子どもとのかかわりで気づく、自分の過去の経験

私たちも過去、子どもの時代がありました。
そして幼少時代を経て、嬉しいことも辛いこともたくさん経験をして大人になり、今、自分が親という立場になっています。
そして、日々の子育てにおいては、今までの自分の経験が、時にいろんな形で表れてしまうことがあるんですよね。
今日は、最近我が子との関りで、私自身気づいてしまった、自分の過去にまつわるお話です。

 

■息子との口論

・口論のもととなること

シェアする、一つのモノを分け合うことですよね。
多くの男性にとって、分け合うという発想がない…ということは、私も男性心理で知りました。
女性同士なら一緒にとか、シェアするとかはよくある話でもあり、またそういうことが好きなんですよね。特に大事な相手とは、繋がりを感じる行動でもあります。

我が家では、このシェアに関することで息子とよく口論になっていました。
お菓子でもなんでも、息子は自分のを既に食べていて、あえて残してある私のモノをよく狙います。それは全然かまわないことなので、本人が欲しがった時、いいよとそのまま渡すことはあります。
ただ、もともと私自身が残しているモノですから、「半分ならいいよ。」ということもあるんですよね。ですが、彼は、

「それやったらいらんわ。」

という態度です。どうよ。
半分や少し残して…という話になると、結構な頻度で、

「それならいらん。」

です。
もらう身でなんじゃその偉そうな態度…。

と私は思うのですが、一旦そういうともう絶対に食べません。こういうことがよく起きます。

で。最近もそれでひと悶着です。
前の日に主人の誕生日で、買ったケーキを私が少し残しておりました。それを息子が朝食代わりに食べたいと言ったので、
「じゃあ、半分食べたらいいよ。少しでいいから残しておいて。」
というと、
「じゃあいらんわ。」
なんですよね。
「食べたらいいでしょ?」というと、「半分やろ。めんどくさいしそれならいらん。」

この態度に私はむかっとするんですよ。
なんでそんなに独り占めしたがるのかと。
「だって俺一個食べたいし分けんのもめんどくさいわ。」

むむむ。
私はこの態度にすこぶる腹が立ちます。そして口論が始まって、お互いに気分が悪いまま息子は学校に行きました。

 

・なぜ腹が立つ?

こういう時。
一般的には私が腹を立てて、息子はイライラし、そして聴いている主人も巻き込まれて機嫌の悪い二人にイライラする…。
という構図になると思うのですが。

幸か不幸か、弱弱ながらも一応仮にもカウンセラーを20余年続けている嫁の夫ですから、時に彼もカウンセラーのようなことを聴いて来る。

「あいつの態度も悪いと思うけど、のりちゃんはなんでそんなに過度に反応すんの?」

と。
「確かに俺もあの言い方と態度は悪いとは思うけど、のりちゃんほど腹立つわけじゃないから。のりちゃんはなんでそこまで反応してしまうん?」

うううむ。確かに。
ここで息子のせいにしても事は一向に変わらない。
人を変えるでなく、まず自分。自分がお客様としてカウンセラーにお世話になっていた時散々耳にした言葉です。
そもそも何に私はむかっとするんだろう。言い方に強い否定感? 分けることを拒否されて悲しかったから? そもそもなんで夫よりこんなに腹立つの??

 

■自分の痛みに気づく

・シェアすることへのこだわり

気づいたことはただ一つ。
中学生、高校生と、私はものすごいいじめを経験しています。
それは完全な孤立で、私に話しかける人、私の見かたになってくれる人は1人としていませんでした。
クラス内の活動でも、休憩時間でも、ランチタイムも、学校の行き帰りも、私はずっとひとりでした。学校に行っていても誰とも話さず帰ることも当たり前のようにあったんですよね。

そんな私は社会に出てもずっとひとりでした。人と関わるのも怖いし嫌だったし、だから日常も一人でした。唯一の楽しみが、ひとりで喫茶店で本を読むことでした。

だけどね。
喫茶店では友達同士やカップルや、そういう人たちが周りにいて、食事やデザートを分け合う姿を度々見るんです。あれがすごく羨ましかった。私には手に入らない世界だと思っていました。

私が息子に感じること。それはたった一つです。
「あなたも、私と分け合うことを嫌がるの?」
だったんですよね。

 

・自分の痛みを自覚してやり方を変える

自分に過去の痛みがあると、今に影響してしまう。
それはどんな人間関係においてもです。恋人同士だって夫婦関係だって、そして親子関係も。

特に親子関係ほど近い間柄だと、自分の傷は出やすいものです。
以前は自分がいじめられていたことは、私の恥でした。そこに怒りも悲しみもあって苦しかったです。でも自分に向き合うことをいっぱいさせてもらって、今はその人たちを恨んではいませんし、今会う機会があったとしても気にならないと思います。
だけど思い出はあるんですよね。
こういうことを経験した事実とあの時の辛さや悲しさ。
まさか息子相手に出て来るとは思ってもいませんでした。

それに気づいてから、こんな息子をどうしよう…でなく、自分も食べたいと思うものがあれば、彼の前で2人で分け合うという意識ではなく、それを言葉に出すこともせず、あらかじめ先に別のカップか何か入れ物に分けて、分け終えたそれを単体として息子の前に出すようにしました。
すると何の疑問も持たず、彼はそれを食べるようになったんですよね。
一緒に食べるとか、分けるとか、シャアし合うということに私が執着し過ぎていたかもしれません。

 

■過去の痛みの影響

子育てをしていると、多かれ少なかれ、自分の過去の事柄と重ねることなんて誰しもあると思います。
厳しく育てられて、その厳しさが辛い思い出としてあった場合、我が子には自由にさせてあげようと思う場合と、自分の教えられた厳しさから、そのやり方以外が分からず、同じように厳しさで我が子を守ろうとしてしまう場合もあります。
親が忙しくて寂しい思いをしていた方は、我が子には寂しい思いをさせずにいつもそばにいてあげようと思う場合と、寂しかったけど、そうやって生きるのは親として仕方ない、私も我慢していたんだから…と、子どもの我慢も仕方ないと思う場合もあります。

私たちはそうやって自分の経験したことで、学んで、それを子育てにおいて、子どもに自然と伝えて行きますが、どんなやり方であってもみんな親として常に一生懸命です。
何が子育てで大事かとか正解とかはなく、皆さんのそれぞれの精一杯のやり方で、それでいいんだと私は思うんですね。
ただ、日々の子育てで、子どもと何か言い合いが続くようなこと、争ってしまうようなことがあれば、自分の子ども…ではなく、もしかしたら、今回の私のように、自分自身の過去の痛みに関係してくるのかもしれません。
そう考えることで、目の前の問題だと感じていることの突破口は見えてくるかもしれませんね。

私事ですが、今日のこのお話が、子育てで迷う親御さんにとって、何かのヒントになれば嬉しく思います。

次週は、高塚早苗カウンセラーです。
どうぞお楽しみに。

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この記事を書いたカウンセラー

About Author

アルコール依存症の父からの虐待経験、学生時代のいじめから、恋愛依存、不倫や風俗を経て、自分を抑え付けるような結婚生活後、8年で離婚。その後自分に向き合い、今は穏やかに生きる。 過去のあらゆる経験をもとにして、恋愛関係、家族関係を得意とし、お客様と共に成長するスタイルを取る。