繋がりたい。でも、繋がれない。
あなたの周りにも憎まれ口をたたく人がいるのではないでしょうか?
 もしも、そのような人がいたら、あまり良い気分ではないでしょう。
 誰もが憎まれ口をたたけば、その場の雰囲気は悪くなるし、周りにいる人もイヤな気持ちになるのは理解できそうなものです。
 それでも、お構いなしに憎まれ口をたたく人というのは、どのような心理なのでしょうか。
 今回の心理学講座では、そのような人とどのように接していけばいいのか、心の持ち方を解説させて頂きます。
***
●憎まれ口をたたく人
あなたの周りにもひとりやふたりは憎まれ口をたたき、その場の雰囲気を悪くし、あなたの気持ちをかき乱す人がいるのではないでしょうか。
そのように振る舞えば、場を凍らせ、相手に不快な思いをさせると分かっているのに憎まれ口をたたく。
そのような人たちには、どんな心理が働いているのでしょうか?
●罪悪感が強い
そのような人たちの心理を掘り下げていくと「罪悪感」のキーワードが出てくることが多いのです。
 カウンセリングの場でも
 「どうせ、私なんて最低な人間です」
 「僕は何の役にも立てないから、しょうもない人間です」
 「俺は過去にたくさんいけないことをしてきたから、冷たくされて当然だ」
そのような言葉を発する方がいます。
すなわち、罪悪感を抱えているんですよね。
●罪悪感を抱えていると起こること
では、罪悪感を抱えているとどうなるか、ひとつ例を挙げます。
あなたの周りに、よく遅刻をする人はいませんか?
 もしくは、あなたが頻繁に遅刻をする人だとしましょう。
その人が待ち合わせの場所に着いて、一番最初に発する言葉は何でしょうか?
おそらく「ごめんなさい」「すいません」ですよね。
 申し訳なさそうに謝るのではないでしょうか。
でも、その人が毎日遅刻を繰り返していくと、だんだんと謝ること自体が耐え難くなっていきます。理由は「罪悪感が増す」からです。
 そして、言い訳をしたくなるのです。
 「(本当は遅れていないのに)電車が遅れたのでしょうがなかったのです」
 「忘れ物をして、家まで戻った分、遅れました」
さらに罪悪感がつよくなっていくと謝るのではなく、開き直るようになります。
 「仕事はきちんとこなしているのだから、遅刻なんて大したことないじゃないですか」
 「小さい頃、親が忘れ物は絶対するなとうるさかったから、支度に時間がかかるんだよ」
 「たった5分なのだから、なんの支障もないでしょ」
 「だいたい、細かいことにうるさいんだよ」
遅刻を繰り返す自分を責めて責めて、責めすぎて、それに耐えきれなくなり、次に攻撃対象を外に向けるのです。
 相手を責め、周りの環境や過去の境遇のせいにするのです。
そのように罪悪感を抱えている人ほど、自身を陥れようとする傾向にあります。
1 憎まれ口をたたく
2 みんなに嫌われる。だから、煙たがられる
3 嫌われている自分は、やっぱりダメな奴なんだ
4 罪悪感が増す
そのルーティーンにハマり、ますます自分を嫌います。
 嫌われることで「自分はダメな人間なんだ」ということを証明していくのです。
手っ取り早く嫌われるには、憎まれ口をたたけばいいですものね(><)
●憎まれ口をたたく人が、本当にほしいもの
でも、憎まれ口をたたく人は、本当に嫌われたいのでしょうか?
 人に憎まれたい人なんて、いないと思うんですよね。
私たちは誰もが素に戻れば、誰かと繋がっていたい、心を通い合わせたいと願っていて、周りから大切にされたいし、相手を大切にしたいという思いをもっています。
誰もが本当は「人との繋がり」を求めているのです。
 でも、素直になれないのです。
「本当はあなたと繋がりたい」
でも、その気持ちを言えないモヤモヤがストレスになります。
「繋がりたい。でも、繋がれない。」
その中途半端な気持ちを感じ続けるのがツラくて、いっそのこと離れてしまおうと憎まれ口をたたき、相手と距離を取ろうとするのです。
本当は人と繋がりを感じ、安心したいけど、誰も安心させてくれない。
 なら、自分を守るため、心のバランスを保つためにバリアを張る。
そのバリアが憎まれ口なのです。
本当は構ってほしいのです。
 心の中は寂しくて、泣いているのです。
もしも、そうだとしたら、切ないですよね?
●憎まれ口をたたく人に優しい眼差しを向けるための心置き
そのように憎まれ口をたたく人と一緒にいるのは不快ですよね。
 でも、もしもその憎まれ口をたたく人が幼い子どもで、「本当は寂しくて泣き叫んでいるのだ」と思えたら、少しはその人に対する感情が変わってくると思いませんか?
幼い子どもが駄々をこねている。
 構ってほしくて甘えている。
そのように想像したら、少しは優しくなれませんか?
そんな風には感じられないという方は、ほんのちょっとでもいいので、感じてみてほしいのです。
 ほんのちょっとからでいいのです。
きっと、「しょうがないなあ」って優しい気持ちが湧いてくると思います。
 そして、あなたのその優しさが相手に伝わり、少しずつですが憎まれ口も減ってくると思います。
●あなたが憎まれ口をたたく人だったら
もしも、あなたが憎まれ口をたたく人なら、素直になりましょう。
繋がりを感じたい相手に
 「本当は寂しいんだ」
 「ホントはあなたと仲良くしたい。分かり合いたいんだ」
そう、伝えてみましょう。
勇気がいるでしょう。
 でも、あなたが勇気を振り絞った分、あなたが本当に求めている「人との繋がり」を感じ始めることができるでしょう。
そのように人との繋がりを感じられれば、自然と憎まれ口は減っていくでしょう。
勇気を出す価値はあると思います。
(完)
 
 
 
  
  
 