双方向の「報・連・相」がチーム力を高める

「報告・連絡・相談(ホウレンソウ)」は私達が社会人となった時に1番最初に教わるものであり、また業務のすべてを1人で完結出来ない限りはどこまでもついて回るものでもあります。

ホウレンソウの基本的な内容についてはここでは触れませんが、「ホウレンソウは重要だ」「ホウレンソウは業務の基本だ」とみんなが分かっているはずなのに、何故だか機能しない。
そんな時に私達には一体何が起きているのか?について考えたいと思います。

●一方通行のホウレンソウ

一般的に「報告・連絡・相談」ですから、

『ホウレンソウとは部下から上司への義務、指示や判断を仰ぐもの』

と”誤解”されている時にホウレンソウがうまく機能しないようです。
それは上司側の誤解とも言えますし、それで仕方がないと納得してしまう部下側の誤解でもあります。

例えば取引先との課題解決の進捗状況を確認する時に、部下の悩みや考えやどこで壁にぶつかっているのか?という問題点の吸出しが行われないまま、納期や結果だけを求めてしまう。
「とにかく○日迄に形を作って報告してくれ」
「先方と話をつけて報告してくれ」

もしかしたら上司側としては「お前のやり方に任せる!」「お前を信頼しているから1つ1つ確認してこなくても大丈夫だぞ」という気持ちを込めている場合があるかも知れません。
しかし部下の不安や考えの吸い上げがないままだと、部下側からすると定期連絡や上司への相談、報告でさえも、
「上司の為に行うもの」
「上司が安心出来る為にするもの」
「上司がマネジメントしやすくなる為だけのもの」
と感じてしまい、次第にホウレンソウをする気が失せてしまう、ということが起りがちです。

すると部下からホウレンソウがない上司側も「部下の協力が足りない!」「尻拭いをするのはこっちなのに!」と不満が溜り、より部下をコントロールしたくなってしまう。
「○○はこうして、××はこんな風にして。報告書もこまめに出すように!」と細かすぎる指示を出して部下を従わせたくなったり、形式的な定期報告を求める。
するとその分、部下の自主性が育たない。
部下側も「報告書あげればいいんでしょ!」とよりその報告書と報告書の間のプロセスを上司と分かち合わなくなる。

そうした悪循環でホウレンソウの機能が破綻してしまう事があります。
部下がホウレンソウをしたがらないのは、そのホウレンソウが一方通行で上司や組織が自分の味方だとは感じれなくなってしまう、チームの一員ではあるけれど自分が駒の1つに過ぎなくて一緒に支えあえている感じがしない、という時なのかもしれません。

●上司だからこそ部下に情報共有する

ホウレンソウの本来の目的はなんなのか?
それを見失ってしまうとホウレンソウは上にも書いたように「上司の為にするもの(やらされるもの)」になってしまい、ネガティブスパイラルにはまってしまいます。

ホウレンソウの役割は

・仕事の締めくくりであり、次のステップへの始まり
・業務の流れを円滑にする潤滑剤
・作業能力向上の場
・相手の立場と考え方を知り、チームワークを向上させる場

であり、業務の管理だけではなく、部下の士気を高め、各自の成長とチームとしての成長を促進するものではないでしょうか?

報告が上がってきたらその問題点や課題を共に検討し解決策を探る。
その上司の姿勢から部下も「自分では気づかない所を教えて貰えたな。新しい視点で考えさせられたな。相談して良かった。」「上司は自分の考えや意見を認めてくれたな。その上で次の課題を与えてくれた。頑張ってみよう。」という安心感や納得感を与える事が大切ですね。
「ホウレンソウしてよかった」そう感じている部下は、催促や命令されなくとも、いいことも悪いことも、自分からホウレンソウしてきます。

ホウレンソウを部下からの一方通行にしない為には、上司側からも部下に対してホウレンソウを心がけてみてください。
上司の立場だからこそ得られる情報を部下と共有してみる。
たくさんの経験値を積んだ上司だからこそ見える問題点や課題を相談してみる。
そうして部下から上手に情報ややる気を引き出して、チームとしてしての結束を高めていく事が出来ます。

あなたが上司側の立場の人であれば、あなたから始まるホウレンソウで、双方向のホウレンソウを初めて見てください。
あなたが部下側の立場の人であれば、まずあなた自身がホウレンソウに対する意識を少し変えてみるチャレンジをしてみてください。
どちら側からでも、この一方通行のホウレンソウの悪循環の鎖を断ち切ることはできますよ。

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この記事を書いたカウンセラー

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恋愛、対人関係、自己啓発、ヴィジョン、ビジネス心理を得意とし、”少しでも楽に・簡単に・シンプルに”をモットーに、分かりやすい心理分析と日常的に無理なく取り組める提案を行っている。 その人本来の輝きや、問題の先にあるヴィジョン(幸せな未来や才能)を引き出すカウンセリングが好評である。