそう」こんなふうに、動けなくなってしまうことってありますよね。
この不安に立ち向かうためには、どうすればいいのでしょうか?
現役の心理カウンセラーが解説します。

「ずっとやってみたかったことがある」
「でも…やっぱり無理かもしれない」
「失敗したら、誰かに笑われるかも」
「もしうまくいかなかったら…自分を嫌いになりそう」

そんなふうに、「やりたい気持ち」と「怖い気持ち」がせめぎ合って、
立ち止まってしまうことってありますよね。

やる気がないわけじゃない。
変わりたい気持ちは、ちゃんとある。
でも、どうしても“はじめの一歩”が踏み出せない。

今日は、そんなときの心のしくみについて、少し一緒に見つめてみましょう。

なぜ、私たちは「動けなくなる」のか?

何か新しいことに挑戦しようとするとき、
私たちの心は「見えないリスク」にとても敏感になります。

たとえば――
・過去に似た場面で傷ついた経験
・「ちゃんとしなきゃ」と思い込んできた習慣
・家族や周囲との関係性から身についた“遠慮”や“配慮”

これらが無意識に心の中で「ブレーキ」となり、
新しい行動をとろうとするあなたの背中を引き留めるのです。

「また、あのときのように失敗するかもよ?」
「こんなことをしたら、あの人はなんていうだろうか」

「もう二度と、辛い思いはしたくない」そんな思いから

「うまくいくかわからないんだから、やめておこうよ」
「下手に変わってしまうより、このままのほうがいいよ」
「もっと悪くなってしまうより、いまのままのほうがマシだよ」

そんなブレーキがかかってしまうわけですね。

これは、心理学で言う「無意識の抵抗」や「回避のメカニズム」。

つまり、“動けない”という状態は、あなたの意志が弱いからではなく、
あなたの心が、過去の経験から「きっと、このまま進んだら危険だろう」と判断し、守ろうとしているからなのですね。

本当に変わりたいなら、「まずは自分を安心させてあげよう」

動けない時、多くの方が「勇気を奮い立たせるには、どうしたらいいか」と考えると思うのです。

「いま動かないと、もっと恐ろしいことが起きるよ」という”恐れを使った方法”
「あなたが動くことで、あの人が幸せになれるよ」という”人のため”という動機づけ
「捨て身にならないと、人生なんて変わらないよ」など、自分を鼓舞する方法・・

どれも、悪いわけではないのですが
今回オススメするのは、まず「怖がっている自分を安心させてあげる」こと。

なぜなら、私たちは不安が強いとき、
脳の“防衛モード(扁桃体優位)”に入ってしまい、
合理的に考えたり、冷静な判断をしたりする力が低下するからなんです。

つまり・・

どうしたら、うまくいきやすいかな?
自分なりの進み方って、どんなものだろう?
いま、なにをするといいのかな?

そんな、建設的なことよりも

「どうしよう」「動けない」「このままじゃだめだ」「でも失敗したくない」「うまくいかなかったら、もう立ち直れない」など・・
焦りばかりが湧きやすくなってしまうのです。

この状態で無理に行動しようとしても、
逆に心が守りに入ってしまい、ますます「動きたいけれど動けない」という状況を作り出してしまうのですね。

小さな行動から、“心にゆとり”を取り戻す

もしあなたが、「どうしても前に進めない」と感じているならば、
前に進もうと頑張っている自分を認めてあげながら「自分が安心する環境」を整えていきましょう。

たとえば、以下のような、小さな行動から始めてみるのも一つの手です。

・やりたいことを「安心できる人に話してみる」
・ノートに、やりたい理由と不安を書き出してみる
・成功よりも、「やってみた自分」をほめてみる
・結果を期待せず、「試すこと」を目的にしてみる
・できるだけ小さなステップを踏むように心がける

ただ、やみくもに自分を追い込むのではなく
「自分をよく知ってあげたり」「安心して進めるようにサポーターを見つけてあげたり」「失敗しても成功しても見捨てないよ、という気持ちで自分を見守ってあげる」ことで、安心してチャレンジができる場を作ってあげるわけですね。

そうやって、自分を安心させてあげると、心の緊張がゆるんで「ちょっとやってみようかな」という気持ちが、少しずつ育っていくことがあります。

また、こうした行動は、自己攻撃をゆるめるだけでなく
「自分を信頼していく」という大きなプロセスの第一歩でもあります。

自分で自分を信頼できるようになってくると
やりたいことへ、一歩、踏み出しやすくもなりますから
よかったら、試せそうなところから試してみてくださいね。

最後に:「動けない」という状態は、けして弱さや怠けではありません。

“やりたいことがあるのに、動けない”。
それは決して、弱さや怠けではありません。

「自分の人生を、ちゃんと大切にしたい」
「よりよくなりたい」
「本気で向き合いたい」

そんな想いがあるからこそ、葛藤が生まれるのです。

意欲も不安も丸ごと、自分の中にある気持ちを受け止めてあげてくださいね。
それが、動き出すための“本当の準備”になることも多いですよ。
あなたがあなた自身にかける優しさが、次の一歩を支えてくれますからね。

そして、もしも「ひとりで向き合うのがしんどいな」と感じたら、
信頼できる誰かに、応援してもらってくださいね。

私たちも応援しています!

参考になれば幸いです。

(完)

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この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛、対人関係の改善、自分が本当に望んでいる人生へのシフトチェンジへのサポートを得意とする。 特に「さびしさを笑顔に変えるカウンセリング」をテーマに掲げ、30代女性の生き方、恋愛・婚活サポートを精力的に行っている。 高い共感力を活かした「共に考え、併走する」カウンセリングスタイルが好評。