子どもの成功体験、失敗体験〜本当に大切なものは?〜

あなたは愛されるに値する存在

子どもにはたくさんの成功体験を積ませたい。
そして、自己肯定感を上げて自信をつけてほしい、と願う親御さんは多いかと思います。
確かに成功体験を積み上げてゆくと、子どもの自己肯定感は上がり自信もつきそうです。

けれど、成功体験の前に大切なものがあります。

それは、子ども自身がたとえ失敗しても 『私は愛されるに値する存在だ』 と感じられること。
『あるがままの私でOK』とまるごとの自分を受け容れ認められることです。

なぜなら、この感覚がないと成功体験を積み上げるためのチャレンジすら出来なくなってしまうからです。

 

あるがままの自分でも安心して帰れる場所

私たちは家族や友人、地域や職場などの集団や組織に
「所属したい」
「受け容れられたい」
「愛されたい」
「仲間が欲しい」
など、帰属欲求というものを持っています。

そして、その集団や組織への信頼感や満足感、関心や愛着が高まると“私はこの集団の一員であるという自覚や感覚”が強まります。

【私はこの集団の一員であるという自覚や感覚】

これを帰属意識といいますが、親や家族は私たちにとって最も基本的で重要な“所属の場”となります。
帰属意識を満たす一番最初の場所なのです。

その一番最初に属した親や家族に

「成功するする私でも失敗する私でも、愛されている」
「がんばる私もがんばれない私でも、あるがままで受け容れられる」

そんな信頼と安心という心の土台が整っていると、子どもは「失敗してもいいからやってみよう」という勇気を発揮しやすくなるのです。

なぜなら、失敗したとしても「自分には価値がある」という自分への愛情、思いやりが育まれているから。
そして自分への愛情と思いやりが育っているぶん、他者への愛情と思いやりも同時に養われてゆきます。

反対に帰属意識が低いと、集団や組織に存在する意味を見失い人とのコミュニケーションが取りづらくなり孤独感や孤立感、疎外感を深めてしまうのです。

 

生きる力を育てる

子どもたちは日々の生活の中でたくさんのことにチャレンジしています。

赤ちゃんのころは寝返り、ハイハイ、つたい歩き、発音から単語、一人歩き、トイレトレーニング・・・etc
最初からテクテク歩き出したり、突然「ママ、今日はいい天気だね」なんて話し出した子どもはおらず、チャレンジしては失敗、失敗してはチャレンジを繰り返して成長してゆきますよね。

赤ちゃんのころはうまく寝返りができなくても、うまく話せなくても「いっぱいがんばったね」「偉かったね」と子どものがんばりを承認していたのではないでしょうか。
上手くできなくても、あるがままの子どもを受け容れ愛しています。

けれど、小学校にあがったころから時間割の用意、お友達との関係、テストの点数や鉄棒、跳び箱など、子どもが上手くできなかったとき、つい叱ってしまったり「なんで出来ないの?」と追い詰めるような言い方をしてしまったり一緒に落ち込んでしまうというお母さんは少なくありません。

子どもを心配する気持ちからそのような言動を取ってしまうことはよくあることなのですが、子どもには「失敗する僕は愛されない」「出来ない私はダメな子」というメッセージとして伝わってしまうのです。

 

不完全でも愛される

「成功するから愛される」
「上手くできるから価値がある」

子どもがそう思い込んでしまうと、失敗が怖くて挑戦できなくなり結果、成功体験も積めなくなってしまいます。

【完璧な人はいないし、人は誰でも失敗する】

これは、大人の私たちも頭では十分わかっている真実です。
が、しかし、それをわかっている私たち大人が自分の失敗に寛容になれないことも多々あります。
それでも家族や職場、地域のなかで日々の生活を送ることが出来ているのは、周りからの愛情や支えがあるから。

親である私たちが先に

「成功するする私でも失敗する私でも、愛されている」
「私は愛されるに値する存在である」

ということを受け取り、お手本にならなければなりません。
子どもは感情に敏感で、親の意識を知らず知らずコピーしてしまうからです。

そして、子どもが失敗したときや思うような結果が得られず落ち込んでいるとき
『失敗しても大丈夫。あなたは愛されるに値する存在』
ということを子どもに伝えること。
それは成功体験を積ませるよりも大切なことです。

失敗したときにこそ受け容れられている、愛されているという実感を得ることができると、本当の意味での自己肯定感があがり、不完全な自分でも愛されるのだという安心感が生まれます。
この安心感というしっかりとした心の土台があってはじめて、失敗してもまたチャレンジしようという意欲を持つことができ、成功体験を積み上げてゆくことができるのです。

親の私たちから「私は愛されるに値する存在である」を受け取り、体現してゆきましょうね。

来週からは朝陽みきカウンセラーに変わりまして、のひらさち絵カウンセラーがお送りいたします。
いつもニコニコ、あたたかい笑顔でふんわりした包容力が魅力のカウンセラーです。
どうぞ、お楽しみに♪

 

[子育て応援]赤ちゃんの頃から、思春期の子、そしてそんな子どもたちに関わる親とのお話を6名の個性豊かな女性カウンセラーが、毎週金曜日にお届けしています。
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恋愛や夫婦、浮気、離婚などのパートナーシップから対人関係、子育て、また、死や自己受容のテーマなど幅広いジャンルを得意とする。 女性的で包容力があり、安心して頼れる姉貴的な存在。クライアントからは「話しをすると元気になる」「いつも安心させてくれる」などの絶大なる支持を得ている。