不自由のすすめ

「どうすれば幸せになれるのか?」成功のためのガイドラインというものが見えにくい時代に我々は生きています。

私たちが子どもの頃といえばひとまず国立大学に入って、それから一流企業に就職するか公務員になれば一生安泰。そんな、うまくいく人生のガイドラインといのが確かにありました。

もちろんそんな枠から飛び出して自由な人生を生きている人たちもいましたが、それは明らかな少数派で、大多数の男子にとってひとつでもランクが上の学校を目指すのはもっとも手っ取り早い将来への投資として疑う余地はなかったわけです。

ところが、そんなガイドラインが通用しなくなったのが現在です。

一流大学を卒業しても就職先がない、就職しても先行き不透明で出世も収入も安定しない。

成功するにはどうすればいいのか?ガイドラインがないなら自分で考えないといけないけれど、自由に考えていいよ、って言われると困ってしまうのが私たちです。

そこで、「◯◯の法則」のような自己啓発本を買ってみて何だかうまく行きそうな気がするのだけれど、結局やっぱり気分だけで終わってしまうことが多い。

色々やってみたけど、どれもあんまりピンと来ないんだよな。って感じがする。そんな経験ないでしょうか?

なんだか元気が出ない。何となく気力も湧かない。

そんな感覚を感じてる男性が近ごろはとても多いように思うのですが、背景には「ガイドラインが見えない」ことへの漠然とした不安が隠れているのかもしれません。

そして、見えづらくなった成功へのガイドラインの替わりに市民権を得てきたのが「自由」という価値観ではないでしょうか。

「自由」それは多くの場合、ポジティブなものとして受け止められています。

けれど、過ぎた自由は時に不安を呼び起こします。

例えばここに、1枚の400字詰め原稿用紙があって、「30分以内に何でもいいからあなたの思いを綴りなさい。」という課題が出たとします。

きっと、何を書こうか?と題材を考えるだけで時間が過ぎてしまうでしょう。

けれど、「30分以内にあなたの両親について思いを綴りなさい。」ではどうでしょう?「最近見た映画の感想について綴りなさい。」では?

私たちの思考というのは、ある程度制限を加えられた方が働きが良くなるということがあります。同じように、自由すぎる風潮というのは、時に私たちの心を混乱させ、思考停止を起こさせる場合があるのかもしれません。

好きなことをやろう、ワクワクすることを仕事にしよう、ありのまま生きよう。

そんな言葉がキャッチコピーのようにあちこちに氾濫する今。
無制限の自由に、少し混乱しているということはないでしょうか?

好きなことってなんだっけ?
自分らしいってなんだっけ?

時々そんな風に、何が何だかわからなくなったり、思考が止まってしまうってことはないでしょうか?

仕事に、将来に、自分に、漠然とした不安でどうしていいのかわからなくなるとき、必要なのは、無制限で自由な世界の中から答えを探すことではなく、今目の前にある物事に集中してみることかもしれません。

キャリアアップを考えているのなら、まずは今の仕事に集中してみる。

広がりやすい思考の幅を一旦は制限して、目の前にあることだけに注目をしてみる。
それは時に、不自由に思えるようなことかもしれませんが、「今、ここ」に集中していると、不安や怖れは思ったほど大きくはないことに気づくのではないでしょうか。

自分自身を支配できるのが男。ということわざがドイツにはあるそうですが、自由な時代であるからこそ、自分自身のあり方を決めるのは自分。

未来への不安や焦燥感に囚われているよりも、まずは今あるものに向き合うことが大切なのかもしれません。

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