したいことが分からないの心理

したいことが分からない理由

こんばんは

神戸メンタルサービスの平です。

恋愛のご相談に限らず、カウンセリングの中で全般的によく聞かれるのが「本当にしたいことがわからない」「誰が一番好きなのかわからない」というご質問です。

私たちカウンセラーは、霊能者ではないので、あなたがいったい何を一番したくて、誰が一番好きなのかを明確に答えることはできません。

しかし、なぜ自分が一番したいことや、欲しいものに気づけないのかを探っていくことは、可能です。

私が心理学を勉強しはじめたころ、一番びっくりしたのは、当時の私の先生から、「人間は幸せになることは死ぬことよりも怖いことだと思っている」という法則を習ったときでした。

なぜ、幸せになることが死ぬことよりも怖いのか、それが理解できなかったわけです。

私たちはなぜか、幸せになるためには自分を殺さねばならないとか、自分が幸せになる代償としてがまんをしなければならないものだと考えているようです。

もちろんこれは間違った自己概念なのですが、「あなたに愛してもらうためには、もっともっとがまんが必要ですか?」「あなたにわかってもらうためには、私はもっともっとがまんしなければならないのでしょうか?」というように愛を求めるために自分を殺してしまうことは、恋愛の初期段階によく起こることです。

がまんすることや犠牲することと人を愛することは、もちろん違うのですが、私たちはどこかで、大きな愛を得ることは、有償であると考えているようなのです。

例えば、あなたにお子さんがいて、そのお子さんが大きな病気にかかったと思ってください。

お医者様から今晩が峠だと言われ、あなたは神様に祈りを捧げます。

「神様、どうかうちの子供を助けてください。もしうちの子供が救われるのなら、この命を差し出してもかまいません。お願いですから、どうかうちの子供を助けてください」

テレビドラマや映画にこういうシーンがよくありますが、よく考えてみるとこれはちょっと変です。

もし仮に、神様が「おうおう、そうかいそうかい、子供の命を救いたいんだな。じゃあ、お前の命と引き換えに子供は助けてやろう」と言ったとしたら、ちょっと変ではありませんか?

これではまるで、神様が誘拐犯のようです。

神様はたぶん無償であなたのお子さんを救ってくれるはずです。

何てったって神様なんですから。

また、こういうのもあります。

「彼が大好き、もし彼と結婚できるならば、死んでもいい」しかし、結婚式の夜にあなたが死んで、どんな意味があるというのでしょう?

私たちは、どういうわけか(もちろん間違った自己概念なのですが)、大きな幸せを手に入れるためには、大きな代償を払わねばならない、そしてその大きな代償とは、自分が死ぬことだ、と思っているようなのです。

つまり、私たちは、人生の目標に匹敵するくらい大きなものを手に入れてしまったら、自分の人生が終わってしまうのではないかと怖れているようです。

もちろん、それくらい大好きな彼と結婚ができたとしたら、当面のあなたの一番欲しいものは手に入り、今のところの人生の最大の目的は達成されるのですが、それは、あなたと彼の間に次の人生の目標が必要になるというだけのことなのです。

今、あなたが考えている幸せを手に入れて、さらにもっと大きな幸せに向かって行けばよいだけなのですが、私たちはとても謙虚でなため、そんなにいっぱい幸せになってはいけないとか、そんなにすぐに幸せになってはいけないと思っているようです。

人によると、幸せと不幸は同じだけ来なければならないと思っている人もいるのです。

もちろん、今がこんなに不幸なのだから、次は必ず幸せがくるはずと考える分にはまったく問題はないのですが、今とても幸せな人がそろそろ不幸にならないと罰が当たってしまうと考える人もとても多いのです。

これは、「ゼロサム」的な考え方と言って、幸せの量は決まっているので、今、人生における幸せをいっぱい味わってしまうと、人生の後半戦に幸せがなくなってしまう、という考え方からきています。

しかし、もちろん、幸せの絶対量は決まっているわけではありません。

幸せになった人が必ずいつかは不幸にならなければならないわけではないのです。

また、あなたが幸せでなかったころに、すごく幸せそうな人を見て嫉妬したり、その人たちがいつか地獄に落ちればいいと、思ってしまったことが過去にあったとしたら、もし自分が幸せになったとしたら、周りの人もきっと私の不幸を祈るだろう、と投影してしまうケースも考えられます。

どちらにしても、もしあなたが無制限に幸せを手に入れたければ、あなたの周りにいる人の幸せを祈ってあげてください。

特にシャドーと呼ばれる、あなたが苦手な人や大嫌いな人の幸せを祈ってあげることができたら、これは効果的です。

あなたの大嫌いな人の幸せを祈るということに抵抗がある人もいるかもしれません。

しかし、ここで気づいていただきたいのは、あなたに対して本当にひどいことをしたその人が、そのとき、本当に幸せだったのなら、そんなひどい振る舞いをあなたにしなかったはずだということです。

あなたが、あなたのまわりのすべての人の幸せを祈ることができたとき、あなたのために幸せを祈ってくれた人の心とつながることができ、より大きな幸せにジャンプすることができるでしょう。

では、来週の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。