主体性のある部下の育て方(2)~どうして「主体性」がなくなるのか?

あなたの近くに、こんな人はいないでしょうか?

・言われたことしかできない。
・指示されたことについて、指示された通りにしか動けない。
・応用力がないので、ちょっとした変化に対応できない。
・「なんで私がこんなこと・・・」と愚痴や不満ばかり言う。
・何かを聞かれたり、決断を迫られると「なんでもいい」と答える。
・誰かと自分を比較して、相手に嫉妬したり攻撃したりする。

実はこれは「主体性」のない人の特徴なのです。

前回からお届けしている本シリーズ「主体性のある部下の育て方」は、

どうすれば「指示待ちくん」「マニュアルくん」から脱却し、自ら考え、行動できる力をつけていけるようになるのか?

についてのお話です。

●どうして「主体性」がなくなるのか?

前回は「主体性と自主性の違い」についてお話しましたが、そのどちらにも共通するのは、少なくとも”積極的に自分から動ける”ということ。
しかし「指示待ちくん」や「マニュアルくん」は、なかなか”自発的に行動したり発言する”ということが苦手です。

「いやいや。そこは仕事なんだから、自分で考えて動こうよ!」と言うのは簡単ですが、彼らには彼らなりにこんな言い分があるかもしれません。

◇「指示待ちくん」のAさん
「自分で考えて行動しろ!」ってよく言われますが、、、
自分でも一応、ちゃんと考えて行動しなきゃなーとは思ってるんです。
でも、自分の何が考えて行動できていないのか?
どうやって考えて行動していけばいいのか?
が分からないし。。。
だから「どうしたらいいですか?」と聞いたら、「それくらい自分で考えろ!」って怒られるし。
どうしたらいいか分かりません。

◇「マニュアルくん」のBさん
「自分で考えて行動しろ!」って言われたので、上司オススメの本を読んだり、ネットで「主体性の育て方」を検索してみたり、セミナーに参加したりしてみています。
本には「自信をつけるには○○をするといい」と書いてあったので、それをやってみたり、セミナーで習った通りにやっています。
他にも「仕事ができる人になるには△△」とか、「アイデアが湧く××」とか、本にあったのでやってみてますよ。
それでどうなりたいか?ですか???
とりあえず上司に言われた通りにしないと、評価が上がらないじゃないですか。だからやってるだけですよ。

◇「指示待ちくん」のCさん
「自分で考えて行動しろ!」って言われるけど、そう思って動いても
「何でそんな余計なことをするんだ!?」
「なぜ教えた通りにやらない!」
って怒られるじゃないですか。
結局怒られ損だし、責任ばかり増えるのは疲れるだけでめんどくさいし、だからやらないだけです。
私だけじゃなくて、みんなそうですよ。
ちゃんと考えてますが、発言や行動したくないだけです。

◇「マニュアルくん」のDさん
「自分で考えて行動しろ!」っておっしゃいますけど、僕だってちゃんと考えて行動しています!
それをちゃんと見てくれていないのは、上司の方です。
そもそも上司だって「マニュアル世代」って呼ばれてたんでしょ?
現に「マニュアル人間の扱い方」とか「部下の主体性を育てる方法」とかで検索して、マニュアルを探しているんですよ!
悪いのは僕じゃなくて、ちゃんとしてくれていない上司の方です。

上記のA~Dさんはあくまで例に過ぎませんが、主体性のない人がよくいう口癖があります。

・怒られるのが怖い
・失敗するのが怖い
・間違えるのが怖い
・嫌われるのが怖い
・(他の人や環境が)~だから、しかたがない
・(他の人や環境が)~してくれない(させてくれない)
・(他の人や環境が)~だから私がこうなった
・面倒くさい
・楽したい
・損するのが嫌だ

程度の違いはあれ、主体性に欠けている時、私たちはその時の感情や欲求(本能)に流されてしまっている、と言えるかもしれません。

私達の感情や本能は「快/不快」を基準に判断しますから、
「快適ではない、満たされない」という結果に対して、他人や環境、社会や時代のせいにして、問題を自分から切り離そうとする傾向があります。
なぜなら、「問題がある」というその状況自体が、すでに「快適ではない、満たされていない」からです。
(現実逃避も、この仕組みですね)

しかしそれでは同じ失敗を何度か繰り返すうちに、どんどんと消極的になったり億劫になってしまったり、
「やるべきことを考える」というプロセスの最初の一歩すら、自分では踏み出せず、他の人に動機づけしてもらわなくては動けなくなてしまいます。

例えば、上司に「主体性を持って仕事をしろ」と言われたとして、それで自分で考えて判断し、行動してみた結果、うまく行かなかった時に、
「だって、上司の○○さんに主体性を持つように言われたから・・・」と言い訳が出てきてしまうようでは、「主体性を持って行動した」とは言えませんよね?

●主体性がある人は「意思の力」が強い

感情や本能に流されない為には”意志の力”が必要です。

こう書くと「感情や本能に勝つ、強い意思の力を持つのはとても難しいことだ」と感じてしまうかもしれませんが、実はとっても小さなことの積み重ねなんです。

「今自分がすべきことはなにか?今自分にできることはなにか?」と、自分の状況を客観的に”把握”すること

自分で”決める”回数を増やすこと

決めたことをとりあえず”行動”に移してみること

この「把握する」→「決断する」→「行動する」の3ステップでOKです。

日常的なことであれば、

あー、今日は残業で疲れたな。お風呂入るのめんどくさい。
でも明日も朝早いし、今日も朝ギリギリにしか起きれなかったり、明日早起きしてお風呂入るのも厳しいかもな。
今日、シャワーだけでも入ろうかな。(把握する)

頭乾かしても30分かからないしな。よし、お風呂いこう!(決断する)

お風呂へ向かう。(行動する)

あー。さっぱりして気持ちいい。(ご褒美)

こんな風に、”意思の力”を使い、その先に「快適、満たされる」というご褒美があれば、私達はより意思の力を鍛えていくことができます。
これはある意味、筋トレに近いものなので、最初は負荷の少ない形から取り組むのがベストですね。

今回は、「指示待ちくんにも理由がある(主体性がなくなるにも理由がある」というお話でしたので、
次回は「どうしたらそこから脱却できるか?」という、”主体性のある部下の育て方”のメイン部分についてお届けしたいと思います。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛、対人関係、自己啓発、ヴィジョン、ビジネス心理を得意とし、”少しでも楽に・簡単に・シンプルに”をモットーに、分かりやすい心理分析と日常的に無理なく取り組める提案を行っている。 その人本来の輝きや、問題の先にあるヴィジョン(幸せな未来や才能)を引き出すカウンセリングが好評である。