セルフマネジメントのススメ(12)~自己肯定感の育て方(実践編)~

今の時代、多くの組織や会社では、社員やメンバーが不満を感じているようです。

それはやり方や方向性の違いであったり、望む仕事ができないことへのフラストレーションだったり、やりがいの薄さであったり。

そんな中で「評価されない」「感謝されない」「チャンスがもらえない」と息苦しさや不自由さを感じ、
その期間が長ければ長いほど「どうせ頑張るだけ無駄だ」と諦めてしまったり、
「もっと自分を活かしてくれるところはないだろうか?」と転職や配置換えという、
環境を変えることでなんとかこの息苦しさや不自由さを打破しようとすることも多いようです。

このなんとも息苦しい閉塞感を抜ける鍵として、「セルフマネジメントのススメ」と題して、
”自己成長”を目的とした内容をシリーズでお届けしています。

○これまでのシリーズ
セルフマネジメントのススメ~自分の価値を活かす~
セルフマネジメントのススメ(2)~すべては自分の見方次第~
セルフマネジメントのススメ(3)~終わりを思い描く~
セルフマネジメントのススメ(4)~「豊かさマインド」を育てる~
セルフマネジメントのススメ(5)〜相手を理解することが自分を理解してもらう近道〜
セルフマネジメントのススメ(6)~1+1を3以上にするコミュニケーション〜
セルフマネジメントのススメ(7)~見せかけではない自分を磨く〜
セルフマネジメントのススメ(8)~刺激と反応の間にスペースをあける~
セルフマネジメントのススメ(9)〜人間関係をよりよくするための信頼の増やし方〜
セルフマネジメントのススメ(10)~自己肯定感の育て方(前編)~
セルフマネジメントのススメ(11)~自己肯定感の育て方(後編)~

以前、「自己肯定感の育て方」として、前後編でお届けしましたが、
今日は”実践編”と第して、できるだけ多く「自己肯定感を高める方法」についてお話したいと思います。

●自己肯定感を高める3つの方法

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その1:自分の価値観に気づき、受け入れ、変化を許可する
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私たちは、他の誰よりも自分との付き合いが長いので「自分のことはよくわかっている」と思いがちなのですが、実はそうではありません。
自分の中であまりにも当たり前すぎることに対しては、その価値観を疑うこともしませんし、違う角度から再検証してみよう、と思うことも少ないものです。
そのため、1度下された自分への判断を、その後状況や環境が変わったあともずーっと持ち続け、その価値観で今日の自分を自分を判断し、裁き続けてしまうことがあります。
それは同時に、未来の自分の可能性をも奪ってしまう行為でもあります。

まずは「自分がどんなことに対してダメだと思っているのか?」「どんなことで私ってダメだな、と自分を裁いているのか?」を見つけて見ましょう。

○ステップ1:自分の価値観を知る

自分が「私ってダメだな」と思っていることを上に書き出します。
書き出す時に、「私は」「僕は」「自分は」など、あなたが1番しっくりくる第一人称を使って下さい。

例)
・私は仕事が遅い
・私は何をやっても失敗する
・私は人に迷惑ばかりかける人間だ
・私は誰からも大切に扱われない
・私はみんなのお荷物だ
・私は人を不快にさせてしまう人間だ
・私は愛されない

○ステップ2:「今」の自分を受け入れる

次にステップ1で書き出した否定的で攻撃的な言葉に対して、
「~と、今の私は感じているの」「~と今の自分は思い込んでいる」
と追記しましょう。

例)
・「私は仕事が遅い」と、今の私は感じている
・「私は何をやっても失敗する」と今の私は思い込んでいる
・「私は人に迷惑ばかりかける人間だ」と今の私は感じている
・「私は誰からも大切に扱われない」と今の私は思い込んでいる

過去のどこかの時点で下された判断は、「その時の自分」への評価であって、
それから先、ここから先のあなたの変化や将来性を奪うものにする必要はないのです。
「どうせ私はずっとこのままなのだ」という呪いを自分にかける必要はないのです。

実際に上記を紙に書き出したり、声にだしてみると、少し心の動きが変わることを感じていただけるかと思います。
「今はそう感じている」「今はそう思い込んでいる」という”今は”という言葉を噛み締めて感じることで、過去から未来まで知らない間にひと繋がりになっていた自分自身への評価や判断”区切り”が生まれます。

この先は変われる
将来は改善される
未来には可能性がある

そんな風に自分に変化を許してあげましょう。

○ステップ3:変化を許す

上記と重複になりますが、「この先、自分がよりよく変化してもいい」と、今まで自分を裁き、縛っていた価値観(ある意味これは制限のようなものです)から自分を開放していきます。
「変われたらいいけど、どうせ私には無理でしょ」と、落ち込み自信をなくしている小さな子どもをイメージして、
その子が自信を取り戻し心から笑っている姿をイメージしてみると、言葉がデてきやすくなるかもしれませんね。

例)
・私は仕事が遅い
→仕事がバリバリできる私になってもいい
 私は会社や社会に貢献できる人になってもいい

・私は何をやっても失敗する
→私は何度でも新しくチャレンジをしていい!
 私は失敗しても、そのことで私の価値が変わらない

・私は人に迷惑ばかりかける人間だ
→私は誰かを応援する人になってもいい
 私は社会の役に立つ人になってもいい 

・私は誰からも大切に扱われない
→私は自分を本当に大切してくれる人と幸せになってもいい
 私は人とのつながりを心から感じれるようになってもいい
 私は信頼できる人間関係を持ってもいい

この3つのステップは実際カウンセリングやセラピー(心理療法)の中で使われているものでもあるのですが、

・どんな否定的な思い(価値観)を持っているのかに気づき
・それが真実ではなく、”今の私の思い込み(価値観)”であることを受け入れ
・未来のためにその思い込み(価値観)の世界から、お引越しするための最初の一歩を踏み出す

という練習になります。

自分を知り、今の自分を批判や判断なく受け入れ、そして新しい変化を自分に許す。

人によってはこれだけでも十分「自己肯定感」が育ち、心が安定します。

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その2:リフレーミングで物事を見方を変える
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こうした心についての記事を読むとよく出てくる「リフレーミング」
「物事を見る枠組み(フレーム:frame)を変えて、別の枠組みで見直す(re-frame)」という意味です。

よく言われる例えに、水が半分入っているコップを見た時に、
「半分しか入っていない」と捉えるのか、それとも「半分も入っている」と捉えるのか、というものがあります。

コップに水が半分入っているという事実は変わりません。
しかし、喉がカラカラの時や断水中では、十分にないことに焦りや不安を感じるかもしれません。
それでも、朝歯磨きする時には半分の水でも十分に感じるかもしれませんよね。

事実は1つでも、そこにどんな意味付けをするのか?は私たちで選択できます。

例えば、普段から声が大きい人が電車の中で友達といつものトーンでおしゃべりしていると、周りに迷惑をかけてしまいます。
しかし応援団だったり、誰か人に危険を伝えたり、人を探している時には、その大きくてよく通る声は長所にもなるでしょう。
「大きな声」という要素は変わらないのですが、状況や場面といった「枠組み」の違いで、短所が長所に変化するのです。

この「リフレーミング」を使って、あなた自身が「短所にしかならない」と思い込んでいるものを、違う角度から見てみる練習をしましょう。

例えば、「飽きっぽい」という短所は、視点を変えると「フットワークが軽い」「行動力がある」「早く判断できる」「好奇心旺盛」と言い換え、長所にできるかもしれません。

他にも例えば、
・怒りっぽい→情熱的、NOをきちんと言える、感情豊か、正義感が強い
・意思が弱い→資料深い、争いを好まない、協調性がある
・周りの空気を読めない→自分らしさを持っている、多少のことに動じない、マイペース、ハートやメンタルが強い

自分ではうまく言い換えができないな、と思われる方は、ネットで「リフレーミング辞典」と検索してみて下さい。
言い換えた言葉が一覧や表になったのものなど、たくさん見つかると思います。

「こんな私はダメだ」と判断するために使っていた自身の要素や特徴に、別のポジティブな側面があると気づけたときに、もっと公平に自分自身を見つめることができるようになりますよ。

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その3:今からでももう1度「受け取り直す」練習をする
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自己肯定感が低いときに、私たちは【ない】に意識が向きやすくなります。
それが自分に向けば「(自分が)できなかったこと」として失敗感や挫折感に繋がりますし、
それが他者に向けば「(他人が)してくれなかったこと」として不満や憎しみ、悲しさに繋がったり、
「私には持っていないのに持っている人」への嫉妬や怒りに繋がります。
ときにはこの【ない】を埋めたくて、依存的な振る舞いになってしまったり、自分を被害者のように感じてしまう場合もあるかもしれません。

自己肯定感が高い人は、【ある】に意識を向ける傾向があります。
「自分ができたこと」「誰かにしてもらったこと」をしっかりと受け取り、感謝の気持ちを持ちながら自分の周りの世界を見ています。
「ありがたいな」「嬉しいな」「良かったな」「幸せだな」そんな肯定的な感情に満たされた世界にいるので、世の中に敵がなく、安全で守られた、平和で優しい世界に住んでいるのです。

【ない】から【ある】の世界にお引越しするために有効なのは、過去の出来事を”もう1度受け取り直す”ということです。

どんな些細なことでも構いません。
誰かがあなたのために「してくれたこと」はなかったでしょうか?
あなたの何か1つでも「感謝できること」「嬉しかったこと」「恵まれていると思えること」はなかったでしょうか?

私たちは、1番欲しかった人からもらえなかった、1番欲しかった時にもらえなかったので、それ以外の人やそれ以外のタイミングで手に入っても気づかなかったり、感謝できなかったり、喜びを味わうことができないまま終わってしまうことがあります。

それを今日思い出して、「ありがたいな」「嬉しいな」「良かったな」「幸せだな」ともう1度受け取り直すのです。

心には時間の概念がありませんから、頭では過去の出来事だと思っていても、心は今起きていることとして理解します。
なので今はその人に会えなくても、例え相手が他界して2度と会えない人であったとしても、今日の私たちが何度でもその人と出会い直し、受け取り直すことができるのです。

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自己肯定感は私たちの心の土台となるようなもので、
普段の言動や能力、また人との縁や運といったものにも大きな影響を与えるものです。
「セルフマネジメント」をしていく中でもとても重要です。

今の自分のパターンに気づき、
良い悪いで判断するのではなく、今のあなた自身を受け入れ、
その上で、建設的でポジティブな自己肯定感を作り上げていきましょう。

今のあなたを縛っている思い込みや否定的な感情も、
それで自分を裁いたり判断するのではなく、まずは気づき、そして認めてあげてくださいね。

大人になった私たちだからこそ、自分の望むように、自分を育てることができますよ。
そこには早い遅いもありません。
今日から、あたらしい一歩を踏み出してみませんか?

この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛、対人関係、自己啓発、ヴィジョン、ビジネス心理を得意とし、”少しでも楽に・簡単に・シンプルに”をモットーに、分かりやすい心理分析と日常的に無理なく取り組める提案を行っている。 その人本来の輝きや、問題の先にあるヴィジョン(幸せな未来や才能)を引き出すカウンセリングが好評である。