あなたの意見が通らない理由

職場に限ったことではありませんが、議論の場になると、不思議と意見の通りやすい人とそうでない人とがいます。会社の命運を分けるプロジェクトから、ランチで入るお店まで、事の重要性はともかく、自身の意見が通るというのはやっぱり何だか嬉しいもの。いっぽう、それがたとえ中華かパスタかの違いであっても、意見が受け入れられないというのはどこか寂しく感じます。

しかも、それが一度や二度でなく毎回だったとしたら?私って嫌われてる?なんて余計な心配をしてしまいそう。無論、意見が通らないからといってそれが個人の人気や信頼を反映しているとは限らないのですが、それでもやっぱり気になってしまいます。

ましてそれが、人事評価に関わるような議論やプロジェクトであればなおさら。自身の意見が通りやすい人の前には自ずとキャリアアップのチャンスも広がるというものです。

では、どうしてあの人の意見は通りやすいのか?
ランチのお店選びで考えると分かりやすいかもしれません。

まず、意見の通りやすい人は、議論の内容に精通しています。つまり、どのお店が安くて美味いかをよく知っているということです。

また、一緒にいるメンバーの好みもある程度理解している可能性があります。だって、たとえどんなに美味しい中華でも苦手な人がいたなら避けた方が無難ですから。

情報量が多く経験に長けていて、さらにメンバーの嗜好も理解している。そうなれば、その意見が採用されやすいのももっともですよね。

これを仕事に置き換えるとどうでしょう?プロジェクトや議論の内容に造詣が深いというのはランチ選びと変わらず有効です。

好みや趣味の違い、これは「価値観の違い」と言い換えることができます。

私たちには誰でも、各々固有の価値観というのがあります。価値観の違いは、意見の違いとなって反映されますから、意見を戦わせるということは即ち、価値観と価値観のぶつかり合いともいえます。
人には誰でも、他者から理解されたいという欲求があります。理解されることで自分の存在を認められたと感じるからです。そして人は、意識する、しないに関わらず理解者を信頼し、支援する立場に回るものです。

もし今、あなたが重要な会議やミーティングの中で、自身の意見を通したいとしたら、まずはあなた以外の参加者へ理解注ぐ努力をすることが大切です。

ところが私たちは相手を理解する前に自分を理解して欲しい、わかって欲しいと思ってしまうものです。ましてそれが何日も考えに考えて導き出した意見や主張であればなおのこと。自分が誰よりも熟知している、と思うほどに他者の意見は浅く聞き入れ難いものに思えます。

こんなに考えているのにどうして自分の意見は聞き入れられないんだろう?という時。きっとあなたは誰よりもそのプロジェクトやテーマについて責任感を持って取り組んでいるのだと思います。

けれどそのいっぽうで、自分の考えにフォーカスするあまり違った意見、異なる考えに耳をふさいではいないでしょうか?議論の体は取っていても実のところ自身の意見に賛同を求めている、ということはないでしょうか?

友人からこんな話を聞いたことがあります。

それは彼が、新規プロジェクトを任された時のこと。寝食も忘れて没頭していた彼はあるとき突然そのプロジェクトから外されそうになりました。納得できない彼は上司に理由を聞きました。

すると「今のお前は自分の考えに囚われすぎて周りの意見が耳に入っていない。お前のやる気が周りのやる気を削いでいる」と言われたそうです。

上司の指摘を受けて彼はハッとします。「確かにプロジェクトメンバーでミーティングをしても自発的な意見が出てきていない」と。そして自身のミーティングの進め方に問題があったことに気付きます。

それまで彼は、自分の意見がプロジェクトメンバーに受け入れられないことにイラ立っていました。「なんで分かってくれないんだ」という気持ちはやがてメンバーを否定する気持ちに変わります。「俺ほど真剣に考えている人間はいない」「他の奴らは真剣に考えていないから理解できないだけなんだ」と。

でも本当はメンバーそれぞれにも考えがあって、その考えを自分が理解しようとしていないだけだったのかもしれないと気づいた彼は、自分の意見の前にメンバーの意見をしっかりと理解することに務め、プロジェクトを成功させました。

私たちには誰にでも、聞いて欲しい話、理解して欲しい考えがあります。

もし今あなたが、自分の話や意見を誰かに理解して欲しい、聞き入れて欲しいと望むなら、自分の考えと同じように相手の考えを大切に扱ってみましょう。

きっとその人たちもあなたの意見や考えを自分の考えのように大切に扱ってくれるはず。そしてやがて彼らはあなたの意見を後押しする支援者になってくれるかもしれません。

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