前回は、感情がタイムマネジメントに与える影響をテーマにお話し致しました。
これは自分自身の感情を対象としたものです。
今回は、自分以外の外部からの影響をテーマとしてお話しできればと思います。
さて、タイムマネジメントと言っても、他人が関与する場合、自分だけの都合で予定をコントロールできない事は日常的によくある出来事ではないかと思います。
例えば、急の要件を頼まれ、中にはどうしても断れないことも多々あるかもしれません。
今回は、2つのケースをご紹介したいと思います。
頼まれ事や相談事の目的が不明確、内容整理が不十分、論点がずれている場合
この場合は、会話がとにかく迷走しがちです。
このため、時間を必要以上に浪費してしまうこともあると思います。
特に以下のような行動は意図的でなくても、結果的に周囲の人の時間を奪ってしまい苛立たせることも少なくないかもしれません。
1) 質問に対して、結論より言い訳が先行(言い訳が多い)
2) 頻繁に重要な論点から外れる(本質から逸れる)
3) 場を混乱させる(空気が読めない)
このような相手にあなたが感じている「手に負えなさ」は、単なる業務上の不満ではなく、コミュニケーション障害と信頼の崩壊に近いものではないでしょうか。
その人の特徴を整理すると:
* 言い訳が多い:責任回避のため、延々と説明や弁解を繰り返す(自分を守ることで精一杯)
→責任回避、防衛的な傾向が強い
* 本質から逸れる:本質的な問題から目を逸らし、枝葉末節に逃げ込む(問題点がわからない)
→会話の目的やゴールへの理解不足、結論回避の傾向が強い
* 空気が読めない:周囲の反応に鈍感、独りよがりな発言が多い
→自分の言動への周囲の受け止めについて客観的視点がない(相手の感情に無自覚)
こういった場合においては、自分自身のことで精一杯(メタ認知の欠如)だから、相手がなぜ怒っているかという因果関係を認識できないため、謝罪も形だけのものになり、むしろこちらの怒りに火をつけてしまうこともあるかもしれません。
そして、このようなケースではあなた以外の周囲の人も同様にその相手にストレスを感じている場合があります(私は最近実際に体験しました。)
これらは、業務上のリスク要因であり、特に「言い訳が多い」「本質から逸れる」というのは意思決定や進行管理において致命的です。
その場合、会話の軌道からの逸脱を防止するために、
* 会話の構造化:事前に「(1)問題点(2)原因(3)対応策を順にお願いします」と明示する
* 会話の制御 :逸脱しそうな時「今は(1)の話です。(2)は後ほど」と伝え思考の補助輪を与える
といった方法があります。
一定のルールに従い、会話の手順を決めて、必要な情報を引き出し易くし、コミュニケーションを円滑にするということです。
もう少し補足すると、相手の心に記入様式を入力してあげるような感覚です。
その結果、会話の内容はかなり焦点が絞られるのではないでしょうか。
「5分だけ」と言いながら1時間も話し続ける場合
こう言う人は時間感覚がずれているだけでなく、相手への配慮が抜け落ちていると思います。
しかもそれが何度も繰り返されるとなれば、もはや偶然ではなく「迷惑行為が習慣化」されてしまっているのかもしれません。
この場合も、大抵は話が整理されていないことが多く、1項の応用かと思います。
具体的には、相手の心に必要事項の記入様式を入力してあげるだけではなく、実際にその場で紙に簡単な表をフリーハンドで書いてそこに埋めてもらう方法もあります。
こちらの時間も無駄にならず、相手もこちらが欲しているがわかるので心理的安全性を確保しながら、こちらの問いかけに答えることができると言うわけです。
また、以下のような“境界線の明示”も有効かと思います。
* 「要点を3つ以内にまとめて、詳細は文書でお願いします。」
* 「確認できるように様式に沿って情報を整理して下さい。」(1項の応用)
* 「この件は10分以内なら対応できます。時間を過ぎたら次の予定に移ります。」
3番目は時間を区切って席を立つやり方ですが、相手に“時間の重み”を認識させる有効な手段となります。
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一見これらは冷たく聞こえるかもしれませんが、相手の混乱に巻き込まれない(感情を吸い込まない)ための“線引き”で、自分の「時間」を守りうまくマネジメントしながら、自身の精神的健全性を保つことに有効ではないでしょうか。
何かの参考となれば幸いです。