やりたいことがわからないのは、自分らしさに蓋をしているから

「いまいちやる気がわかなくて。仕事に行くのがつらくて。だけど、やりたいこと言われてもよくわからないんです」
「なんか今の生活は違うなって思うんだけど。やりたいことがわからないんです」

こんなお話をよく聞きます。
「やる気がわかない」「仕事に行くのがつらい」という言葉だけを取り上げると、やる気が起きなくてしんどそうに感じてしまうのですが。

さらに聞いていくと、「もしかして、自分の生き方を変えたいんじゃないですか?」という話になることがとても多いんです。「生きていかなきゃいけないから、収入を得るために会社に行っているけれど。やらされている感が強くて。このままここで自分の人生終わっちゃうのかと思うと。お先真っ暗。灰色の未来しかイメージできない……」と思いながら過ごしている日々を、本当は抜け出したいと思っているんじゃないですかという話になることが多いんです。

いまの状態のまま時間を過ごしているのは、もう限界。
どこかでそんな気持ちを感じているなら、「これまでの枠から一歩抜け出して、自分の心が本当に望む生き方をしてみたい」のかもしれません。

それはどうやら、自分らしさと関係しています。
自分らしさというと、いいところやキラキラしたところのイメージがあるかもしれないけれど、そもそもデコボコしているものなんです。

自分らしい部分とは、突出しているところです。
だから、自分らしい部分は目立つ部分でもあるんですね。

例えば、本来は自由でマイペースで、空気なんて読まずに好きなものは好きと思うタイプだとしますよね。
思ったことを口にするし、発想も独創的。
するとお母さんから「どうして、あなたはそうなの!」とか「他のお母さんたちがいる前で、どうしてあんなこと言ったの」とかあれこれ言われることも多くなるかもしれません。

さらに、小学校中学年から高学年くらいにかけて、自分の目立つ部分を友達から「A子ちゃんのそういうところが嫌」といわれたり、仲間外れにされるような体験も起こることがあるんですね。

そうすることで「自分のこういうところって、よくないんだ」「こういう面を出すと、みんなから嫌われちゃうんだ」と感じて、自分らしさを表に出さないようにし始めるんです。
代わりに「周りから、よく思われるような自分」を頑張って作ろうとするんです。

それは親や先生に叱られないために、友達から嫌われないために、本来の自分らしさを「こんな自分じゃダメ」と否定して、そうじゃない自分をやろうとするようになるんですね。

つまり、本来の自分らしさを「こんな自分では愛されない」と、嫌って、否定してしまうんですね。

自分らしさってもともと持っている特質だから、普通にしていると出てきますよね。
そのたびに「こんな自分はダメ」と否定していたら、それは苦しいことだし、生きづらさを感じて当たり前ですよね。

だけど、本来の自分らしさを嫌って、「こういう自分になったほうが愛されるのではないか」と思う自分をやっていることって、けっこうあったりするんですね。

子どもの頃から、本来の自分らしさに蓋をしていると、自分は何が好きで、何がしたいと思っているのかがわからなくなってきます。
また、どこかで「自分はこういうほうが好きなんだよな」と思っていたとしても、心が惹かれるものを選ぶことをせずに「こうしておいたほうがいいだろう」というほうばかりを選び続けているということもあります。

だけど、そういう生き方って、どこかで限界がくるみたいなんですね。
「今の生き方は、何か違う。このままでいいのかなと思う。だけど自分は何がしたいのか、何が好きなのか、どうしたいのかがわからない……」

もし、こんな気持ちがあるのだとしたら。
「自分の好き、やりたい気持ちを取り戻したい」
「本来の自分らしさを抑え込んでしまった、蓋を開けたい」
ということかもしれません。

本来の自分らしさを「こんな自分じゃダメ」と否定して、嫌ってきた。
それは、これまで生きてくる中で仕方がないことだったのだと思います。
また、本来の自分を嫌って、そうでない自分をつくってきたとするなら。つくってきたほうの自分が「間違い」なんてことも、ありません。

どっちも自分だし、どっちもいていいんです。

カウンセリングでは、「子どもの頃に親からこんなことを言われて。だから、自分のこんなところっていけないんだと思ってきた」などのお話になることが多いのですが。

その「閉じ込めてきた自分」を見つけて、「自分のそんなところも、あっていい」と受け入れていきます。

自分の中にいろんな自分がいるけれど、「この自分はだめ」「この自分はいい」というものって本当はなくて、どんな自分もいていいんですよね。

そうやって「自分のこんなとこダメだと思ってきたけれど。こういう面もあっていいよね」と思えるようになってくると、だんだんとその部分を表に出すことができるようになるんですね。

本来の自分って、もともとの自分らしさだから、それが出てくるほうが自然なわけです。

本来の自分が出て来ないように抑え込むのにも、エネルギーを使います。
自己否定を使って、自分らしさを抑え込んでいるとしたらなかなか大変なことをしているわけなんです。

これまで抑えてきた本来の自分らしさにOKを出せば出すほど、生きやすくなっていきます。
自分を嫌わなくてもすむようになるから、楽にもなります。
何が好きで、何が嫌いで、どんなことをしているのが楽しいのかを感じられるようにもなっていきます。

そして、自分が気になることに手を伸ばしてもいいんだと許可をし始めると、そのうち「あ、これをやってるときが楽しいんだ」「これをしているときが自分はわくわくするんだ」というものが見つかりやすくなります。

そうしたら、収入を得られる今の仕事を続けながら自分のやりたいこともやっていこうとか、やりたいことにエネルギーを注ぐことにいったん挑戦してみようなど、これまでの枠を超えるような選択肢が見えてきたりします。
ここまできたら、なんだかワクワクする未来を思い描くこともできるかもしれません。

どんなふうに生きたいか。
いつからだって自分でつくることができるんです。
気づいたときが、タイミング。
みなさんの自分らしい生き方を応援しています。

この記事を書いたカウンセラー