嘘をついてしまう心理(1)〜自己防衛の嘘〜

自己防衛の嘘

嘘はつかれたくないものですし、つきたくないものです。
嫌われたくない、怒られたくない、バカにされたくないと思えば思うほど、そうならないために嘘をついてしまうことがあります。
嫌われる怖れ、怒られる怖れ、バカにされる怖れなど、怖れが強ければ強いほど、自己防衛しなくてはいけなくなってしまうからです。

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嘘というのは、つかれると傷つくこともあるし、悲しい思いをすることもある。
ついてしまっても、罪悪感をもつことになり、後ろめたい気持ちがでてきてつらくなってしまうこともある。

嘘がないということは素晴らしいことですし、できるなら嘘などついたり、つかれたりすることなく生きていけると良いのですが、どうして嘘をついてしまうのでしょうか?

嘘をついてしまう様々な心理を解説するシリーズ1回目は、【自己防衛の嘘】についてです。

自己防衛ですから、自分を守るためにつく嘘ということになります。
いったい何から守るのかというと、怖れです。
「嫌われる怖れ」「バカにされる怖れ」「怒られる怖れ」「仲間外れにされる怖れ」「損をしてしまう怖れ」など、他にも色々あるでしょうが、何らかの怖れから身を守るために嘘をついてしまうのです。

嫌われるのが怖い場合は、嫌われないように自分がより良い存在であると思ってもらえるような嘘をつきますし、バカにされるのが怖い場合は、バカにされないように自分を大きく見せるような嘘をつきます。
その他の場合も、怖れているものを回避するために、つい嘘をついてしまうのです。

その結果、嘘がバレて嫌われてしまう怖れや、怒られてしまう怖れも追加されてしまうので、更に嘘をつくということが起こることもあります。

嘘が繰り返されるのは、ある意味これが原因なのかもしれません。

「どうせ嫌うんだろ!」「どうせ怒るんだろ!」というように、怖れを通り越してしまっているタイプの人は、自己防衛の嘘をつく必要がないので、動機が自己防衛という嘘はつかないということになりますね。

原因が自己防衛のためだとわかったとしても、嘘をつかれた側は、とても辛いですし、悲しいものです。
できれば嘘はつかないでもらいたいものですが、その時に「嘘はつかないで!」と怒ってしまうと、怖れが強化されることにもつながってしまいます。

そうは言っても、「嘘をつかれると悲しくなるのでやめてほしい」ということは伝えるべきかもしれません。
ただ、伝えたから嘘はつかなくなるのかというとそうではありません。

自己防衛の嘘の場合、嘘をついてしまう人の怖れが小さくならないと、原因がそのままですから嘘をつしてしまうということになります。
ですから可能なら、その人の怖れを取り除いたり小さくしたりしてあげられるといいですよね。

その人が怖れていることは起こらないですよということを伝えてあげる。
「あなたのことは大好きですよ」「どんなあなたでも受け入れますよ」「あなたのことを考えていますよ」「あなたのことを大切にしていますよ」「あなたのことを尊敬していますよ」というように、伝えてあげられるのであれば伝えてあげることで、怖れが小さくなってくると、自己防衛しなくてもよくなります。

理屈ではそうのなのですが、怖れが強い人というのは、自己嫌悪が強かったり、自信がなかったりしますので、伝えた言葉をそう簡単には受け取ってはくれません。
ですから、何度も何度も伝え続けるということが必要になってしまいます。

もし自分が自己防衛の嘘をついてしまうことがあるという場合は、怖れと対峙する必要があります。
「こんな自分を知られたら嫌われてしまうと思って怖い」「ひどい目にあわされるのではないかと思って怖い」ということを、伝えてみることも大切です。
怖れているということを、真正面から受け止めるわけですからね。
でも、それを伝えることができれば、嘘をつく必要はなくなります。

また、自己嫌悪や自信のなさを克服する試みが必要になります。
自己嫌悪が少なくなり、自信をつけることができてくれば、自己防衛する必要がなくなるので、嘘をつく必要もなくなってくるのです。

「こんな自分も受け入れてもらえる」「こんな自分でも愛される」「こんな自分でも大切に思ってもらえる」「こんな自分でも必要とされている」というような人がいることで、怖れから解放されることができます。

この記事を書いたカウンセラー

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