「好きな事を仕事にする」のは可能か?

好きな事を仕事にできたらいいな、というのは、わりと多くの人が思う事のようです。
人は人生の多くの時間を仕事に費やすので、その時間が「好きな事」であれば、人生はずっと豊かになるかと思いますね。

「好きな事を仕事にする」のが可能かどうか、難しい事なのかどうかを考える時に問題になるのは、「好きな事」の定義の方かも知れません。
たとえば、「お酒が好きな人」は沢山いますが、その人が「お酒の製造工場」で働いて満足感を得られるかどうかは、ちょっとなんとも言えないかと思います。
 

この場合の「好きな事」の定義は、「どんな風に働いている時に楽しさを感じるか?」という目線で見ると分かりやすいかも知れません。
たとえば、「仲間と協力して何かを作り上げるのが好き」とか、「自分の才能を活かしてリーダーシップを取るのが好き」とか、「ひたすら研究に没頭するのが好き」とか、大雑把に分けるとそんな感じです。

「お酒が好き」「サッカーが好き」「本を読むのが好き」というのが一般的な「好きな事」に対しての目線ですが、たとえばサッカーが好きな人は、サッカーに関わる事なら何をしていても楽しいかというと、そうでもない場合が多いです。

サッカーを観戦するのは好きだけど、自分がプレイするのは好きじゃないという場合もあるでしょうし、サッカー選手を取材するのは好きだけど、インタビューの記事を書くのは好きじゃないとか、そういった事は非常に多いです。
 

一方、「ひたすら研究に没頭するのが好き」という目線の「好き」の場合、「何の研究をするか?」は実はそれほど重要ではない場合が結構多いです。
日本史の研究なのか、世界史の研究なのか、生物の研究なのか、農薬の研究なのか、経済やビジネスの研究なのか、全然ジャンルが違っているはずなのに、「ひたすら研究」が共通していれば、変わらず楽しめるという事は多いようです。

もちろんその場合、「研究に関わっている」とか「たまに研究できる」というぐらいだと、「私はひたすら研究だけやっていたいのになぁ」と感じて、満足感を得られないという事はあります。
「好きな事を仕事にできるかどうか」は、「私は、どんな風な形で仕事に取り組むのが好きなタイプなのかな?」というのが分かっているかどうかが、とても大事になってきます。

ときには、「エゴグラム」とか「エニアグラム」とかのような、性格診断テストのようなものを参考にしてみるのもいいかも知れません。
当たっていない時は気にしなくていいですが、「ああ、私は本当はそういうタイプだったのかも!」と発見があるかも知れません。興味のある人は、自分を知る手がかりにしてみても良いかとは思います。

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今回、好きな事を仕事にできるかどうかを話してきましたが、何故この話をしたかというと、「自分に向いている仕事」をしている人と、「そうでない人」には、圧倒的な差が出るからです。
「生まれついての個性」は大きな差がありますから、「向いている仕事をしている人」というのは、「他の人が頑張ってもできない事が、苦労なくできる」とか、「他の人が数時間で飽きてしまう事が、いくらでも続けられる」とか、そのぐらいの差が出ます。

向いていない事をどんなに頑張ってやっても、「それが好きで、楽しんでやっている人」にはかなう訳がありません。
だとすれば、もしみなさんが「自分に向いている仕事」を選べれば、「他の人が誰もかなわないぐらいの才能」を発揮できるという事です。しかも、「それほどの苦労なく、楽しみながらできる」という事になります。

そして、今の時代、昔よりも職業の種類は多様化し、同じ職業の中でも様々な働き方ができる時代になってきています。
昔ならば、選択肢が少なかったので、「個性を無視して頑張るしかない」という時代が長かったですが、現在はそうではなくなってきています。みなさんも、「自分が本当に向いている事、苦労なく楽しく出来る事を仕事にする」事ができる時代になってきていると思います。

ただしその為には、「新しい仕事を探す事」より前に、「自分の事をよく知っている事」が大事になります。
自分がどんなタイプなのか、何をしているのが楽しくて、何が向いているのか、何がニガテで、何をやりたくない人なのか。
ニガテな事は多少克服できますが、「これをやっているのが大好き!」というのは、生まれ持ったものが大きいです。
ぜひ、自分の事をよく知り、本当に楽しく活躍できる仕事を見つけて欲しいと思います。

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