子育てをしていると色々な悩みに直面し思い通りにいかず戸惑う事ばかりです。
子育てに待った!はないし正解もないしで否応なしに時間が過ぎていきます。
子どもに対する悩みは親が人として成長する為にあるメッセージと考える事も出来ます。
今日は、私が経験した子どもが話し始めるのが遅かった事による悩みが、結果として自分自身の成長となった経験についてお話します。
会話が終わらないイライラ
私の子どもが単語しか言えなかった頃、会話が全く終わらずにイライラした時期がありました。
例えば私が買いものに行こうとして子どもに「スーパーに行くよ」と言うと、子どもがしつこく何度も何度も「どこ?」と聞いてくるのです。
「どこってスーパーと言っているでしょ」と思いながら最初の数回は「スーパー」と私は落ち着いて言えていたのですが、回数が重なるたびにイライラが募り「スーパー!!!」と声を荒げている私がいました。
又、子どもが遊びとして冷蔵庫の開け閉めをしていた時に「ダメ!」と言うのですが、全くやめる気配もなく何度も冷蔵庫の開け閉めをする姿にイライラが募り、小さな子どもの手のひらをたたくようになっている自分がいました。
軽くとはいえ子どもの手をたたく自分がもっとエスカレートして、いつかは虐待してしまうのではと、自分で自分の事が恐ろしくなりました。
伝え方を変えたら会話が終わった
虐待してしまうかもという恐怖とそこまではしてはいけないという理性の間で、どうしたら子どもに私の話が伝わるのかと必死に一人で悩みました。
ある日ふともう少し具体的な説明のある会話をしてみようとひらめいたのです。
「スーパーに行く」ではなく「夕飯の買い物をしにママの車で〇〇のお店に行くよ!」と伝えたら「うん」と子どもが言って会話があっさり終わったのです。
「どこ?」と何度も繰り返すのは、言っている事が全く理解していなかったわけでもしつこいわけでもなく、もっと具体的に知りたいだけだったのです。
子育ては親を育てる時間
子育ては、子どもを育てることでもありますが、同時に親自身を育てることでもあります。
当時を振り返ると子どもの「どこ?」は、「もっとちゃんと伝えて」という私へのメッセージのように今は思えます。
日常の小さなやりとりの中に、親としての成長のチャンスが隠れていますが、子育て中は忙しいし余裕がなくメッセージがあるとはなかなか思えないものです。
ですが子どもの納得は、親の伝え方次第かもしれません。
子供を通じて学んだ会話のスキル
私の家族は何かを感じても、それを言葉にすることは少なく、「察する」「空気を読む」ことでやり取りが成立しているように昔を振り返ると思います。
だから私も、自分の考えや感情を相手に説明することがあまり得意ではありませんでした。
自ずとそういう環境で育った私は、知らず知らずのうちに「説明しなくてもわかるでしょ」という価値観を持っていたのだと思います。
けれど、私の子どもは違いました。
子どもは、わからないことをそのままにせず、きちんと理解したい、納得したいという強い気持ちを持った子どもでした。
何度も繰り返し聞いてくるのは、決して反抗でも我慢が足りないのでもなく、「きちんと理解したかったから」だったのです。
最初は戸惑い、イライラし、「何でそんなにしつこいの」と思っていた私は考え方を変化させていきました。
「伝わらない」と思うではなく、「伝え方を変えてみよう」と考えるようになった事。
「言わなくてもわかるでしょ」ではなく、「わかってもらえるように話そう」と意識を向けられるようになった事。
それは、子どもとのやりとりを通して、私自身が“会話のスキル”を学ぶ機会をもらった証だと思っています。
イライラの正体は自分自身だった
子どもは、親の課題を映す鏡だとよく言いますが、本当にそうだと心から実感します。
私が子どもに対して感じていたイライラの正体は、実は自分の中にある「苦手な部分」や「避けてきた課題」が浮き彫りになっているだけなのかもしれません。
子どもがいてくれたから、私は「説明する力」「伝える努力」「待つ姿勢」など、本来の自分だけでは身につかなかったスキルを、時間をかけて学ぶことができました。
子どもは私の“育て直し”をしてくれているのかもしれません。
子供は親へのメッセンジャー
子どもとの日々のやりとりは、とても小さな事のようでいて、その中にはたくさんの気づきと成長のチャンスが詰まっています。
「伝わらない」と感じた時こそ、「私はどう伝えているだろう?」と振り返るチャンスかもしれません。
子どもの困った行動や言葉の裏には、“親へのメッセージ”が隠れていることがあります。
私たち親もまた、子どもを通して育てられているのだと、今では思っています。
あなたの子育てを心より応援しています。
次回は、吉村ひろえカウンセラーです。
どうぞお楽しみにしてください。