気力が湧かない、やる気が出ないのはなぜ?(4)〜選択していない編〜

選ぶことができないと、やる気はなくなってしまう。

やろうと思っていたけれど、誰かに言われた途端に、やる気がなくなったという経験ありませんか?
それを言った相手に悪気はないでしょうが、強要されたと感じてしまうと、私たちのやる気はなくなってしまうようです。
それと同じで、やるしかないという選択の余地がない状態も、やる気がなくなってくる原因となります。
自分で選択したことは、私たちはやるものなのです。

私たちは、自分自身で「やる」と決めていないことに関しては、なかなかやる気が湧かないものです。
「やったほうがいいんだろうな」と思いつつも、そこに「やる」という自分の選択がなければ、気力も出づらいのです。

例えば、結婚生活に問題が発生したとしましょう。
「この人を私が選んだ」という自覚がある人は、結婚生活に問題が発生したときに、何とか乗り越えようと頑張る気力が湧いてきやすいです。
ですが、「親に心配かけたくなくて結婚した」「周りが結婚したのでそろそろ結婚したほうがいいかと思って結婚した」など、自分が決めたわけではないと思っている場合、結婚生活に何らかなの問題が発生した時に、頑張って乗り越えようという気力が湧かなかったりするのです。
「私が決めたわけじゃないし」となってしまうわけですね。

例えば、小学生の頃、「宿題をやりなさい」と言われたら、やる気がなくなったなんてことありませんでしたか?
私はそのタイプで、「やれ」と言われた途端に、やる気があったことすら、やる気がなくなるという子供でした。
大人でも、少なからずあるのではないかと思うのです。

「洗い物やってよね」と言われた途端に、やりたくなくなったとか、「旅行くらい連れて行ってよね」と言われた途端に、コッソリ計画していた旅行に対して、やる気がゼロになってしまったとか。

私たちは自分が決めたこと、自分が選択したことに対しては、やる気が出やすいのですが、強要されたことや、強要されたと感じたことに関しては、やる気がなくなってしまうことが多いのです。

だから、誰かに言われた途端に、やる気がなくなったという場合は、言われたということは横に置いておいて、改めてやるかやらないかを自分で選択し直すといいかもしれません。
とは言っても、一旦なくなったやる気を復活させるのは、少々難しい部分もありますので、家族や友人、仲間に「悪気がないのはわかっているのだけれど、自分でやるタイミングを決めるから、見守っておいてね」とお願いするのもありですね。

また、逆の立場として、誰かのやる気を悪気はないけれど、無くさせていることも私たちはあるわけですから、自分と同じペースややり方で他の人もやるわけじゃないことを、知っておく必要もあります。

また私は昔、家族に食事を作ったり、洗濯をしたり、掃除をしたりすることを、私がやるべきことであり、やるしかないことだと思っていた時期があります。
他の回にも書きましたが、やるべきことは、一択であって、選択していないのです。
そうするしか仕方ないという感じですね。
そんなことを積み重ねていると、家事だけでなく、他のこともどんどんやる気がなくなって、気力がなくなっていってしまったのです。

そんな時、やってみたことが、「あえて選択してみる」ということです。

「家族に食事作ってもいいし、作らなくてもいい」
「どっちにする?」
と自分に選ばせてあげる。
選択肢を与えてあげるのです。

実際、選択肢はあるものです。
食事を作らないで、外食してもいいわけですし、宅配してもらってもいい。
「でも、お金かかるしな。節約したいのは、私だから食事を作ろう」とか、「節約したいけれど、今日は疲れているから、自分を休ませるために宅配してもらおう」
どちらを選んでも、自分が選択したことなので、やらされている感はないのです。

「仕事に行くしかない」というのは、選択の余地がない状態。
あえて選択肢を与えるというのは、「仕事を休んでもいいし、行ってもいい。どっちにする?」と自分に聞いてあげるということ。

「仕事休んだら他の人に迷惑がかかる」
「休んだって、仕事の量が減るわけでもない。あとがしんどいだけ」
「給料減っちゃうかもしれないぞ」
「上司に嫌な顔されちゃうぞ」
色々と思うでしょうが、それでも選択肢を与えた上で、自分で選ぶのです。

どんなことにも、メリット、デメリットが存在するものです。
仕事を休むことで、ゆっくり眠って体を休めるというメリットもあるかもしれませんが、翌日以降に休んだ分の仕事をする必要があるというデメリットもあります。

メリット、デメリットの両方を考えた上で、選択する。
それは、一択で選択の余地なしということよりも、心に余裕が作れるのです。
結局、仕事に行くことを選択したとしても。行くしかないのはやがてやる気がなくなる可能性が高いですが、選択して行くのであれば、そのデメリットも自分が選んだ結果なので、デメリットも引き受けようとなりやすいのです。

やる気が湧いてこない、気力が出ない時、何事に感じても「やるしかない」と一択になっていないかチェックしてみてくださいね。
そして、自分に選択肢を与えてあげてください。

強要されること、選択の余地がないことは、やる気がなくなります。
ですが、自分が決めたこと、自分が選択したことはやるものなのです。

(完)

心理学講座4回シリーズ/同シリーズ記事はこちら
  1. 気力が沸かない、やる気が出ないのはなぜ?(1)〜絶望している編〜
  2. 気力が沸かない、やる気が出ないのはなぜ?(2)〜疲れ切っている編〜
  3. 気力が沸かない、やる気が出ないのはなぜ?(3)〜喜びがない編〜
  4. 気力が沸かない、やる気が出ないのはなぜ?(4)〜選択していない編〜
この記事を書いたカウンセラー

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