自立と依存のバランスをとることがよりよい関係につながる

パートナーとの関係は対等なものであるからこそ

恋愛や夫婦関係などのパートナーシップをよりよいものにするには「自立と依存の逆転」が不可欠です。いつまでも依存側に回っていたり、責任感やパートナーへの競争意識から、ずっと自立側に回っていても、いつか二人の間にすれ違いが増えてしまいます。パートナーとの関係は対等なものであるからこそ、時には自立、時には依存、とポジションを変えていく意識が重要になってきます。

○自立と依存の関係が逆転しない関係

パートナーシップの問題で最も問題が起きやすい状態があるとしたら、お互いの「自立と依存の立場」が全く変わらないまま、時間が経過している状態、と言えるでしょう。

少し想像していただきたいと思うのですが、どんな時も自分が愛情を与え、相手を理解し、関係を引っ張っていく側にしかならない関係って、ちょっと疲れると思いません?

実際のご相談でも「夫は(妻は)何もしないんです、きっともう愛していないんだと思います」というお声をお聞きすることもありますし

「彼のことは好きだけど、彼は何もしてくれないから、そばにいるだけで苦しくなってしまいます。でも、そう思うということはやっぱり私の愛情が足りないのでしょうか。」といったお声を伺うこともありますよ。

こういったお声は、少なからず自分から相手のために(二人のために)行動してきた方から伺うことが多いんですよ。

一方、いつも自分が分かってもらう側、問題を見つける側に居続けていても不安だと思いませんか?

例えば「彼はいつも私を分かってくれません。どれだけ気持ちを伝えても聞いてくれないんです」とか。

「いつも彼は自分のやりたいようにしか物事を進めないんです。こちらがどんな気持ちか、全く気にしてくれなくて辛いんです」とか。

「いつも私はフラれるばかりで、恋愛をするたびに傷ついてしまいます」もそうです。

そのお悩みの質は違えど、自分からリーダーシップを発揮できないまま関係が進むとしたら、それもまたしんどいことですよね。

すると、どれだけ好きで一緒になった相手であっても「もう別れたほうが楽になれるかも」「一緒にいても苦しいし満たされないし」と感じやすくなってしまうのですよね。

このような状態にある方からご相談をいただくと、「依存と自立の逆転」についてご提案させていただくことも少なくないのです。

○浮気問題が起きたという事例から

ここからはわかりやすさのために、「浮気問題が起きたカップル」という事例で解説していきます。

浮気問題が起きたとしたら、多くの場合、浮気した側が自立側、浮気された側が依存側であって、その関係性に変化がなかったというケースが多いものなんですよ。(確かに依存側が浮気するケースもありますけどね。)

このとき、浮気した側は自分が起こした問題意識を抱えますよね。

浮気された側は大変なショックを受けたり、強い不安などを感じることが多いようですよ。

このとき、この二人の気持ちや関係性が変わらなかったとしたら、さて、二人の間には何が起きると想像できるでしょうか?

そうなんです。結局、二人の心理的なダメージも、お互いを理解して支え合ったり、許し合うことも難しくなるんです。

特に問題を起こした側には加害者意識や罪悪感がありますから、そういった感情を切り離すために、今まで以上に自分だけで物事を決断したくなることも多いです。

また、問題を起こされた側は、今まで受け取れていた愛情がなくなったように感じますから、不安や苦しさだけでなく、これから関係を続けていく自信も感じられなくなてしまうことが多いでしょう。

もちろんこのとき抱えた痛みや感情などは、丁寧に癒していくことをおすすめしますよ。まず自分自身のケアが優先されるのです。

ただ、問題を起こした側が、いつまでも自分の意志だけで行動していても、また依存側が、相手の気持ちが返ってくることを待っていても、関係は良い方向に転がることは少ないんですね。

少なくとも、今の関係をより良い方向に導くことを考えるならば

問題を起こした側は、今後のことを自分一人だけで決めず、パートナーと話し合ったり気持ちを分かち合うことが求められますし。

問題を起こされた側は、待っているだけでなく、こちらからパートナーに関わったり、関係をリードしていく意識が求められる場合も多いです。

これが「自立と依存の逆転」そのものなのです。

このように今までの心理的な立ち位置を変えながら、お互いに与え、受け取る関係になっていくことでより関係は成熟していくことになるのです。

このとき、もし罠があるとしたら

・自立側が加害者意識を受け止められず、依存側に回ってしまう場合(こちらばかり悪いわけじゃないだろう!と相手を責める)

・パートナーがずっと依存側にいる状態が続く場合(どうしてあなたは裏切ったのよ、愛してくれないのよ、と責め続ける)

このような態度をつづけてしまうことなのでしょう。

こうなると、二人の関係が「依存:依存」の関係になり、どちらも相手を愛したり、理解し支える姿勢を持てなくなるので、お互いが和解し前向きな選択を取ることは難しくなってしまうでしょう。

○自立と依存のバランスをとることが幸せなパートナーシップにつながる

このような自立と依存のバランスって、そもそも目に見えないものですから、なかなか分かりにくいことではあります。

が、自分自身がどのようなスタンスでパートナーを向き合っているのか、じっくり考えてみると

「確かに、自分はいつも相手の意見より自分の意見を優先させてきたな」
「相手に合わせてもらってばかりだったかもしれない」
「いつも相手に決めてもらわなきゃ不安だった」

「相手に愛してほしい、頑張って欲しいと求めてばかりだった気がする」

ときづけるかもしれません。

そこで、今までの自分のあり方に気づいたら、過去の自分を責めることなく

・自立の方は受け取る方向へ

・依存の方は与える方向へ

自分の行動、相手との関わり方、愛情の表現方法などを変化させることを意識してみてください。

その変化に慣れるまで勇気が必要になるかもしれませんが、そういった表現を続けていくことで、より安定した関係に近づけることができるでしょう。

(完)

 

心理学講座4回シリーズ/同シリーズ記事はこちら
  1. 彼ともう一度やり直したい。でも連絡してはダメ? 〜自立と依存の視点から〜〜
  2. 「惚れたら負け」は本当? 〜関係を対等にするために必要なこととは?〜
  3. 自分の問題で悩み始める自立側の心理 〜自分が許せず悩む人たち〜
  4. 依存と自立のバランスをとることがよりよい関係につながる
この記事を書いたカウンセラー

About Author

年間400件以上の面談カウンセリングを行う実践派。「男女関係向上・男性心理分析」「自信・自己価値向上」に独特の強みをもち、ビジネス・ライフワーク発見なども対応。明快・明晰かつ、ユーモアと温かさを忘れない屈託のないカウンセリングは「一度利用するとクセになる」と評され、お客様の笑顔が絶えない。