焦りの心理学〜やらなければならないことがいっぱいなとき〜

行動していないと焦りや不安を感じやすくなる

やらなければならないことがいっぱいあると焦ってしまうものです。私たちは何も行動していないと焦りや不安を感じやすくなるため、焦らないようにするには行動することが必要なのですが、そうはいっても何も手につかなくなることも多いもの。そういった負のループからどうやって抜け出したらいいのでしょうか。

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こんにちは。
今日の心理学講座はカウンセリングサービス『高見綾』が担当します。

仕事・家事・勉強など……あれもこれもと、やることがたくさんあるときは焦りますよね。「こんなにもやることがあるのに、できるのかな」と不安に思うことで、気持ちの余裕がなくなってしまいます。

締切が迫っているのにやる気が起きない、なんてこともありますし、どうしようどうしようと焦るばかりで、何も手につかないこともあるかもしれません。時にはイライラしたり、「なんでこんなにやらないといけないの」と被害者意識でいっぱいになったりしてしまうこともあるでしょう。そんな状況からどうやって抜け出せばいいのでしょうか。

◆焦ることはかえって時間のロスになる

「焦っても良いことは何もない」と聞いたことがある人は多いかもしれません。これは本当にその通りで、何とかしなければと焦れば焦るほど、頭の中が散らかってしまうので、かえって何も手につかなくなり時間のロスになるのです。

私たちはちょっとでも気になることがあったりすると、集中力が低下してしまうのです。やるべきことを早くこなすためには、一旦冷静になる必要があるんですね。

自信がなくて今の自分を否定している人は、「今すぐ自信がつく」魔法のような方法を求めてしまうことがあるのですが、焦っているときに早くなんとかしようと思うのも、魔法のような方法を求めてしまう心理と似ています。

でも、そんな一気に物事が片付くような魔法のような方法はありません。焦っているときこそ冷静になり、心にゆとりを持つことが遠回りに見えて近道なのです。

◆一人で抱え込まないことも大切

やるべきことをいっぱい抱えて焦ってしまう人は、人に頼ること(甘えること)が苦手で、「自分で何とかしなければ」と思い過ぎているところがあるかもしれません。

人にヘルプを出しても、「結局やるのは自分なんだから意味が無い」「解決しない」と思うこともあるかもしれませんが、「今、ちょっとしんどいです」と伝えることができるだけでも随分気持ちが楽になるものです。

心の優しい人は、自分が相談することで周りに迷惑をかけたくないと思うかもしれません。ですが、周りの人はそんなに困っているなら助けてあげたいと思うのではないでしょうか。

それに、例えば仕事を抱え込みすぎてパンクしてしまったとしたら、かえって周りに迷惑をかけてしまうこともあります。事前にわかっていれば、みんなで分担して締切に間に合わすこともできますし、納期をずらしてもらえるように先方と交渉することもできます。事前に助けを求めることで大事(おおごと)にならずに済むこともあるのです。

◆うまくできない自分を待ってあげると、逆に余裕が生まれることも

焦りは、手を動かし始めると落ち着いてくるものです。つまり、焦ってしまうのは「実際に行動をしていないから」という理由も大きいのです。

「やっていない→ 焦る →気持ちがいっぱいになって手につかなくなる →ますます焦る」という流れです。気持ちを落ち着かせて心にゆとりを持ち、行動を起こすことでこの負のループから抜け出しやすくなります。

焦っているときは「早くやらないと」「ちゃんとしなくちゃ」と思い過ぎていたり、「締め切りがあるのにやる気が起きない自分はダメだ」など、自分にプレッシャーをかけすぎたりしているのです。

プレッシャーをかけると、ますます気持ちがいっぱいになって、行動ができなくなってしまうので、うまくできない自分を待ってあげると良いですね。

「やる気が出ないときもあるよね〜」「そんな簡単にできないよね」と言って自分に寄り添ってあげると、少しずつ気持ちが落ち着いてきます。うまくできない自分を許してあげることで、頭の中のごちゃごちゃした思考がクリアになって冷静さを取り戻していけるのです。

心が静かになると集中力がアップするので、「昨日は何時間かけても全然進まなかったのに、今日はこんなに短時間でできちゃった?!」ということが実際に起きます。

焦ったときほど心にゆとりが持てるように、自分に優しくしてあげたいですね。そうすることで、行動に移すスピードが上がり、結果的にやるべきことをこなしていけるようになるのです。

(完)

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